見出し画像

陶炎祭


【療養日記2023 4月29日(土)】

 茨城県笠間市でGWに笠間焼の陶器市が大々的に行われる。名前は陶炎祭と書いて「ひまつり」と呼ばせている。我が家はかれこれ10年くらい前からこの陶炎祭には毎年行っていた。笠間焼という焼き物は個人的感想でしかないが他の焼き物に比べても手触りも良く、見た目よりも軽く独特の風合いがあると思っている。笠間焼の定義というのはあまりよくわからないがとりあえず茨城県笠間市に作家が多いこと、笠間の土を使っていること(他の土と混ぜてあることもある)などなどだが、とにかく色合いは独特である。

 笠間焼については母の友人に笠間焼の大家と呼ばれる陶芸家がいてその人の花瓶を子供の頃から見ていたので笠間焼のモデルというのはしっかりと頭の中にできている。多分その花瓶の価値たるや数十万はするかと思う。陶炎祭で知り合った陶芸作家の誰にその名前を言っても全員が知っている陶芸家で、ご自身も数年前までは陶炎祭に参加されていた。

 我が家から陶炎祭が開催される笠間芸術の森公園まで距離にして凡そ150km。3時に出発して無理なく運転すれば5時半くらいに着くが、その時間でも駐車場待ちの列ができている。

 駐車場開場が6時、車は入場門のかなり近くに駐められた。コレが重要で陶器市なので買ったものが重くなると車に積みに戻る時車は近くにあった方がいいからだ。

 4年ぶりに来た陶炎祭は入場料を取るようになっていて入場門の前には7時過ぎともなると行列ができていた。並ばなくてもいずれは入れると高をくくっていたがあまりに行列が伸びるのであわてて並ぶ。この行列が後に開場後一時間以上経っても続いていた。

東側入場門前で、毎年写真を撮る

 開場は8時過ぎ、9時からスタートだがそのあたりは厳密には守られず人が入ればブースも営業を始めるゆるゆるなスタイルがとにかくテンションを上げる。以前なら初日最初に開会式があり笠間市長と地元出身の国会議員が挨拶に来たが、笠間市長はわかるとしても議員の挨拶なんていらないよと思っていた。それも今年はなくてスッキリした印象を受けた。

 兎にも角にも茨城県ではひたち海浜公園のネモフィラの次にGW中人が集まるイベント(四年前の開会式で大井川茨城県知事が言っていた)の始まりだ。

 我が家はまずは会場にある200を超えるブースを全て見て気になるものをチェックして後で再び品定めに行く。売れてしまいそうなものはその場で買う。こうしてはじめに何が欲しいのかを決めておくのだが陶器市というのは運命的な出会いの場でもあるもので意志を強く持たないと衝動買いは必至だ。何も決めずに足を踏み入れたら際限なく買い続ける事になる。それだけどこのお店もお世辞抜きに魅力的なものが必ずいくつかは置いてある。

 さらにこの陶炎祭と栃木県の益子陶器市は連携をしていてシャトルバスが運行されている。とにかく陶器好きの心をグッと掴んで離さない。ちなみに益子焼の代表作は関東地方に住んでいれば誰でも知っている「峠の釜めし」のあの容器だ。

このお店の納豆鉢は独特な色合いが目を引いた

 今日はとにかく天気が良くて気温も上がり暑かった。毎回来るたびに暑い思いをする。カートの中のわんこもぐったり。それでも周囲の人たちに愛想を振りまき多くの人から声をかけられた。

 暑いので途中何回か休憩や食事を入れ、涼しい日陰で休み休み全てのテントを見終える。

埴輪専門のテントもいくつかある。

 この陶炎祭に初めて出店された時にお皿を買った陶芸家がいて、我が家はその大皿を今でも毎日使っている。毎年その方の作品を買うのを楽しみにしているのだが4年ぶりに行ったらテントは大盛況でレジに行列までできるくらいの人気ぶりになっていた。それでも我が家のことを覚えていて数年間来られなかった我々のことを気にかけていたらしい。4年ぶりに再会できたのは嬉しかったし、新しい作品を買うのも嬉しかった。

 後半はチェックを入れたお店に再び行き欲しいものの品定めと絞り込みに入る。

 今回は大皿、中皿、小皿に豆皿。ソースポットにも使える納豆鉢など初めから欲しいものがたくさんあって絞り込みにも時間がかかったが何よりもこの絞り込みの時間が楽しい。

 そして気がつけば時計も4時を回り、ラストスパートの1時間が始まる。この時間になると人気のある作家のテントはすでに閉まっていて人も少なくなりちょっとした寂寥感すらある。

 そして5時の閉場までとにかくフルに時間を使って思い切り陶炎祭を楽しんだ。帰りはつくばにある以前より何度か行っているわんこと入れるレストラン、「ソヌーテ」でちょっと贅沢な夕食を食べ、また2時間近くかけて家に帰った。

陶炎祭の戦利品
衝動買いも多いが四年ぶりだからしかたがない

 陶炎祭を振り返ると今年はどうしても行きたいと二月の入院中から考えていた。その為に退院後も運動をしたりウォーキングを続けたりして色々と頑張ったと思う。

 陶炎祭が無料で入れた頃は会場内にテントも設営できた。今年もそうだと思っていたのでなんとかテントの中に入れるようになりたかった。コルセットをしているとテントには入れないのでコルセットなしで過ごす訓練もした。

 テントNGと分かってからもこの日を一つの目標にしていた。今年はどうしても陶炎祭に行きたかった。その念願か叶っただけでも嬉しいと思う。帰ってきて初めて日焼けしていることに気がつくくらいに夢中になっていた。

 しかしかなり無理をしたので帰ってから写真や戦利品の整理はきつかったしこの日記も翌朝に書いている。

 来年もまた陶炎祭には行きたいし、何だったら連休中もう一度行きたいとも思うが連休後半は荒天が予想されているからまた来年。必ず来年も行こう■

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?