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#40 イギリスにおけるロックダウンとカリブ海料理(1920字程; 2021/3/12, VOA Learning English)

(↑Header image: Andy Hay at Unsplash, searched by "curry goat")

(↑英文元記事622words)

1.オーブンから魚を取り出すと、ニンニク、コショウ、レモンの香りがコミュニティの台所に漂います。

 グレンダ・アンドリュー(Glenda Andrew)は、この匂いを嗅ぐと、家族の食事や地域のイベント、宗教上の集まりなどの記憶が蘇ります。COVID-19のせいで暗くなってしまった、寒くて灰色のイギリスの冬の最中に、故郷のカリブ諸島(西インド諸島)の暖かさを思い出させてくれるのです。

 アンドリューはAP通信に、これは心の糧です、と語りました。

 57歳のアンドリューは、イギリスの高齢の移民たちにとって、このような食べ物が今まで以上に必要だと付け加えました。彼らのほとんどは、パンデミックのために何か月も家族や友人に会うことができていません。

アンドリューは週に一度、他のボランティアと一緒に島の味を使った食事を用意しています。彼らは、イギリス北部のプレストンという地域とその周辺地域の人々に、無料で温かい食べ物を提供しています(at the Xaverian Sanctuary(ザベリオ聖堂), in Preston)。

 この地域は、コロナウイルスの感染者がイギリスで最も多い地域の一つです。

2.(1) この家庭料理は、故郷を思い出させるものです。この42週間、週に一度、アンドリューのリスト控えられた高齢者たちは、ジャークポークカレーゴートカウフートスープなどのカリブ諸島の名物料理を楽しんできました。

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(↑Image: Junior REIS at Unsplash, searched by "jerk pork")

 この食事プログラムは、アンドリューが活動している、プレストン・ウインドラッシュジェネレーション・アンド・ディセンダンツ(Preston Windrush Generation & Descendants、プレストン地区のウインドラッシュ船世代とその子孫)という組織で催されてきたものです。この団体は、カリブ諸島やその他の旧イギリス植民地からの初期移民の権利を守るために活動しています。近年、その初期移民たちは、国外追放の危機を感じていました。

 ウインドラッシュ・ジェネレーションは、1984年にカリブ諸島からの最初の移民を乗せた船にちなんで名づけられたものです。この世代は、第二次大戦後の国家再建を支援するために、イギリス連邦全体から労働者を求める政府の呼びかけに応じて、イギリスにやって来た人たちです。

 しかし、2018年には、不法移民の取締りの影響を受け[←特に意訳]、合法的な長期居住民は、仕事や家、無料医療を受ける権利を失ってしまいました。多くの移民たちは、子供の頃にカリブ諸島からイギリスにやって来ました。彼らはイギリスに住む権利を証明する書類を持っていませんでした。ある者は抑留されました。数は不明ですが、ある者は自分たちとは無縁の国々に送還されてしまいました。

(2) 自由な気質のアンドリューは、イギリスでコロナウイルスが大流行したとき、コミュニティの人たちが二度と犠牲になって欲しくないと考えました。そこで、彼女は、この食事プログラムを創設したのです。彼女の料理は、彼女が一緒に育った人々の好みを大事にしたものです。

 彼女は、手に入る最高の食材を使っています。「彼ら(高齢の)移民たちにはそれだけの価値があるんです。」と、彼女は言いました。「彼らは私たちを育んでくれました。たくさんのことを教えてくれました。彼らはカリブ諸島での生活を捨ててここに来たのですから。」

(3) 食事に加えて、ボランティアたちは、人間的な触れ合いも提供しています。

 この一年、多くの高齢者は孤独に耐えてきました。温かい食事が運ばれてくると、ボランティアの人たちと話が弾み、それを共有することができるのです。

 1960年にドミニカ国から移住して来たシリウス・トゥーサン(Sylius Toussaint)さんは81歳です。彼は、食事だけでなく、ボランティアとの会話にも助けられていると語りました。

 「彼らは、『こんにちは』と言って、食事を提供してくれます。そして、多分少なくとも数秒間でも新人の人を見ることができます。一週間ぜんぜん出くわすことのない、そんな新しい人達です。」と、彼は奥さん(ブリジット(Bridgette Toussaint)さん)に微笑みながら、AP通信に語りました。「自分達だけで生活していると、新鮮な顔ぶれを見るのはとてもいいことなんです。それに、お土産を頂けるのは特にいいことです。」

3.イギリスのCOVID-19ワクチン接種プログラムはすぐに、ロックダウン(都市封鎖)の制限緩和を意味することになるかもしれません。しかし、アンドリューは、これからも彼女のカリブ諸島料理作りと提供を続けていきたいと考えています。

 このプロジェクトは、寄付金とアンドリューの熱意で運営されています。彼女は、ボランティアをまとめるために一度に数か所を行き来しているようです。

 将来的には、コミュニティの人たちが集まって一緒に過ごせるような場所を見つけたいと、彼女は語りました。しかし今は、ボランティアたちは、食を通じてコミュニティとつながり続けるつもりであるとのことです。

以上[2021/3/21 3:44 a.m. JST; 1920字程,訳出時間2時間15分程]

Danica Kirka reported this story from London for the Associated Press. Anna Matteo adapted it for VOA Learning English. Ashley Thompson was the editor.


使用ツール: DeepL無料版, Weblio辞書, Google検索, Wikipedia, 他。

自分なりの発見: ドミニカ共和国と、ドミニカ国とは異なることに初めて気がつきました。前者は旧スペイン植民地で、後者は旧イギリス植民地で、位置する島も異なっていました。(↓参考サイト)


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