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#34 アメリカ英語とイギリス英語の文法に関する違い(意訳2800字程; 2020/12/10 VOA Learning English)

ヘッダー画像: "Britain, UK" - jon-tyson-pLR-MBI8_yY-unsplash

(英文元記事934words)

1.アメリカ英語を学びたいという目標をお持ちの方も多いと思います。やはり、そういう方々は、ボイス・オブ・アメリカ(Voice of America)のレッスン(Learning English)を聴いたり読んだりされていることでしょう。

 しかしながら、イギリス英語に触れることはまだあるでしょう。たとえば、イギリスのテレビ番組や音楽のグループの人気は、国境を越えて広がっています。

 では、イギリス英語はアメリカ英語とどう違うのでしょうか。すでにご存じかもしれませんが、アクセントに明らかな違いがあります。その他の違いとしては、いくつかの語彙表現があります。

 あまり知られていませんが、文法にも違いがあります。アメリカ英語とイギリス英語はほぼすべての文法を共有しています。しかし、違いもあります。そのいくつかは、特に英語学習者にとってメモに取っておく価値のあるものです。

 今日のプログラムで、そのうちの一部をお話します。

2.前置詞の使い方

 まずはじめに、前置詞の使い方について、2つの英語のどこに違いがあるのかお話しましょう。

(1) イギリス英語では、週末の話をするときなど、時間に関連するいくつかのフレーズで、前置詞「at」が使われます。しかし、アメリカ英語話者は、そのような場合、前置詞「on」を使います。次のアメリカ英語話者の話を聴いてみて下さい。

On weekends, I like to watch sports. (週末には、スポーツを見るのが好きです。)

 イギリス英語話者がこれをどのように言うか思いつきますか。

そのとおり。“At weekends, I like to watch sports.”

(2) アメリカ人は、通りの名前にも前置詞「on」を使います。しかし、イギリス英語話者は、「in」を使います。

 ある人が住んでいる場所についてアメリカ人が話しているのを聴いてみて下さい。

She lives on 17th street near Dupont Circle. (彼女は、デュポン・サークル(Dupont Circle)の近くの17番通りに住んでいます。)

 イギリス英語話者がどう言うか推測できますか。

そのとおり。“She lives in 17th street near Dupont Circle.”

 これらは、前置詞の使い方に関する小さな違いのほんの一例です。

3.現在完了形

 では、動詞の時制の話に移りましょう。

(1) アメリカ英語話者もイギリス英語話者も、動詞の現在完了形を似たような感じで使います。しかし、アメリカ人は、現在完了形をより少ない場合にしか使いません。他の多くの場合、代わりに単純過去形を使います。

 アメリカ人が、紛失物について話すときに単純過去形を使っているのを聴いてみて下さい。

Ugh! I lost my phone…again. (うわっ、携帯電話なくしちゃった。またかー。)
 イギリス英語話者は一般的に、この状況では現在完了形を使います。 “I’ve lost my phone…again.”のように。ここでの現在完了形は、「have lost」です。

(2) これは、ニュースを伝えるときにも当てはまります。アメリカ英語ではニュースを伝えるのに、単純過去形を使います。イギリス英語話者は一般に、現在完了形を使います。

 アメリカ人が誰かにニュースを伝えているのを聴いてみて下さい。

Your supervisor just called. (上司の方から電話がありましたよ。)
 繰り返しになりますが、そのようなニュースには、イギリス人だったら、現在完了形を使います。“Your supervisor has just called."あるいは省略して、“You supervisor’s just called.”と言うように。

(3) 一般的な時間に関連する副詞である「just」という単語が使われていることに注目してください。同じような他の副詞、「yet」や「already」についても、アメリカ人は単純過去形と一緒に使うのに対し、イギリス人は現在完了形と一緒に使います。

 アメリカ人が過去形と副詞「already」を使っているのを聴いてみて下さい。

Would you like more? (もっと食べますか。)
No thanks. I already ate too much. (いいえ結構です。もう食べ過ぎました。)

 それでは、イギリス人の答えはどのように聞こえるでしょうか。

ある人が次のように言いそうです。“I have already eaten too much.”動詞の現在完了形の「have eaten」が使われています。 

4.haveと getについて

(1) この2つの英語はまた、動詞の「have」と「get」の用法についても、いくつかの点で違います。

 人間関係について話すとき、イギリス英語話者は一般に、「have got」という表現を使います。たとえば、イギリス人は、 “I’ve got an uncle in New York City.” (私は、ニューヨーク市におじがいます。)と言うことでしょう。しかし、アメリカ人は、 “I have an uncle in New York City.”と言うと思われます。

 同じ規則は、物の所有について話すときや病気について話すときも適用されます。

イギリス英語話者は、“I’ve got a cold,” (風邪をひいた。)と話すことでしょうが、アメリカ人はおそらく単に、“I have a cold.”と言うでしょう。

(2) この2つの英語にはまた、何かが要求されているあるいは必要であるというという場合のそれぞれの言い方があります。アメリカ英語では、法助動詞(注*)(modal (auxiliary) verb、人の気分(mood)を表すときに使われる補助的な動詞ないし動詞句)「have to」の方が一般的です。「have got to」という言い方は、イギリス英語話者にとってはるかに一般的です。

 アメリカ人は、“We have to be there by 7.” (私たちは、7時までにそこにいなければならない。)と言うことでしょうが、イギリス人は、 “We have got to be there by 7.”という可能性が高いです。

(3) そして、「got」といえば、「get」の過去分詞(past participle)の形についての2つの英語の間の珍しい違いについて忘れてはいけません。アメリカ英語では、「get」の過去分詞は「gotten」です。しかし、イギリスは、300年以上前に「gotten」を使うことを止めました。イギリス英語では、「get」の過去分詞は、「got」です。

 ですので、アメリカ人が、次のように話すのを聴くことがあるかもしれません。

He has not gotten far on the project. (彼は、そのプロジェクトでまだ成功していない。)
 しかし、イギリス英語話者は、“He has not got far on the project."と言うことでしょう。

5.返事をする場合の助動詞の使い方について

 最後に、問に対して短く答えることについて扱うものに触れることにしましょう。

 イギリス英語話者は、短く答える場合にしばしば、補助的に動詞「do」を付け足します。アメリカ人は、単に法助動詞(注**)(have/has to、 mightなど)を使うだけでしょう。次ぎのアメリカ英語話者の答えを聴いてみて下さい。

Are you bringing the whole family? (家族全員を連れて行きますか。)
I might. (そうするかもしれません。)

 この答えにおける法助動詞は、「might」です。

 しかし、イギリス英語話者は一般に、法助動詞と、補助的な動詞の「do」を両方とも使います。“I might do.”と答えるように。

6.あなたには何ができるでしょうか

 では、以上の知識を用いて、自分で何ができるでしょうか。

 まず、イギリス英語とアメリカ英語にはいくつかの方言やアクセントのあることを気に留めておいて下さい。しかし、一般的にいえば、それらはそれぞれに、識別可能な程度のアメリカ英語かイギリス英語であることに変わりはありません。

 次にイギリス英語触れたときには、今日学んだ違いを聴いたり見たりしたときのことを思い出しましょう。そして自問自答してください。アメリカ人ならこれをどう言うだろうと。それは面白い練習になるでしょうし、アメリカ英語の文法にさらに注意を払うのに役立つかもしれません。

以上[2800字程; 2020/12/20 5:26 am JPT 所要時間3時間20分]

Alice Bryant wrote this story for Learning English. Ashley Thompson was the editor.


注***: 『表現のための 実践ロイヤル英文法』(2011年)旺文社76頁に使われている用語を用いました(「法助動詞」。such as: can, be able to, may must, have/has to, will, shall, ought to, need, dare, could, might, would,m should, used to, dared。中学・高校で一般的に使われる「助動詞」のことです。)。今回の英文元記事では、modal verbとしか書かれていませんが、modal auxiliary verbの意味であろうと解釈し、「法助動詞」の用語を使いました。

追記: DeepL翻訳(無料版)を併用しました。11月からの6記事(今回のを入れて7記事目)でDeepLを使い始めましたが、英和については、Google翻訳よりこなれている感じがありますが、後者の翻訳がいい場合もありました。しかし、評判のいいDeepL翻訳がより勝っているのは、和英の方のように感じます。いくつか和英を試してみて、そう思いました。

 翻訳ツールを使って訳したものを公開しても大した意義はないのかもしれませんが、翻訳時間を短縮するのに役立ちますし、かなりこなれた訳を得られる場合がありますので、参考にしながら訳しています。

まとめ[2021/1/3 5:00]: 

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