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次に化ける国、スリナム

ということで前回、それと去年「ガイアナ」の超・高度経済成長を紹介し後発発展途上国から6年で中南米諸国はおろかアメリカ合衆国よりも豊かな国になりますということを伝えました。そんなガイアナの隣にもっと不思議な国があります。スリナムです。ほぼ日本人は行かないはずです。観光地が皆無だからです。後発発展途上国のままです。あろうことかスリナム国民はガイアナへ勝手に越境する奴が絶えません。それだけスリナム・ガイアナ共にいい加減って事です。こんないい加減な国が隣にあるからガイアナは富裕国になっても治安が悪いのです。

スリナムは1人当たりGDPが107位と貧困です。東隣はフランス領ギアナといいます。フランスの航空宇宙産業が集約し一気に先進国レベルになります。フランス最大の植民地領です。つまり隣は2国とも先進国なのにスリナムだけド貧困という超絶級に謎な国です。

が、ガイアナ沖で石油が発見されたという事は……。

そうなんです。スリナムの領海でも石油が出たんです!

しかしスリナムはコロナショックから立ち直っていません。
2020年 -15.9%
2021年 -2.44%
2022年 +2.43%
2023年 +2.15%
2024年 +2.96%(IMF予測)
と隣が高度成長フィーバーして隣がフランスの航空宇宙産業の集積地にはとても見えません。ガイアナは急速に治安が回復してますが隣のスリナムにまで恩恵が届いていないのです。まだ試掘段階だからかもしれませんが。

というかずっとスリナムはマイナス成長ばかりで「失われた40年」を食らっています。

ガイアナ国境にかするようにスリナムでも石油が出ますがポイントはそこじゃないです。
隣が米国並みに豊かになる。不法越境ばかりする奴が多い。
→ガイアナへの通勤需要でスリナム国民は一気にガイアナの高度経済成長の恩恵を受けるという事です。ちょうどマレーシア人がシンガポールへ通勤するようにね。シンガポールの給与水準で物価が低いマレーシアで生活すると……。そういうことです。そういうことがガイアナとスリナムで起きるという事です。

我々日本人が2015年頃に「ガイアナが高度経済成長して米国よりも豊かな国になる」と言っても100%信じてもらえないでしょう。ちょうど2015年にガイアナ沖でシェルが石油を発見して試掘を開始したのですが。アメリカ=メキシコ国境のように壁でも作らない限り普通は隣国が裕福になると本国も裕福になるもんです。通勤需要だけじゃないですよ。貿易で相乗効果が見込まれるからです。だから次のねらい目はギアナ3国のうちの1国であるスリナムなんです。

ガイアナはこの高度成長でも失業率の高さに苦しんでいるのでいつまでもこんないい加減な越境を許すとは思えないです。それでも相乗効果は出ると思います。ただしスリナムは人口60万人しかいないのでガイアナで建設ラッシュが起きるのが確実なので壁を作るって事はありえないと考えます。そのかわりガイアナへ出稼ぎする人は「2級市民」扱いになるでしょうね。両国合わせても140万人しかおりません。1975年にオランダから独立したので国語はオランダ語です。

最後に重要なお知らせがあります。
ガイアナ・スリナム共に南側はブラジルのアマゾンです。

ここは別名「地球の肺」と呼ばれており世界の酸素供給地帯です。

ゆえにガイアナの石油噴出はいい事ばかりじゃないのです。たしかにこれで当面人類は「石油枯渇」という最悪のシナリオを回避したのですが代わりにCO2出しまくりです。これからCO2をどうするのかという別の問題もありガイアナの高度経済成長は光と影が交錯することになるのです。ゆえにガイアナ・スリナム共に南部地方は世界遺産に指定されています。だからガイアナの電源構成は15%ほど太陽光になっているのです。石油が出る国にも関わらず。


次に化ける国

なおガイアナ側からスリナムの油田を見つけたのはエクソン・モービルから受託した三井海洋開発なんだとか。スリナムの失われた40年を食い止めるのはなんと日本企業なのです。

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