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さて…「真の平和」ってなんでしょうね。

子供がまだ小さい頃「うずまきナルト」に夢中になり、その影響もあって、コミックは全巻読んだし、TVアニメも一緒になって見ていた。

いくつか印象的なシーン、エピソードがあるが、その中でも印象深いのは、うちはマダラによる「月の眼計画」のくだりだ。

マダラの計画していた「月の眼計画」とは

この計画におけるうちはマダラの最終目的は、十尾の力によって瞳力を月に転写させることで、世界中の人々を幻術にはめて操ることができる「無限月読の術」を発動し、世を平和に導くという名目で全世界を一つの夢(幻術)で統一することでした。
『VOD Introduction』より

要するに、世界中の人々を全てに催眠術をかけて、争わないようにコントロールして平和に生活させようとというものである。
しかし、その計画が現実味を帯びてくると、それまで憎悪に憎悪を重ねて争っていた五つの忍びの国(火の国・木ノ葉隠れの里、風の国・砂隠れの里、水の国・霧隠れの里、雷の国・雲隠れの里、土の国・岩隠れの里の五大国)の長である「五影」が結集し、忍連合軍を形成して対抗することとなった。
その時、「風の国・砂隠れの里」の長、五代目風影 我愛羅があらが言う。
「そんなものは、真の平和とは言えない。」

さてさてさて…じゃあ、「真の平和」ってどういう状態なの?
現実世界に舞い戻って考えてみる。
互いに核爆弾を持ち合って、それを抑止力として平和を維持するのは「真の平和」なのか?結局、憎しみに憎しみを重ねて、殺し合っているじゃない。
果たして人類が「真の平和」を築くことが可能かどうかについて考えると、どうしても絶望的な結論に行き着いてしまう。

ところが、「月の眼計画」が漫画の中だけの話かと思えば、そうでもないらしい。少し形が変わるが。

テクノロジーの最先端にいるカプラン(※)は、機械の方が正しい意思決定ができることを人々が受け入れられるようになるにつれ、重要な道義的判断や個人的な決断ですらAIに任せるようになるといいます。機械はきつくてつらい仕事の大半を引き受けて、「史上例のない余暇と自由を人間に与えてくれる」のです。
(※) ジェリー・カプラン。シリコンバレーの起業家。
(中略)
以下が、人類の未来である「働き方5.0」の世界です。
合成頭脳は、人間が必要なあいだは人間と協力して働くだろう。しかし、いずれ自分で自分を設計し、修理し、複製することができるようになる。そうなったら、人間は放っておかれるのではないだろうか。人間は「奴隷」にされるかといえば、おそらくそうはなるまい。むしろ、特別区で飼育されるとか保護されるというほうがありそうだ。
(中略)
人間と機械は同じ資源をめぐって競合するわけではないから、人間が芋虫や線虫を放っておくように、かれらは人間を完全に無視して放っておくだろう。あるいは、人間がペットを飼うように人間の世話を焼くようになるかもしれない。
(中略)
ふだんは気づかないが、人類が自分で自分を害しそうになると、かれらはそれを防ぐために介入してくる。そして初めて人間は真実に気づくのだ。
飼っているのはどちらで、飼われているのはどちらかということに。
『働き方2.0vs4.0』橘玲 著より

AIの保護と監視のもと飼育されるというのは、夢のない話ではあるが、現在のように、主義主張の相違や、限られた資源の奪い合いが戦争に発展し、殺し合うことを止められないのであれば、いっそのこと、そのような世界の方がまだましなのかもしれない。