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ビジネスをしていく上で、会計の仕組みを学ぶことは必須

専門家のように知っている必要はありませんが、その基本を理解し、「道具」として使える状態にしておくことが大切です。



規則(ルール)のひとつは「貸借対照表」です。

貸借対照表は会社の資産や負債、純資産の内容を一覧にしたもの。
会社を経営するための資金をどのように保有し、その資産を賄うために必要な資金をどのような形(負債、純資産)で調達しているのかを表しています。
これにより、その会社の安全性を知ることができます。


具体的に言えば、賃借対照の左側が「資産」で、右側が「負債」と「純資産」というのが決まりになっています。



左側の「資産」は、銀行に預けている現金や保有している有価証券、土地、建物の在庫といった会社の財産です。
原則、買ってきた時の値段で「資産」のところに決められた科目別に載っています。


その資産を買ってくるためには資金が必要ですが、その資金の調達源を表したものが、右側の「負債」と「純資産」です。
左側の「資産」と、右側のその資金の調達源である「負債」と「純資産」の合計は必ず一致するので「バランスシート」といわれています。



この貸借対照表を理解する上で最も大切なことが、表の右側の「負債」と「純資産」の違いを知ることです。これはとても大事です。



多くの人は「『純資産』は自社のお金で、『負債』は人から借りたお金」と答えます。しかし、この答えでは50点しかあげられません。
もし、経営者がこういうふうに覚えていたら、会社をつぶしかねません。



「負債」は将来のある時点で必ず返済しなければならない資金の調達源です。

「負債」を返せなければ、倒産に直結します。

一方、「純資産」は株主から預かっているものなのですが、会社を解散するなどしない限り返済の義務のない資金の調達源です。


「50点しかあげられない」と言った理由は、純資産を「自社のお金」と答えたからです。
「純資産」は法律的には「株主のもの」なのです。

そして、「純資産」の比率が高ければ高いほど、会社の中長期的な安定度は高まると言えます。


以上の規則を理解できれば、貸借対照表の第一段階はクリアです。
損益計算書やキャッシュフロー計算書は、肌感覚に近いので、これらはより簡単なルールさえ知れば、貸借対照表より楽に読めます。



「作り方」ではなく「読み方」を学ぶ



一般のビジネスマンが、経理の仕分けを必要とすることも財務諸表を作成することもまずありません。

その読み方の基本さえ分かればいいのです。


皆さんは、パソコンやスマホを使うと思いますが、パソコンやスマホの本体の作り方をほとんどの方は知らないと思います。
しかし、使い方は知っているはずです。
財務諸表も同じです。
経理担当者でない限り「作り方」を勉強する必要はありません。その「読み方」を勉強すればいいのです。



財務諸表が読めればニュースの裏側も見える


さきほど貸借対照表の基本中の基本を説明しましたが、財務諸表が少し読めれば、ニュースの裏側も見えてきます。


たとえば、武田薬品工業は今年5月、アイルランドの製薬大手シャイアーを約6兆8000億円で買収することを発表しましたが、同社の貸借対照表などが分かれば見通せることがあります。


武田薬品の貸借対照表の左側の「資産」(「流動資産」「固定資産」など会社の全ての資産を合算したもの)が2018年3月期の時点で約4兆1000億円あります。また、営業利益を2400億円余り稼いでいます。


しかし、現在の資産規模を大きく超える6.8兆円の買収を行うということは、資金を貸借対照表の右側の「負債」(借り入れ)か純資産でまかなうわけですから、買収後にかなり稼がないとこの買収は賄えないということが比較的容易に理解できます。


このようにして会計の基本である基本的な「規則」を理解した上で、興味のある企業の賃借対照表など財務諸表を3年分ほど見て、その数値と傾向を知ると、それだけでビジネスパーソンとして格がひとつ上がるのではないでしょうか。

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