【マーク・ベニオフ】富を生み出す人の秘密
クラウド型顧客関係管理(CRM)大手「セールスフォース・ドットコム」
共同創業者兼CEO、マーク・ベニオフ(53)。
世界を代表する経営者は、プライベートで日本のどこへ行っているのか──。
答えは「京都」だった。
ベニオフは「未来を担う世代にインスピレーションを与えられれば」と考え、なるべく若手起業家も連れてくるようにしている。「日本という国にはイノベーションのヒントと機会が詰まっていて、条件として理想的です」
「初心に戻るには最適の場所です。実際には14個しか見えませんが、『自分の心』を見つめられますからね」
「どうすればイノベーションは起きるのか?それには『ビギナーズ・マインド』が必要」
「自分の心と向き合い、過去の雑念を振り払うことで初めて未来を描くことができます。初心と意志、ビジョンが合わさることで行き先がわかるからです。リーダーシップはそこから始まります」
ベニオフ流リーダーシップには、(1)「夢」、(2)「バリュー(価値観)」、(3)「プラン(計画)」、(4)「障害」、(5)「計測」という5つの要素がある。
(1)リーダーは「夢」を語ることで、周囲に進むべき道を示すことから始める。
(2)次に、「価値観」を決める。全員が目指すべき方向性の指針となる。
(3)自ずとすべきことが決まってくる。実現するには「計画」が不可欠。
(4)だが、計画を実行する上で「障害」はつきものだ。
(5)その障害を克服し、成功したかを知るには、「計測」しなくてはならない。
そして、「初心」に立ち返ることでこの一連のサイクルは再び始まる。
「今日のCEOは、世界により良いインパクトを与えることが求められているのです」
自社にとって最も重要なことは何か。それに優先順位をつけることができるか。彼は若手起業家をメンタリングする際も、しつこく優先順位について聞くという。
ベニオフは「優先順位を決めること、すなわちリーダーシップ」とさえ言う。価値観に明確な優先順位を設けると、取るべき道も決まってくるからだ。「価値観の優先順位がわかれば、行動に移れます。判断がもっと簡単になりますよ。多くのリーダーがしがちな誤りは、価値観を決めずに拙速な判断を下している点です」
ベニオフは、より高いレベルの信頼関係を築くには、透明性が低ければ、顧客に信じてもらうのは難しいからだ。「なにごともオープンにしていくべき」
「システムにしても、ビジネスにしても可視化することで『トラスト、つまり、信頼性』が生まれる。
セールスフォースの透明化はプロダクトに留まらない。企業文化にも浸透しており、四半期ごとに行われる経営会議も公開してすべての社員にライブ配信している。
「自分と会社をもっとオープンにしていく必要があります。例えば、フェイスブックが犯した大きなミスの一つは、問題を認めるのに時間をかけ過ぎたことです。以前から問題があることがわかっていたのなら、なぜそれに向き合おうとしないのでしょうか? これは企業文化の問題でもあるので、克服しなければ繰り返されるでしょう」
「人は成長するので、いつまでも同じであり続けるのは無理があります。だからこそ、『初心』です。毎日が自分にとって新しい1日であると自覚しなくてはならないわけです。目の前にある現実を生きているか。この瞬間、地に足をつけて生きているか。きちんと相手の言葉に耳を傾けているか?」
金持ちは自分に縁遠い。そう考える人は少なくないだろう。しかしデータから見えてくる現実の富豪像は少々異なるのだ。努力、賢さ、経験、そして何よりも忍耐──。彼らの歩んだ道を辿れば、これから彼らが向かう先も見えてくる。
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