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回るmerry-go-round

 今日は2限しかないから、化粧も眉毛を書くだけにしよ。日中は暑いから、Tシャツにダル着のズボン。寒ければ上着羽織って、足はサンダルでいいや。
 1限から始まらないというだけで、私の一日は凄く楽になる。朝5時に無理やり重い瞼をあけて、目の浮腫をとって化粧して、人らしい服を着て。そんなことをしなくていい2限始まりの日が増えた今学期はかなり気が楽だった。周りは全休がある人ばっかだけれど、教職課程があるから仕方ない。結局、とる免許を減らす方向で再スタートした。将来普通の企業に就職したとしても、知っていて損なことはないはずだから。
 昨日床で寝落ちしてしまったせいか、片目が腫れて一重になっていた。もともとそんなに二重幅が広い訳では無いのに、悪い目付きがより悪くなっていた。普段センター分けの前髪を厨二病みたく片目隠しに使って、ダルダルの服を着てほぼすっぴんで電車に揺られていた。
 電車内では、ずーっと音楽を聴いていた。THE FIRST TAKEに出演したポルノグラフィティの「サウダージ」「アゲハ蝶」を見て、その後はフレデリックの「スパークルダンサー」「オドループ」を見た。乗り換えの電車の待ち時間にはSUPER BEAVERの「グラデーション」、とたの「紡ぐ」、ヒグチアイの「悪魔の子」、TOOBOEの「心臓」などなど、約5分に込められた熱い音楽を耳で受け止めていた。その後は、いつもの調子でtonunの音楽を聴くのだった。noteで音楽を紹介しようと思い沢山聴いていたら出会ったアーティストたち。tonunの音楽は、私にはあまり縁の無い恋愛ソングが多くて、でもとても心地よくて、出会ってまだ7ヶ月なのに大好きになっていた。
 そんな電車を降りて、バスの乗り換えがやってきた。たくさんの大学生が同じバスを使う。それなりに大きい私の大学は、酷い時は20分以上並んでバスに乗らなければならない。今日はもう既に並んでいた。手抜きの見た目をあまり人に晒さないように呼吸をする。やっと行列が進み、ギリギリ座れるくらいの場所で次のバスに切り替わった。混雑時は座って隙間を埋めた方がいいので座れるなら座る。頭にはtonunの音楽が絶えず流れている。
 バスに乗って3分くらいした頃だろうか。教職課程の科目の担当者からの通知が来ていた。その教職科目の先生は、春学期に履修した同級生からかなり悪口を聞いていた先生だった。「1回課題出し忘れたり欠席したら終わりだよ」「単位厳しい」なんて、先生になる気満々そうな子が酷いあだ名を付けて言っていた。授業は多くは講義形式だが、近隣の席の人と話し合うアクティブラーニングもあり、学部学科学年全て異なるような人達が履修する教職科目でそれは、バカクソコミュ障の私にはかなり酷だった。そんな科目の担当からの通知。「座席指定をしました。次回の授業からここに座ってください」という内容だった。すぐさま確認する。危惧していたことがあったから。しかしその危惧は目の前で現実になった。
 大学も、学部も、学科も、最寄り駅も、資格過程も、ゼミも謎に一緒で気にしまくってしまい、激キモなnoteを常々書いてしまっている人がこの科目を履修していることに気付いていた。私の名前を見つけた時、その人の名前は私の名前の隣に並んでいた。
 それを確認した瞬間数億年ぶりに「死にたい‼️」「消えたい‼️」と思った。単純接触効果というのは極めて恐ろしいものだと思った。勝手に気にしまくってしまっている人とアクティブラーニング❓半年間❓そりゃゼミ一緒だけど、ゼミで話さないし、私別にこの人みたいに教職課程にやる気がある訳でもないし、先生になんてなりたくないし、親に言われて嫌々やってるだけだし、あぁどうしよう。どうしよう。何を、どう話せばいいんだろう。「ゼミ一緒だよね‼️」とか?いやいやキモイキモイキモイ。認知してんならゼミで話しかけろ気色の悪い。既に無口陰キャすぎて嫌われてるかもしれないし、しかも先生が目の前にいる席だから無駄口聞くのもよくないだろうし、きっとこの人もこの座席表今見て「うわっ…」ってなってるよね⁉️どうしようどうしようどうしようどうしようどうしようなんでこんな偶然起きるの⁉️仲良くなれるわけないじゃん私息できない苦しい無理!!!!!!
 頭の中が消えたいでいっぱいだった。やっと忘れられそうだったのに。そんなぐちゃぐちゃの脳内に、tonunの「merry-go-round」が響くのだった。

 _君と僕の心はいつも平行線上だ
   こんなにも近くにいるはずなのにな

merry-go-round / tonun

回るメリーゴーランドが、前の乗り物に追いつかないのと同じように、自分の気持ちが相手に伝わらないのを描写するこの曲に頭を抱えた。いつも何気なく聴いていたのに。大好きだから聴いていただけなのに。どうすればいいか分からない。初めて買ったアーティストのアルバム。この曲の次は「気持ちの糸」という曲が入っていて、失恋したあとのやるせない恋を「忘れたいよ 忘れられないよ」なんて歌い出す。やめてやめてそんなんじゃない。たすけて。違う。違う違う違う。

 教室について、その講義にもその顔はあって。もうなんでもいいから帰りたくて、呼吸したくなくて。でもお腹は空いて。喉は渇いて。痩せるって思ったのに結局おやつを食べてしまった。あぁ、何も、何も何も出来ない。明日提出の教職の資料。まだ何も作っていない。全てが億劫でどうしようもない。度々人間を辞めたいと思うことはあるが、今日は久しぶりに強く思った。消えてなくなりたい。

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