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Joey Bada$$ - 2000(レビュー、元ネタ、サンプリング)

HipHopの聖地Brooklyn NYC。現在のBrooklynを代表するラッパーJoey Bada$$のアルバム2000がリリースされました。
著作権の問題で遅れると本人のツィートがありました。行き過ぎた権利の主張は、ややもすれば未来の芽を潰す事、即ち破壊行為になる事を認識して欲しいです。著作権問題は自分も経験ありますが料金設定が曖昧且つ割高です。ハッキリ言うといい値ですから後から揉める事も多く大変です。
近年のラップミュージックは所謂Trap(TR808のビートマシーン使用)が主流ではありますが、自分はビートメイクしてきた中で90年代に多用されたMPCシリーズのビートマシーンの方が音楽的で好きです。
今回のアルバムはStatik Selektahのビート中心にMPCや生ドラムが主でありとても音楽的な作品だと感じました。
個人的には現在Lofi・Boom Bapのビート制作を行っており、2022年秋に「Back to 90s」というブランドを立ち上げたいと考えていますので、Lofi・Boom Bapを代表するラッパーJoey Bada$$の作品には非常に注目していました。
簡単ではありますが、1曲1曲レビューしていこうと思います。

The Baddest (Ft. Diddy)
DeBarge - I Like It、Alicia Keys feat. Jay-Z - Empire State of Mind(Jay-Z)Doug E. FreshI'm Gettin' Readyのフレーズ等が出てきますね。曲調は生音Jazzyで落ちついた雰囲気です。Diddyのフロウも良い感じです。長くHipHopを聞いてる層も納得ではないでしょうか。

Make Me Feel
Statik Selektahのビートです。モロに90年代を意識していますね。Stephanie MillsSomething in the Way (You Make Me Feel)の声ネタ使っています。適度に不規則に入るスクラッチが音楽的で心地良い感じです。

Where I Belong
MVが先行でリリースされたStatik Selektahのビートです。野太いビートにだらっとしたバッドアスのフロウがハマっています。90年代を意識したまさにBoom Bapではないでしょうか。Nenobia Washington - Interviewをネタとして使っています。

Brand New 911 ft Westside Gunn
客演のWestside Gunnが相変わらず良い味出しています。ぬるくて緩い感じのドラムが90年代を意識したLofiの雰囲気を出しています。ベースラインがコード進行から少し外した感じでカッコイイです。音楽制作をしてるのでルート音であるベースコードはどうしても気にして聴く癖があります。元ネタはBrief Encounter - Total Satisfactionをサンプリングしています。

Cruise Control
TR808のドラムマシーンを使った唯一の曲。ただ、今風なTrapではなく90年代初期のアーリーハウスのような使い方です。途中でThe Notorious B.I.G. - JuicyのIt was all dreamのフレーズが出てきてテンション上がります。Capital STEEZ - Free the Robotsをネタとして使っています。

Eulogy
J Dillaが創ったと言われれば、そうかなと思わせるビートです。ピアノが主ですがシンセの音の使い方がセンス感じます。シンセサイザーはセンス一発的な楽器ですから面白いです。ベースがルート音ですがもう少し外した方がカッコイイ印象です。

Zipcodes
正直曲調はそこまで好きではないですが、MV観てると懐かしい気分になります。Shoody - Don't Say Hello, Don't Say Goodbyeをネタとして使っています。

One of US (feat. Larry Jane )
Statik Selektahのビートです。90年代のR&Bのどの曲かはど忘れましたが、おそらくサンプリングかと思います。Larry Juneの今風なフロウもハマってます。シンセベース(Moog Synth)が音楽的で良いです。追記:Times 3 - Make Up Your Mindを声ネタとして使っています。

Welcome Back ft. Chris Brown, Capella Grey
この曲も90年代のR&Bをサンプリングしていますね。シンセサイザーの使い方がカッコイイ。客演のChris Brown, Capella Greyは何か曲調や方向性とアンマッチな感じはありますが、Chris Brownの声が入るだけでメジャーな雰囲気が出て良いかもしれません。

Show Me
Statik Selektahのビートです。Men I Trust - Show Me Howをサンプリングしています。声をコード進行に被せてて全体的に心地よく聴こえます。

Head High
Statik Selektahのビートで一番に公開された曲です。MVシンプルですが好きです。近年MVの重要度が益々増していると感じます。

Survivors Guilt
先行でリリースされた曲です。個人的にはこのアルバムを通じても一番良い曲だと感じます。この曲のレビューに関してはnoteに単体で書いてあります。コード進行はDave Hollister - One Woman Manをサンプリングしています。

Written in the Stars
ピアノやストリングスが印象的です。落ち着いた何か懐かしさを感じる雰囲気の良曲です。

総括:2010年代はTrapが主流でありましたが、2020年代はLofi・Boom Bap等が主流になっていくといいですね。実際、流行るのは確実ですが、主流になり得るか否かは不透明です※自分が良いと感じる音楽と一般の人が良いと感じる音楽が違う認識はあります。

自分の今後の活動ですが、ビートメイカーとしてはLofi・Boom Bap等、90年代に源泉を持つ音楽ににフォーカスし制作します。DJとしては販促としてBack to 90s Club/Bar Event主催・Web上で90s / Lofi / Boom Bap関係のグッズ販売等を展開していきます。

正直、ビートに関しては世界のインディーズシーンで高い評価を頂きましたが、音楽データ販売は収益を上げる事が非常に難しく最終的に収入になりませんでした。そこで、音楽に関する各種グッズを創りWeb上で販売するのが賢明かなと考えています。収益が見込められなければ時間もお金も投資は出来ません。例えば、自分でミックス:マスタリングしてスタジオ代をケチる、生収録のエレピが欲しいけどKeysvape等のソフト音源で我慢する等、予算を削れば良い音楽作品が創れなくなります。正直、PCを1回でも使った音楽はPCの色・音付いてしまい好きになれません(PCで創ってビート提供していますが)自分の耳ではそう感じます。気にならない人は気にならないでしょう。今後も音楽活動を続けたいのでトライアンドエラーを繰り返し、少しでも収益を上げる方法を模索していきます。

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