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カバーとカプコンの使用許諾権利問題に一つの区切りが来た件

 つい先程の発表になりますがカバー株式会社株式会社カプコンの間に、著作物の利用に関する包括的使用許諾契約が締結されました。

 これによってカバーが運営するホロライブプロダクション所属のVtuberは、カプコンのゲーム著作物を利用したコンテンツ投稿が可能になります。しかも今回の包括的利用許諾には「過去の配信が含まれる」とされている為、過去の配信についても合わせて許諾を得たことになるようです。


 Vtuberと、Vtuberがゲーム配信するにあたって権利者の許諾を得ることに関する問題は、2020年頃に大きな話題となっていました。

その問題の中で最も大きな出来事ともいえる事件の一つが、2020年7月30日に起こった、ホロライブのVtuber大神ミオが同年1月に行ったカプコンのゲームソフト「ゴーストトリック」配信に対する、カプコンからの著作権侵害の申し立てによる権利者削除と、それに付随するカバーの「権利者様の許諾を得られていない著作物使用に関するお詫び」の公式発表であった事は、いまだに記憶にある方も多いかと思います。

 著作物であるゲームコンテンツを利用した配信の許可に関する是非は、この問題以前にも、任天堂に対してカバー側の無許諾配信に関する謝罪が一度行われていたこともあり、当時はカバーだけでなくVtuber界隈全体を揺るがす問題として大きくクローズアップされました。

そして同件によってカバーは謝罪に加え、その前後にホロライブプロダクション所属の全Vtuberを対象とした1万件を超える過去動画アーカイブの大量非公開や、大神ミオ1ヶ月に及ぶ活動休止などを行うことになりました。

このことはVtuberのみに限らないゲーム配信者とゲーム著作権に関する問題の大きな転換点だったと個人的には感じています。

 それからというものゲーム配信における著作権問題については、万人が厳しい視線を向けるポイントとなりました。

 また近年はコナミデジタルエンタテインメントの「桃太郎電鉄」のように発売当初から「配信を許可する」ことで大きく話題になるソフトが現れたりと、Vtuberやゲーム配信者の影響力と宣伝効果を期待する動きも、ゲーム制作各社の方で見られるようになりました。

 もっとも、著作物許諾については「桃太郎電鉄」の場合「プレイした人以外は動画をUPしてはダメ(第三者による動画切り抜き不可)」といった制限がつきましたし、マーベラス「天穂のサクナヒメ」のように「配信許可をしたが、配信の仕方については開発者サイドが後日苦言を呈したり」と、話題は「許諾の有無」から「許諾をする際にどういった制限をつける必要があるのか」といった次のステージに進んだような印象もあります。


 さて話を戻しますが、そんな過去を持つカバーとカプコンでしたが、最近はやや融和ムードではありました。

ちょうど1ヶ月前の2月には、著作権騒動の当該配信者であったホロライブ所属の大神ミオと、カプコンの「カプコンネットキャッチャー カプとれ」でのコラボレーションが開催され、また大神ミオ以外にもホロライブ所属のメンバー数名が実際にこの「カプとれ」コラボのプレイ配信を行う、またはカプコンの新作ゲーム「帰ってきた魔界村」のプレイ配信を行う、などの動きも見られ、両社の関係改善に安堵する声もコメント等で散見されていたところでした。

 そして本日、カバーとカプコン間では、著作物の許諾について正式な合意が取れたことになります。大神ミオの「ゴーストトリック」配信からは実に1年と2カ月、権利者削除から数えても8ヶ月ちょっと。ようやく一連の流れに一つの終止符が打たれました。

 個人的にはもちろんカプコンとの包括的使用許諾契約を結んだことによってホロライブプロダクションの配信バリエーションが増えることも嬉しいのですが、一度権利者削除といった大きい騒動に発展するところまでいった謝罪先であるカプコンに対して、カバー側がキチンとした信用を得たことが視聴者にわかる契約という形で公表されたことも今回はまた嬉しく思います。

ネット界隈にはまだまだ数多くの問題があり、今後も新しい問題が技術の進歩や配信形態の変化等によって次々と生まれる事だろうとは思いますが、今日は自分の好きな界隈の一つの問題に区切りがついたことをとりあえず単純に喜びたい、今はそんな心境です。


<3/19 19:00 追記>
 たまたまなのかもしれませんが、同日にSQUARE ENIXのキラータイトル「ドラゴンクエスト」シリーズの配信ガイドラインも緩和されたようです。

ゲーム配信への使用条件緩和も、これからもっと進んでいくのでしょうか。



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