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無駄じゃなかった

友人たちの意味が分からない会話集

「無駄じゃなかった」

「なんだっけそれ?」

どうやら漫画のセリフらしいが、肝心の作品が思い出せない。

「無駄じゃなかった…!」

重ねてくるが、やはり分からず、場がさらに混沌に包まれる。

仕方が無いので考察をはじまる。

無駄じゃなかったから漂う報われた感から想像するに、味方サイドのセリフ。

悪役が使うには、ちょっと綺麗すぎる。

積み重ねた努力に疑問を思った発言者が、何か土壇場で実力を発揮したシーンに思える。

スラムダンクとかかな?
スポコンものなら、お決まりのセリフ。シュートを10000本打ち続けた桜木花道が、試合中にボヤいても不思議ではないけど、そういうタイプではないように思える。小暮あたりがベンチからかけそうなセリフ。

鬼滅の刃、ではないかと意見がとぶ。
確かに、炭治郎の修行パートは長かった。それらの経験が実践で生きたのなら、思わず零してしまいそうなセリフだ。

きっとこのセリフは「1度自分の努力に疑問を思う」工程があって初めて深みが増す言葉なのだろう。

師匠への反抗、途中で投げ出す描写、それから実感の湧かない環境が不可欠に思える。

そういえば、アイシールド21にもそんなシチュエーションがあった。デスマーチと呼ばれる長期遠征をこなした主人公チーム一行が、恐ろしいほど成長していたシーン。

1週間、車を押しながらカントリーロードを進む。主人公は小さな子石を蹴り続けながら行軍し続ける。足の筋肉が断裂し、超回復を繰り返す。

日本に戻った彼らが、国内でも屈指のパワーを誇るチームと練習試合をするとなった時、初めて自分たちの変化に気付くというシーンが印象的。
そこだったら「無駄じゃなかった」ってセリフはなんらおかしくない。

無意識→実践→実感→無駄じゃなかった。

うん。美しい。もしかしたらこれが正解かもしれない。
手元に解答ボタンを幻視しながら、すぐさまピンポン!と押下する。


「アイシールド21!」

「ざんねーん。化物語でした」

なんやねん。

「化物語のどこのシーン?」

「いや、分からん。ほら、調べたらでてきた」

ますますなんやねん。

しかし、調べてみるとこれが案外面白い。

強大な敵に立ち向かったヒロインが敗北し、弱音を吐く。そこに駆けつけた主人公が、言葉をかける。

「無理だったかもしれない」
「無茶だったかもしれない」
「でも、無駄じゃなかった」

なるほど、これは誰かの健闘を称える言葉だったらしい。
すっかり内省の言葉だと勘違いしていた。
「無駄じゃなかった」は、自分に使うことでドラマティックな演出になる。
しかし、それを誰かに向けることは、いままで考えたことがなかった。 
そうか。これは人に向けられる言葉なんだ。

「無駄だよ」
と声を掛けるのははばかられて然るべきだから、そこに引っ張られてしまっていた。

「無駄じゃなかった」

いいかもしれない。

ちょっと不思議な使い方だけど、言葉の可能性を感じた。

なるほど、この話は無駄じゃなかったみたいだ。

そんなことを思いながら、大人のプリンをひとすくい✨

たまには、日記みたいな記事も必要!

色んな私を書いていこう〜。
きっとどれも無駄じゃないはず!





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