有効活用しなくっちゃ

「只今からタイムセールを開始します~!」といかにもアパレル店員です!と主張する女性店員の声が、道幅は狭いのに往来の激しい通りに響いた。

どんな商品があるのかな?と少しの興味と、次のライブまでの時間潰しで店内へ。

既にタイムセールを予告していたようで、商品を手にしたお客さんでごった返している。
どの女性が店員さんなのか、胸元の名札を確認しないと分からないほどだ。

いつも服を買う時は、その都度だけどルールを決めている。
・コートやかさばる物は買わない
・持っていない色や形の洋服を探す
・値段は安く
・着たい物と値段で迷うなら着たい物を 今日はこんな感じ。

「最大70%OFFです~」と店員さんが言うけど、30%が6割、50%が3割、70%は……1割ある事にしておこう。
顔に合わせては鏡とにらめっこ。3着に絞っていざ試着室へ。

試着室は5人待ち。
レストランの様に名前を記入して待つシステムがしっかり導入されている。

日頃から混雑するお店なのかな?と思っていたら、
「試着ですね。お名前を教えて下さい。混雑しておりますので、店内をご覧になってお待ち下さい。」と
背が低くて可愛らしい店員さんが、私の目を見ながら大きい声で一方通行に話しかけてきた。

人見知りや話しかけられるのが嫌いじゃないけど、こういうタイプは男女問わず苦手だ。

混雑しているので大丈夫です。
すみません。このピンク色のトップスはサイズ表記がフリーサイズなんですけど、私が着れそうですかね?と可愛らしい店員さんに質問したところ、「このトップスは伸縮性があるので、お客様ですと全体的に少しゆったり気味で着られますよ!」と、目の前にいる私に大きな声で教えてくれた。

そして畳み掛ける様に、「お顔立ちからしてもピンク色がお似合いですね!」としっかり買って下さいアピールもされた。

持っていない色で、値段も1000円以下とお手頃。
時期的にもまだ3ヶ月くらいは着られそうな生地感。

ありがとうございます。すみません。この2点は結構です。と店員さんに渡し、ピンク色のトップスだけを持ってレジに並んだ。

店員さんのやり取りを聞いていた、このお店の顧客ターゲットとは程遠い、60代~70代に見える女性たちが、同じトップスの色違いを持って私に声を掛けて来た。

棚に戻した瞬間、可愛らしい店員さんが頭を下げてきた。


今になって、あのピンクのトップスがたまらなく欲しくなっている自分が気持ち悪い。

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