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阿波踊りから刺激をうけてできた「百鬼夜行」by オノマトペル

「百鬼夜行」という曲は、徳島を舞台に制作した曲。

オノマトペルと言う音楽ユニットの最初の曲でもある。2017年の夏、私、シンガーソングライター横沢ローラは弾き語りで全国を回り出して2年目。共作のお誘いをうけ、のちにユニット結成となるメンバーのピアニスト工藤拓人氏から送られてきた曲に歌詞をつけていた。

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時期はお盆。徳島は阿波踊りの真っただ中。
徳島には年に6回も長期で訪れているが、初めて見る阿波踊りに私はとても感動していた。

徳島市から高知よりに4時間ほど奥地に進んだ東祖谷から始まり、川沿いにずっといろんな地域の阿波踊りを見た。そこから美馬の脇町、貞光、そして最後に、道という道、路地までずっと踊り子が絶えない市内の阿波踊り。

壮大な市内の阿波踊りは、世界中誰がみても気持ちが華やぐ、すばらしい光景だと思う。でも阿波踊りで一番興奮したのは、それが踊り子たちのはれ舞台というだけではなく、地元のみんなに子供の頃から根付いた文化なんだと感じた時だった。
徳島の友達の集まりに呼んでもらい、昼からバーベキューを楽しみ、宴もたけなわとなった夕暮れ時。
誰からともなく、食器を箸で鳴らし始めると、誰かが笛で参加する。すると太鼓まで出てきて、そこはすぐに阿波踊りの輪がうまれた。

さっきまで隣で品行方正に座っていた、教育委員会のお偉いさんも、ママの後ろで恥ずかしがっていた子供達も、踊り子の姿にかわる。
その手つきの美しさ、腰を低く構えた所作のかっこいいこと。
お盆ということもあり、ご先祖様も、生きとし生けるものも、地元の妖怪も虫けらも神様も、一緒になって楽しみ、一年に一度会いたい人に会いに集まってくるんだなぁ、と、その素敵な光景に涙が出た。


この体験から、徳島の人たちをみんな妖怪にしたてて歌詞に乗せたのが、「百鬼夜行」と言う曲である。

徳島の妖怪と言えば、もちろん登場するのは子泣き爺。
山深き、池田あたりの妖怪である。


その他全国の妖怪も歌詞に登場するが、最初の方に出てくるのは
あまのじゃく、雨女、山男、海坊主、、と、人間界にもそう呼ばれている人が身近にいるはずの妖怪たち。
実は妖怪にも神さまにも分類される妖怪の存在は多い。大蛇、狐、猫‥‥、
人間も、妖怪も神さまも。住む世界や次元が違っても共存してきた。

ミュージックビデオは、徳島にて撮影。友達づてに関係者を含め総勢約40人弱の人たちが徳島のあちこちから美馬に集結してくれ、踊ってくれた。
衣装もメイクも持ち寄りの手作り。

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妖怪の曲だがあえて登場人物は全員人間のままのいでたち。
妖怪と人間の境い目、人と人との境目、古きも新しきも動物も植物も。境目みたいなものを取り払ってみんなでこの土地を愛し、一緒に暮らし、守っていこう、と言うメッセージをミュージックビデオにこめた。

「百鬼夜行」ミュージックビデオのストーリー


美しい自然と独自の文化と街並みを維持してきたある島の奥地に、再開発の手が伸びた。
担当する大手ゼネコンの社員は、仕事とはいえあまり乗り気ではない。古き良き建物を壊し、地元住民を立ち退きさせること...。あまり人に歓迎される工程ではないが、とりわけ反対するほどの思い入れもなかった。

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一息ついた市街の公園にて、彼は突如現れた妖怪の手下たちに手を引かれ、陽気な妖怪たちの踊りの列に誘われ、気づくと担当する予定の再開発地域にたどり着いていた。

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待ち受けるのは妖怪大将と百鬼夜行の宴。

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人間が出くわすと死ぬと言われている百鬼夜行だが、
ゼネコンの社員も老若男女の妖怪も、お互いに仲間として一緒に酒を酌み交わし、歌い踊り楽しむうちに、とっぷりと夜もふけていく。

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ふとうたた寝から覚めるゼネコンの社員。
夢だったのか、、と思い、ふと、妖怪たちが現れた木陰を見ると、あの妖怪大将から手渡された、宴のウチワが。

想いを馳せる社員。再開発を推し進める資料を捨て、晴れやかな顔で走り出す。
新たなこの美しい宝の島のありかたと提案を胸に。

「百鬼夜行」ミュージックビデオ


Presented by onomatopel
「百鬼夜行」
The Night Parade of a Hundered Demons
横沢ローラ(Laura Yokozawa)
工藤拓人(Takuto Kudo)

歌詞:
さぁさ お祭りだ 隠れてないで 出ておいで
ぼやっとしているとおいてけぼり 列をなせ
今宵 久しぶりに集まった懐かしい 顔ぶれ
天邪鬼、海坊主、雨女、山男、勢ぞろい
ちょうちん持って、笛吹いて、太鼓をならせ!
夜が明けるまで 皆がひとつになるまで
今宵 久しぶりに あの人に会いにゆけるから

日の出ずる国から
やおよろずの もののけ達よ進め、歌え、踊れ 想いはひとつに
いつくしみ深き ふるさと あおきやまと 守り暮らすために

ちょっとひと休み  お伊勢さんにお参りしてこ
雪女がシャンソン、ろくろっくびロックでシャウトすれば
ポンポンポンポン!って 豆狸 踊りだし 宴の始まり
手をたたく こなき爺 あきれてる 砂かけ婆 気づけば
ヤマタノオロチ 酔いすぎて3匹寝てる
アクロバットなダンス 絡まってるいったんもめんと
タスケテ!って カラッカラになったお皿を指差してるカッパたち

丑三つどき越えて
やおよろずのもののけ達よ進め、歌え、踊れ 今宵、百鬼夜行
いつくしみ深き ふるさと あおきやまと 守り ずっと暮らしたい

やおよろずのもののけ達よ進め、歌え、踊れ 今宵、百鬼夜行
いつくしみ深き ふるさと あおきやまと 守り ずっと暮らそう

一寸先 つつむ闇に 呑まれぬよに
大事なものなくさぬよに おまじないを
「カタシハヤ、エカセニクリニ、タメルサケ、テエヒ、アシエヒ
ワレ、シコニケリ
カタシハヤ、エカセニクリニ、タメルサケ、テエヒ、アシエヒ
ワレ、シコニケリ」

やおよろずのもののけ達よ進め、歌え、踊れ 今宵、百鬼夜行
いつくしみ深き ふるさとあおきやまと 守り ずっと 暮らすために

やおよろずのもののけ達よ進め、歌え、踊れ 今宵、百鬼夜行
いつくしみ深き ふるさとあおきやまと 守り ずっと暮らそう

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オノマトペルとしてユニットを結成後、初の楽曲発表をしたあと、徳島を舞台とした映像制作は徳島新聞、毎日新聞が記事にしてくださった。


徳島の阿波踊りの映像は多数あれど、違った形で徳島の自然と文化、人の魅力をストーリーに組み込んだ作品として作りたいと思った。
場所は架空の、神々や妖怪が宿る「宝の島」と、パラレルワールド的な描写で同じ土地に人間たちが暮らす「徳島」が存在し、阿波踊りと百鬼夜行が交差することで同じ時間を共有し、わかちあうという、生きとしいけるものたちの共存の世界を描いている。


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