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今回は農業従事者の番〜肩を張らずにフランス167

 マニフェスタシオンの話。

 1週間前くらいからあちこちで始まったと話には聞いていたが実際に見た(被害?にあった)のは昨日からだった。

 フランスのストとマニフェスタシオンについては後ほどまとめてお話しするとして、今日は、昨日今日体験したことにだけ言及することにする。

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 仕事場まで30kmほどある。毎日車で往復している。

 家から2kmほどのところに高速の入り口があり、チラッと見ると車やトラックが列をなしている。入れないようだった。訝しげに思ったが自分には関係ないので先を急いだ。

 街に入りもう一息でつくと言うとことで奇妙なものを見た。

 街バスがワーニングを出したまま動かない。

 「何だこりゃ?」

 前に進むとまた同じようにバスが止まっている。これはおかしい。

 次の角を曲がると100メートルほど前が渋滞で進めなくなっている。Uターンする車も出てきた。トラクターが道を塞いでいるのだろう。午後の通勤の時間でもあり、一番迷惑のかかりそうな時を狙ってやっている。

 仕方ないので手前で道を曲がり、車を止められる場所を探した。少々遠いが歩いて5分ほどの距離の所に見つかった…

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 帰りはいよいよ奇妙な光景に出くわした。

 行きのところで話した高速の入り口にロータリーがある。このロータリーには何年も前から草木が植えられている。20時頃だからあたりは真っ暗。このロータリーが見え始めて何やらチラチラ明かりが動いているのが見える。近づくにつれ煙もはっきり見えてきたので、何かが燃えているのだとわかった。ロータリーに積み上げられた藁の塊が燃えていた。シュールな光景だった。農家の連中がやったことは間違いない。高速の入り口も封鎖してしまっていた。誰もが皆、火事にならなければいいがと思っただろう。街とは違いここには森がすぐ前にある。幸い風はなかったのでよかったが、どういう神経をしているんだ!?

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 翌日も仕事。

 ロータリーを通ると火は消えている。何年も前から植っていた松の木が痛々しく倒れていた。「これに何の意味があるの?」と誰もが思っただろう。

 往きに問題はなかった。

 帰りの高速(無料地帯)が8kmほどあるのだが、乗った途端に渋滞だった。3分の2の所でピタッと止まった。ノロノロ動き始めてしばらくした所に掲示板があり「高速道路は利用できません。次の出口を利用ください」と出ている。自分としてはいつも利用する出口なので構わないのだが、全員?大型トラックもみんな全部?またしばらく行くと単車線になり本当に皆出されていた。普段は4−5分のところを20分はかかってしまった。民間人が高速道路を封鎖するという話は聞いたことがなかった。あんなのにも許可がいるんだろうか?高速の収益減は誰が補うんだろうか…

 その後例のロータリーまでは順調に走れた。ロータリーの手前200メートルほどでまたピタッと止まった。家はすぐそこなのに。今度は何も燃えていない。ロータリーに入ると物々しい数の gendarme 「憲兵」がいる。昨夜のことがあったので出てきたんだろう。相変わらず高速の入り口は閉鎖されている。当たり前だ。のれても進めないんだから…

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 2日間でいろいろ経験した。農業従事者のマニフェスタシオンが終わる気配はない。仕事は今日も明日もある。車は必需品。

 なるようにしかならない。

 フランス人を怒らせると自分の家まで燃やしかねないのでご注意を。

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