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MarchéとVide Grenier〜肩を張らずにフランス176

 久々に生活情報でもあげてみよう。

 初めの2軒の家の時は、街に住んでいたこともあって日曜日ごとに行っていたが、この10年ほどご無沙汰している。今の家からだと木曜日の午前中にしかないので単に億劫なだけ。

 「マルシェだから週末なんでしょ?」というわけではない。うちの最寄りでは木曜日だし、もちろん他の日にもどこかでやっている。月曜日にやることは多分ないと思うが。

 日本にいた頃は、マルシェというとなんとなくフリーマーケットをイメージしていた。実際はそれを職業とする商売人がほとんど。週に4-5回どこかで店を開いている。一般に昼までで終わりなのであとは片付けをして返って行く。返った先にブティックを開いている人も多い。よくお世話になっているハチミツ屋は、金曜日の午後作業場で客を受け入れている。先代からお世話になっていて作業場の説明までしていただいたこともあり、いまだにうちの棚に欠かさず並んでいる。

 大きい街の週末のマルシェだと骨董品や古本なんかも出る。イメージ的にはこっちの方がピッタリくるかも。今はもうわざわざ行くこともなくなってしまった。

 フリーマーケットは別に存在する。あちこちの街や村で年に1−2回、誰でも登録すれば「店」を広げられる。 « vide grenier »「屋根裏そうじ」なんて呼ばれている。「フリーマーケット」という呼称と比べると、いかにも古そうで埃だらけのものが出ていそうに聞こえる。実際そう。この間フランスのメルカリ « leboncoin »の中でも話したが、何を出しても意外と買い手はいるもので、「えっこれが?」という物の方が先に売れたりする。自分ではまだやったことがなくて聞いた話ばかりで申し訳ない。来年あたりやってみてもいいかも?

 マルシェの最大の利点は、スーパーより少しばかり安いこと。維持費とか光熱費とかがない分安くて当然。ただ近隣の農家が出しているかというとそうとは限らない。むしろ転売屋?が場所を広くとって、スーパーと同じようなものを売っている。ちょっとだけ安い。ひょっとすると負けてくれる?のが違いかも。
 商売人と無駄話するのもマルシェの魅力。元々ざっくばらんな国民性で「お客様は神様」は存在しないから、普通に「こんにちは」から始まって「今日の天気は」とか「この間は」とか続き「どうもありがとう」「さよなら」で終わる。日本の市場とか昔の商店街のイメージに近い。これはスーパーでは難しい。 « caisse »キャッシャーでグダグダ喋られると並んでいる方は流石にイライラする。

 衛生面の問題もあるので日本では流行らないかもしれない。それとスペースとか気候とか色々難しそう。日本の夏の炎天下、屋外で肉さかなを売っているのを見て買う気になるかわからない。

 最近は近間の « marché fermier »というのをよく利用している。金曜日と土曜日だけ空いていて、周辺の農家が出店している。みんなで出し合って «ZA: zone d’activité »センター(モールではない。街の一角を占める大きな店舗がいくつも寄り合った広場のようなもの)の一角に建物を借りているようだ。何と言っても新鮮な野菜果物、肉類が手に入るのはうれしい。少々割高だが見るからに「今採ってきた」風の商品が並んでいると、見ているだけでワクワクする。肉類にしても、どうしてこんなに味が違うの?と思うくらいはっきりとした違いがある。値段には変えられない。

 農家直売の « panier »システムというのも存在する。毎週ひとカゴの野菜や肉類を買うという契約式で、何が入っているかわからないが、新鮮な肉野菜がお手軽価格で手に入るのが魅力。料理に使ったことのないものまであるので日頃から料理をする人向けだろう。

 時代を追ってマルシェの姿も変わってきている。

 フランスの「顔」の一つであるmarchéやvide grenier。いつまでも続いてもらいたいものだ。

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