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法律業務最大のリーガルテックを振り返る #和文タイプライター #ワードプロセッサ

リーガルテックに関する講演や執筆、メディアインタビューなどが増えて、弁護士業務/法律業務に関するテクノロジーの浸透に関して意見を求められることがあります。

弁護士/法務からの反発はないのか?との問いが真正面から聞かれることがありますが、「ある。」と断言しながらも、「この国のロイヤーは過去になんどもその時代時代のテクノロジーを取り入れ 業務を効率化してきたのだから、きっと受け入れてもらえると信じている。」と答えています。

特に論理を乗せた「文字」を裁判所に代弁することが主たる業務ですから、文字に関するテクノロジーは常に反映してきました。

手書きから和文タイプライターへの進化

ワードプロセッサやプリンターのなかった時代には、弁護士や代言、公事師たちは口頭や手書き文書にて、揉め事の仲裁業を代弁してきました。

そしてすごいのが、ワードプロセッサ誕生以前の和文タイプライターという機械装置です。以下の動画をご覧ください。

1940年から1960年代の文書業務で利用されていた和文タイプライターです。今考えれば信じられませんが、以下の和文からタイピングを行なっていました。

(wikipediaから引用)

当時の法律事務所の事務員の主な業務は、弁護士が手書きで訴状を書いた文字を、和文タイプライターでガシャガシャ、ガシャガシャと、この機械装置を動かし続ける業務でした。それはそれは、大変な作業です(なので和文タイプライターの資格試験があったほど汗)。

そして、恐ろしいことに、それを受け付けた裁判所にも複写機(コピー機)などありませんから、謄写するために人間が全ての文字を一言一句写していました。また、弁護士の必需品として、カーボン紙、下敷き、鉛筆、和紙を用いていたとのことです。当然ながら、E-mail誕生前ですので訴状は「持参」です。

今考えれば考えられませんが、当時それが最先端のテクノロジー活用だったのです。当時は、和文タイプライターという最先端機械装置を活用できる人材が事務員として重宝されていたのです。カタカナ語で言えば「リーガルテック人材」です。

ワードプロセッサへの移行で事務員はどう思ったのか

1980年代以降、低価格でワードプロセッサが誕生して、当然ながら和文タイプライターは過去のテクノロジーへと追いやられていきます。当然ですが、利便性で圧倒的に差がつくからです。

当時100万円相当もするワードプロセッサ(以下「ワープロ」)を購入して、最先端のロイヤーは和文タイプライターからワープロに移行し始めます。

面白いことに、年配の弁護士の方にお話を伺うと、ワープロが誕生して法律事務所に事務員は喜ぶのではなく、使い方がわからず、和文タイプライターをしばらく使い続けたとのことです。新しく誕生したワープロを習得するよりも、慣れ親しんだ和文タイプライターを使い続けていた記憶があると聞きました。

それでも、便利なソフトウェアが開発されるにつれ、和文タイプライターは事務所からいつしか消えていったとのことです。

これは現代のリーガルテックにも通じるところがあると考えます。

新しいテクノロジーは、今思えば利用して当然だと思っても、当時の人々はそれをすぐに使いこなさずに慣れ親しんだテクノロジーを利用するとのことです。

これは必ずしもおかしなことではありません。人間の行動原理からして当然です。自分も、いまだにApplePayでなく、現金で支払いを行う人間です。全ての行動をその時代時代に合わせることは、疲れるという側面もあるのです。

判子というテクノロジー

判子=印章は、木や象牙、竹、樹脂などの素材を生かして、本人や団体の意思を表出させるテクノロジーとして利活用されてきました。現代で企業間でもこれだけ通用力を有するのは日本(※一部では中国・韓国でも残る)のみです。

本人を特定する手段は、印章を表す「判子」が最終のテクノロジーなのでしょうか。アフターインターネット時代の本人確認手段を、考える必要があります。契約とは、契約当事者の意思決定プロセスと証跡としての確定性が重要で、それは判子がやはり適しているのでしょうか。

見た目の美しさとしての判子は、とても好きです。
個人的にも実印や銀行印を作成するときは、美しさにこだわります。

でも、やはりそれが最終的なテクノロジーなのでしょうか。

最終的には、利用者が選択すべきです。

クラウドサイン運営者として、最終エンドユーザーに全ての決定権を委ねたいと考えています。テクノロジーの選択肢を用意しつつも、判子が便利な場面では大いに判子を使うべきだと考えています。事実、自分も引っ越し時の賃貸借契約では判子を利用しました。

テクノロジーだけでなく、時代の洗練性と文化的様式もまた、人間の行動原理で重要な考慮要素となることを知っています。

願わくば、弁護士や法務の方にも、クラウドサインが業務の利便性をあげるテクノロジーでありたいと思っています。しかしながら、時代時代によってその受け止め方が様々なことは歴史から学んでいます。

個人としては、利便性が上がるよう、一心に取り組んでいこうと思っています。アフターインターネット時代の弁護士の責務として。

願わくば、皆さまがより便利な社会の実現者として。

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橘大地

SaaS、サブスクリプションビジネスの事業責任者をしており、趣味でスポーツビジネスについてよく調査しています。

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