「スポーツ未来開拓会議」から学ぶ、日本のスポーツ業界の問題点と未来への期待

スポーツ庁が行う取り組みに着目して、我が国のスポーツ基本方針がどこに向かっているのか。そしてその方針がどのようなメンバーや議論において意思決定されていくかに着目しています。

経済産業省は(スポーツ庁と共同して)2016年の6月に「スポーツ未来開拓会議中間報告」を取りまとめ、公表しています。これは2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催を経緯としつつ、スポーツ産業のビジョンを示したものです。そこで示されたビジョンは3つです。

スポーツ産業におけるビジョン
① すべての国民のライフスタイルを豊かにするスポーツ産業へ
② 「コストセンター」から「プロフィットセンター」へ
③ スポーツ産業の潜在成長力を顕在化し、我が国の基幹産業へ

そして中間報告後も、上記で示された基本方針後、それぞれの課題に対しての検討が進められています。本記事では、スポーツ庁が上記「ビジョンと課題」を示すに当たった検討過程と、過程に至る理由で認識された現状の日本のスポーツ産業とはどのようなものなのかを解説していきたいと思います。

まず、中間報告で示されたビジョン(スポーツ産業の推進に向けた基本的な考え方)がどのようなものだったかを見ていく必要があります。

コストセンターからプロフィットセンターへ

全体として見て取れるのは、スポーツ産業は利益を産む成長産業にしていくことができるとの考え方です。日本におけるスポーツの考え方は「体育」という言葉に代表されるように、指導・教育分野の一環として位置付けられていた傾向にあります。そして興業はプロレスリングなどのショー化の位置付けでした。

教育分野であるからこそ、財源を投下してアマチュア・スポーツに税金を投入していきました。アマチュア・スポーツは税金の範囲内で運営され、遠征などは選手の持ち出し費用となる場合も決して珍しくはありません。

これを成長産業にすれば、スポーツから収益を上げ、その収益を選手に還元しながらも更なる再投資に充てて、更に収益を上げていく好循環にすることが可能です。

しかし、そんなことは可能なのでしょうか?数字を見て見ましょう。

通商産業省(現在、経済産業省)が 1990年段階で掲げた「スポーツビジョン 21」では、当時のスポーツ市場規模を 6 兆 3184 億円と算出していました。その内訳は以下の通りです。

■スポーツ産業の市場規模(1989年時点)
 スポーツ用品:1.5兆円
 スポーツ施設・スクール:2.5兆円
 スポーツ観戦料:1120億円
 スポーツイベント:380億円
 スポーツ放送:2700億円
 スポーツドリンク:2040億円
 スポーツ建設:9140億円
 スポーツ旅行:2020億円

これを見るとスポーツ産業における収益の構造に気付かされます。スポーツ産業としてイメージしているスポーツ観戦はわずか0.6%にすぎないのです。莫大とも思える放映権料ですら、全体からすれば5.2%に留まっているのです(それでも3000億円の市場規模なのですが・・・)。

注目すべきはスポーツ施設/スクール産業が2.5兆円で、次点がスポーツ用品産業です。意外でもありますが、社会人になり行うスポーツを想定して見るとわかります。例えば社会人の代表的なスポーツであるゴルフを想像すると、ゴルフを仲間とするために軽井沢まで車で向かい、打ちっ放しや個人コーチをつけて指導を仰ぎながら、ゴルフクラブやボールを購入する、といった消費体験を想像すると、上記の市場規模も頷けるものです。

それでは、この1990年段階の市場規模は、現在になってどのように推移しているのでしょうか。

------------------------------------------------------
ここから先は、有料コンテンツになります。このノート単品を480円、あるいは、月額980円のマガジンをご購入ください。有料マガジンは、1ヶ月あたり4本程度の有料ノートが追加される予定です。

マガジンは初月無料です。月末までに解約すれば費用はかかりません。購読開始した月以降の有料記事が読めるため、月末に購読開始しても不利にはなりません。

有料版をご購入いただくと、以下のコンテンツをご覧いただけます。

・現在のスポーツ産業の市場規模
  20年間でのスポーツ産業の市場規模の推移
  如実に現れたのはスポーツ施設事業
  スキー場/ゴルフ場/ボーリング場が特にが減少傾向に
  余暇時間を奪い合う戦い、勝者は観光旅行市場
・日本スポーツ産業の成長可能性
  5.5兆円から15.2兆円に成長させる
  伸び代のあるスポーツ・ツーリズム
我が国のスポーツ産業における具体的な課題

この続きをみるには

この続き:3,160文字/画像3枚
記事を購入する

「スポーツ未来開拓会議」から学ぶ、日本のスポーツ業界の問題点と未来への期待

橘大地

480円

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

note.user.nickname || note.user.urlname

お読みいただきありがとうございます( ´ ▽ ` )ノ

(´ー`)ノ⌒θ
9

橘大地

スポーツビジネスのビジネスモデル/KPIを理解するマガジン

スポーツを事業化/ビジネス化する上で必要となるフレームワーク/KPIを解説していきます。野球、サッカー、バスケットボール、アメリカンフットボール、アイスホッケー、E-Sportsなどのプロスポーツを中心に題材にしていきます。また、マラソン、フットサルなどのアマチュアスポーツ...
2つのマガジンに含まれています
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。