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米国カスタマーサクセス最新課題から見えた、日本のカスタマーサクセス。Human FirstとCSM Enablement

世界最大のカスタマーサクセスイベントの1つと呼んでよい「Pulse 2019」が5月21日からサンフランシスコで開催されました。日本の5歩くらい先を行く米国事情を現地組から聞き、日本のカスタマーサクセスの方向性が見えてきました。

Human First

イベントの随所に「Customer success is human first」との標語が出てきています。その文脈は単なる理念ではなく、米国SaaSのデータ・ドリブン化が進んだ現象とも言えます。

「Gainsight」に代表されるような顧客情報管理が進み、顧客データの数値化、それに対するテクノロジーを活用した接客(Tech Touch)施策が定着化しています。その背景には「Customer Visit」ができない米国事情も介在します。米国は当然ながら国土が広く、エンゲージメント数値の良くアップセル可能性が高い顧客であっても、Customer Visitによるコストが高くなります。また、エンゲージメントの定義が各CSMの感情に左右されないよう、データ・ドリブンでの意思決定となります。

だからこそ、顧客やCSMが全てデータとそれを実行する人間の順序となり、「Data First, Human Second」になってしまっているのです。そのため、顧客を見つめ直す「Human First」の標語が出てきます。

日本ではセールスプロセスはデータ・ドリブン化されてきましたが、カスタマーサクセスのデータ・ドリブン化はまだまだです。Salesforceの事例をこないだ見せていただきましたが、日本ではここまで出来ている企業はほとんどないでしょう。セールス組織とカスタマーサクセス組織のデータ利活用には大きな開きがあります。日本はまだまだ「Human First, Human Second, Human Third...」だと感じます。

「Human First」を忘れないようにしながら、まずはデータ・ドリブン化です。

CSM Enablement

セールスイネーブルメントと同様に、CSM イネーブルメントが一般化しています。受注率向上に再現性を持たせ、一流の営業社員になるためのランプタイム(一流の成績を収めるまでの期間。一般的には6ヶ月間〜1年間)の短縮を図るべく、セールスイネーブルメントの組織を持つSaaS企業は少なくありません。それくらい営業のランプタイムは各企業の課題だからです。

それと同様、当然にCSM イネーブルメントは重要です。CSMのランプタイムもまた売上を構成する重要な変動要素だからです。収益計画は、最終的には採用計画とランプタイムに依存するためです。

これが何故米国で先んじているかというと、「退職率」の問題です。米国ではようやく育成したと思ったら、他社に転職してしまったという事例が少なくなく、だからこそ早期に育成化してもらわなければならない事情があるのです。日本では米国ほどの退職率はないため、また違うアウトプットのCSMイネーブルメントを設計する必要があります。

クラウドサインでも、CSMの全商談録画、評価を進めます。後から振り返り可能であれば、マネージャーの同行回数も減らすことができ、結果としてより良いチーム構成ができると考えているからです。

日本のカスタマーサクセスの課題

日本ではカスタマーサクセスの歴史が浅く、またセールスフォースが日本にSaaS特有のセールス技術を逆輸入していただいた現象がカスタマーサクセスでは起きておらず(GainSightのような米国製品が日本に進出していない)、それゆえ、カスタマーサクセスの技術はまだ発展途上です。

コミュニティこそ増えましたが、(自分も当事者だから自戒も込めて)まだまだ抽象論が多く、体系化されたメソッドやCSMの技術は伝搬されていません。よりストイックな、集団的学習が必要な時期です。

どのようなデータを取得し、それを顧客価値に結びつけるか。データ分析を行う人員をCSMに抱え、再現性ある形で研修化するCSMイネーブルメントはどれだけ充実しているか。

日本のカスタマーサクセスを進化させていく上で、課題はまだ多い。ただ、課題は見えてます。実践者の1人として、1つずつ完成度を高めていきたいと思います。

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橘大地

SaaS、サブスクリプションビジネスの事業責任者をしており、趣味でスポーツビジネスについてよく調査しています。

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