サブスクリプションビジネス2019年の展望と期待。BtoB SaaSの継続的成長と働き方改革

2018年はサブスクリプションビジネスに注目が集まりました。特にBtoB SaaSビジネスの資金調達状況が活況で、資金を有効活用して営業活動をした結果、アーリーアダプター層、アーリーマジョリティー層を超え、レイトマジョリティー層にも浸透してきたのが2018年と言えます。日経新聞においても「SaaS元年」との記事が出ました。


スマートキャンプ社のまとめた資料があります。日本を代表するSaaSサービスのカオスマップは以下のとおりです。様々な業務で、SaaSが生まれています。

(同社作成「SaaS業界レポート」より引用)

また、一般消費者向けサブスクリプションサービスも日本で浸透の兆しが出てきました。海外勢だとNetflix、Spotify、DAZN、AmazonPrime、国内でもNewsPicksやマネーフォワードが伸びています。NewsPicksの有料会員数は8万人を超え、マネーフォワードの有料会員数は16万人を超えています。

(株式会社ユーザベースIR資料より引用)

エンターテイメント領域のDAZNはリリース1年で日本の会員数が100万人を超えています。スマートフォンゲームに課金する習慣がある人口数からすると、まだまだ余暇に対するサブスクリプションの財布の奪い合いは進んでいくと予測します。Youtubeもサブスクリプション会員制度を初め、日本においても急速に会員数を増やしていくでしょう。

そして2018年はサブスクリプションビジネスが隆起した結果、ビジネスモデルの性質から新たな職種に注目が集まりました。「カスタマーサクセス」です。ビジネスモデル上、作り上げた高額商材を売って終わりではなく、少額課金を継続して料金をいただくため、プロダクトマーケティングとセールス職から、重要性が徐々にカスタマーサクセス職への売上への貢献度が増していっています。追うべき指標も手法もトレンドが変わりつつあります。

(同社作成「SaaS業界レポート」より引用)

ここからは2019年の予測です。

未だ残るBtoB SaaSの広大なホワイトスペース

2019年もSaaSスタートアップの資金調達の活況は続くでしょう。不況の可能性も言われていますが、東京のスタートアップに投資するファンドマネーは増え続けているのに比べ、有望なSaaSスタートアップ誕生の比例関係はファンドマネーの方が傾斜かかっている状況です。

また、足元の業務効率化を見ても、未だ残る広大なホワイトスペースが残り続けています。しばらくは米国SaaSのSaaSツール活用状況と日本業務の差分分析だけで、広大なホワイトスペースの起業余白を埋めていくことになります。特に業界に特化した「Vertical SaaS」にはビジネスチャンスが埋まっています。医療、法律、建築、不動産の4業種を始めとして、従来までSlerによるオンプレのシステムどころかExcelとWordで業務が行われてきた業界には、広大な余白があります。

このBtoB SaaSの活況により、職種のトレンドシフトはより進んでいきます。従来までもマーケティングはツール活用の時間軸が早く、Salesforce Pardot、MarketoのMAツールを使いこなせることや、Facebook、TwitterなどのSNS広告運用、Google、Yahooのリスティング運用経験といったツール活用経験が職種において重要な指標となっています。

このことがセールス職にも問われていきます。とりわけ「インサイドセールス」職への注目もあり、マーケティングとフィールドセールスを架橋する存在としてSalesforce、FOCUS、Marketo、ベルフェイスのようなオンラインツールの高度な理解と共に、商談化率と受注率を顧客セグメント毎に分析し、マーケティング部門へのリード要求が必要となります。セールス職も、オンラインツールを高度に使いこなしセールスデータを分析して、他の職種と調整が必要となる経験が問われていきます。クロージング力と行動量が問われた従来までの経験と全く異なる経験が問われます。

また、カスタマーサクセス職は2018年以上に注目が集まります。2018年は国内SaaSでも知識が全体的に初歩的でTech Touch、HighTouch...の分類と役割のみの情報でも稀少性がありましたが、情報それ自体は様々な情報のオープン化からコモディティ化されました。情報を理解し、自社製品を理解したカスタマーサクセス職が取締役、執行役員に就任し、経営への中枢への進出していく事例が少数生まれていくかと思います。

世界的潮流はBtoCのサブスクリプションビジネス

世界的に広告型ビジネスと個人情報保護の関係、越境型ビジネスの国境を超えたビジネス展開の難しさが問われたのが2018年です。Youtubeがサブスクリプションビジネスを始めて、FacebookがBtoB SaaSを始めたのは偶然ではないはずです(AmazonのAmazon Prime戦略は別)。

特にエンターテイメント型のサブスクリプションビジネスが伸びていきます(不動産や自動車も始まりますが、まだ先かと推測されます)。Netflix、DAZNのような大型の投資があるサービスはいち早く浸透しています。他にもテレビを通じてしか閲覧できなかった余暇の使い方が、マルチデバイスで閲覧する流れは継続していきます。ソニーの利益を支えるのも「PlayStation Plus」という個人サブスクリプションになってきました。まずは若年層から進み、徐々に年齢層が上がっていきます。本当は国内においては「漫画」がビッグビジネスになりますが、2019年度中も、キラーアプリケーションの誕生は難しいかもしれません・・・。

また、マイクロサブスクリプションも注目です。インフルエンサーを始めとした個人が、一般消費者にサブスクリプション型で課金するモデルです。noteやオンラインサロンは先に進みましたが、様々な場面で増加していきます。オフライン上で行われている幼児教室、家庭教師、絵画教室などの講師系もマイクロサブスクリプションの余白です。英語学習はレアジョブのようなオンライン型サブスクリプションが先行して出ています。

オフラインビジネスのサブスクリプション

スポーツジムは先行してサブスクリプションビジネスで成り立っていますが、本来スポーツジムだけがサブスクリプションモデルに適したビジネスモデルではありません。上記で挙げた月謝制の講師は既に一般化しています。

そのため、まだまだ未開の荒野があります。特に注目を浴びているのが、飲食業界です。まだトライアンドエラーが個人店を中心として行われていますが、やがてチェーン店でも行われていくことになります(本来個人店よりも、複数店舗がある方がサブスクリプションの果実が得られる)。

個人宅にサブスクリプション型で届く海外のお酒など、様々なサービスが生まれれば、需要は喚起されていきそうです。

そしてファッション領域も進んでいます。服のレンタルを先行として、バッグ、アクセサリー、現在では家具などもサブスクリプション型のレンタルが生まれていますが、まだ一般化までには時間がかかりそうです。

漫画や本のサブスクリプション型宅配も余白があります。先んじて幼児向けのDVDや絵本は先行していますが、ビジネスマン向けの書籍でも余白はあります。

BtoB SaaSツール活用による働き方改革

自分自身、BtoB SaaSツールを活用して働き方が変化しました。現在はデスクに座ってパソコンを利用する時間は20%程度で、スマートフォンからが50%、場所を変えてのノートパソコン業務が30%程度になってきました(※自分は移動時間が多いので特殊です)。

弁護士も、チャットワーク、マネーフォワード、クラウドサインなどを活用して世界中を旅しながら働いている方もいらっしゃいます。

外資系企業ではリモートワークは当然として「Workation(ワーケーション)」という概念も一般化してきています。有給休暇中に旅行するのではなく、ハワイで2週間業務時間内はリモートで業務を行い、業務外で休暇をとるライフスタイルです。もちろん有給も不要で、業務時間の範囲内となります。このような働き方はSaaSツールがなければ難しいです。

社外メール、社内コミュニケーション、資料作成、稟議申請、請求書/契約書送付などが、高度なセキュリティと管理設定を備えたBtoB SaaSツールを活用することで働き方改革の後押しになり、逆もまた然りで働き方改革の流れがよりBtoB SaaSを浸透する流れにもなります。

業務フローに組み込まれたSaaSはデータが溜まるため、AIとの相性が抜群ですが、日本ではまだ時間軸が早くAI活用はまだ一部のSaaSサービスに留まります。SaaSが業務効率化の本領を発揮するのは2020年以降のSaaSとAIの融合によるものですが、2019年現在でも「紙ベースでの業務」「Word/Excelベースでの業務」「SaaSツールベースでの業務」では業務効率化に雲泥の差が生じ、企業間での競争の源泉になります。エンタープライズ企業群の要望を満たす機能実装は難しいのも実情で、Sler事業を行なっている企業とのパートナー戦略も重要性を増していくでしょう。これらの理解したSaaSベンダーが成長し、IPO事例が増加するのも2019年の特徴となっていくと予測いたします。

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橘大地

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