スポーツ庁が進める新国立競技場の #東京オリンピック 後のビジネスモデル。レガシー活用のためのスタジアム戦略とは

アフターオリンピック後を見据えたハード構築戦略は国家のスポーツ戦略としてとても重要な位置付けとなっています。つまり、オリンピックやワールドカップのために作られたスタジアムや競技場が、大会終了後に採算が合わずに地方公共団体の赤字を垂れ流す不採算となってしまうことを避けることは重要な都市計画/スポーツ戦略となるのです。

例えば、直近で行われたロシアワールドカップをみてみましょう。

ロシアワールドカップのための開催費用は6000億円と言われており、うち4000億円がスタジアムの新規設立と改築によるものと言われています。例えば、モスクワから3時間の位置にあるサンクトペテルブルクに設置された約7万人収容の新スタジアムには実に900億円近い設立費用がかかっています(ちなみに、日本人の故・黒川紀章氏が設計)。

懸念されるのは、ロシア国中に4万人以上の収容可能なスタジアムができたところでワールドカップ後は、国内リーグの各クラブチームのホームタウンとして利用するほかありません。もちろん、国際戦などの利用はありますが地方都市での開催はされずに、国際都市での開催が基本で、原則はホームタウン利用となります。

ところが、現在のロシア国内リーグの観客動員数を見るに、人気クラブのゼニト等を除けば、1万人に満たない集客のクラブも珍しくなく、4万人収容のスタジアムに5000人の集客でガラガラのスタジアムで毎試合試合をすることになるのです。もちろん、維持費と入場料収入のバランスも悪く、地方公共団体として不採算のレガシーを抱えてしまう構造にあるのです。

2002年日韓ワールドカップのレガシー

それでは、日本で行われた日韓ワールドカップに際して設立された数々のスタジアムは現状どうなっているのでしょうか。スポーツ振興のために、ワールドカップ期間中の盛り上げりとは別に、期間後の箱物が行政に与えた影響も事後的に適正に評価すべきだからです。

日韓ワールドカップを契機として設立されたスタジアムとしては、札幌ドーム、宮城スタジアム、埼玉スタジアム2002、新潟スタジアム、神戸ウイングスタジアム、静岡スタジアムなどが有名です。

これらのスタジアムは、所有者が地方自治体となり、指定管理者制度を利用し管理委託を行い、施設使用料収入及び指定管理料により収入が入っています。スタジアム収支の難しい点は、サッカーは1年間を通して20試合程度しかホームゲームがなく、残り300日以上を別の需要で活用しなければならない点です。これが恒常的に赤字体質になってしまう理由にもなる点です。

スタジアムビジネスで最も上手くいっている東京ドームの収益構造については以前まとめました。


この点、各スタジアムの収支を今一度検証してみましょう。例えば、埼玉スタジアム2002の場合です。開示資料として平成26年度段階の資料ベースで、稼働実績として52日間しか利用されておらず、5.9億円の収益に対し、8.8億円の費用があり、結果として2.9億円の赤字となっています。これに指定管理者からの利用料3.2億円を加えて行政としては0.3億円の黒字となっており、トントンをギリギリ維持できている状態となっています。これも52日間のうち、実に27試合がサッカー日本代表戦での利用で賄われているのです。

いずれのスタジアムも似たような状況で、基本的な収益は赤字構造で、指定管理者からの利用料で補うことによってギリギリ黒字になっている現状です。海外のオリンピックでも同様の状況か、場合によっては不採算が続き廃墟と化したスタジアムも珍しくない状況なのです。

2016年に行われたばかりのリオオリンピックでも既に廃墟となり、芝生の管理もされていないスタジアムが出ていると大きく報道されているところです。

それでは、2020年に行われる東京オリンピックは、このレガシー問題に際してどのような取り組みが行われているのでしょうか。スポーツ庁が「大会後の運営管理に関する検討ワーキングチーム」というWGを設置し、各スポーツ団体とコンセンサスを取りながら、議論を進めているのです。本記事では、同議論の概要と、これからのスタジアムレガシー問題にどう向き合っていくのかを解説していきたいと思います。

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  スポーツツーリズムを中心としたスポーツ都市戦略
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独立採算で黒字化できるスタジアム作り
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橘大地

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橘大地

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