2019年に11億ドルの市場規模を迎えるeスポーツビジネス

ビデオゲーム/ネットゲームプレイヤーが北米では1億円を超えているというニュースはちらほら聞くようになっています。市場調査会社Newzooによれば、世界のe-Sportsの市場規模は2016年には4億6300万ドルに達し、2019年には11億ドルにまで発展するとされています。

中でも世界での市場規模のうち、中国、韓国だけで23%のシェアを占めており、オーディエンス数で言えばアジア地域だけで44%ものシェアを占めています。中国、韓国というネット文化の中心地が近いだけでなく、人口の多い東南アジア地域でも人気のスポーツとなっているからです。

最大の人気ゲーム「League of Legends」
スタープレイヤーたちの給与構造。

e-Sportsの競技種目となるゲームの特徴は、マルチオンラインゲームやFPS、格闘ゲームなど、競技人口の多いゲームと多人数で視聴することに適したゲームが人気を博すことになります。

そして世界的に競技人口の多いゲームが通称「LoL」と言われる「League of Legends」です。

LoLは「マルチプレイヤーオンラインバトルアリーナ(MOBA)」と呼ばれるジャンルで、3VS3または5VS5のチーム競技であり、特徴あるキャラクターを用いて敵チームの本拠地を破壊する戦略型のゲームとなっています。

LoLのプレイヤーたちは高度な戦略やチーム疎通を図るため、基本的に日頃から決まったチームでプレーし、中には毎日生活を共にするチームも珍しくありません。韓国の人気チーム「SKtelecom T1」などもチームハウスを公開していることで有名です。

プレイヤーの収入としては、以下のような収益構造になります。

 ① チームからの給与
 ② 大会の賞金
 ③ スポンサー収益
 ④ グッズ販売収益
 ⑤ イベント出演料
 ⑥ 動画配信収益

プレイヤーの収入としては所属するチームの収益配分の考え方によります。①チームからの給与についても固定給で支給するチームもあれば、②〜⑥の歩合給で支給するチームもあります。日本のプロチームで有名な「DetonatioN Gaming」は月額固定給で支給していることでも有名です。この固定給は所属チームで差はありますが、大体400万円〜600万円程度で、トップチームは同額以上の年棒となります。

②大会の賞金は近年青天井化してきており、上述した「League of Legends」世界大会の賞金総額は約4億円を超え、その40%が優勝チームに、15%が準優勝のチームに分配されます。10位にランクインしても賞金総額の2.25%が分配されるため強いチームは安定した収益源になっているのです。もっとも、このような莫大な賞金総額は一部の世界大会に留まり、日本においては法規制の問題もあり高額の大会は基本的にはないです。

そのほか、人気チームはゲーム関連商品のイメージキャラクターとして起用されることも珍しくなく、③企業からのスポンサー収益も継続的な安定収益となっています。日本においては確たる相場もなく、関係者に聞いたことがあるのは数10万円程度の案件もあれば100万円単位のスポンサー料というのが一般的とされています。

また、最近ではYoutubeなどへの「⑥ 動画配信収益」も海外では重要な収益源となっており、企業案件などでは数百万円のゲーム紹介案件なども珍しくはありません。日本においては有名プロスポーツゲーマーがYoutubeを継続的に配信している例はあまりないですが、今後はこの収益が大きくなっていくでしょう。

e-Sportsビジネスの構造。固定化されたプロリーグがないため、参入条件ない莫大な収益化が見込める市場

e-Sportsは野球でいうところの「MLB」のような決まったリーグがないことから、参入条件などが定まってなく、参入次第では莫大な収益基盤を獲得できるチャンスある市場になっています。

スポーツビジネスを理解していれば、その収益構造は他のスポーツが参考になります。プロスポーツで莫大な収益を上げることができるのは「リーグ」そのものにあるのです。このリーグというのは通常のプロスポーツでは決められた団体が既に1つ存在しており新規参入は不可能なのですが(Jリーグをもう一つ新たに作るなどは国際標準からして不可能です)、e-Sportsの場合リーグ経営そのものに参画することが可能なのです。プロスポーツビジネス経験者なら、リーグ経営がいかに魅力的かわかるはずです。

魅力あるリーグやトーナメントを主催することで、以下の収益獲得ができます。基本的にはプロ野球やサッカーなどのプロスポーツリーグと同様の収益構造で考えるべきですが、e-Sportsに特徴的な収益構造もみられます。

 ① 入場料収入
 ② 放映権料
 ③ PPV収益
 ④ スポンサー収入

日本のe-Sportsリーグの歴史はまだまだ浅いため、大会規模も小さく現時点では①入場料収入は軽微であり、基本的にはオンラインでの視聴習慣となっています。そしてこれも無料配信のような場合も一般的であり、米国で主流のエンドーザーへの直接課金モデルの「③PPV収益」も常態化できていません

そのため、基本的には企業広告などのスポンサー収入で賄っているような状況にあるのです。企業側からすれば中々リーチできないミレニアル世代の男性にリーチできる数少ないチャネルですので、この層にリーチしたいintel、Logitech、レッドブル、サムスンなどの企業がe-Sportsを支えている状況にあります。

今後は他のスポーツと同様に、入場料収入やそこでの飲食/物販での収益の占める割合が増えていくのは間違いありません。また、オンライン視聴に適したスポーツであることから放映権料やPPV課金の占める割合が必然的に他のスポーツより増していくことも見えています。これは普及段階であるe-Sportsに視聴習慣を根付かせるためにも、現在e-Sports大会を主催しているプレイヤーたちが今後は総取りできる可能性を秘めています。

本来のプロスポーツでは、放映権料などはリーグ自体が権利を保有しており(※日本のプロ野球だけ特殊で例外)、民間プレイヤーがプロスポーツの放映権料を取得できるのはあり得ません。NFLに至っては入場料やグッズ収益までもリーグ自体が収益を上げることができ、民間のチームに収益は直接つかない構造にまでなっています。詳しくは、こちら

初期のプロスポーツで重要なことは定期的に同一メンバーを集めて開催することです。プロ格闘技やフードファイターのようなテレビ主導のプロスポーツ化の試みは何度かされましたが、基本的には自然発生的に発生したいつものスタープレイヤーを見ることができ、そのスタープレイヤーを中心にストーリーを作っていくことになります。そのドラマにユーザーは熱狂する仕組みにあります。ボクシングやプロレスのような人を呼べるコンテンツはそういう構造にあります。

これが年に1回程度の開催頻度や毎回異なるゲームを開催していては、同一メンバーを巡るストーリーを作ることは難しくなります。まずはユーザーが熱狂する仕組みを継続していけば、オフラインイベントはすぐに満帆になります。

ミレニアル世代との相性が良いことから、日本においては「AbemaTV」こそが専用テレビチャンネルを作り、仕掛け人になるべきです。オフラインイベントで草の根的に開催するのではなく、スポーツは生配信/同時視聴の世界観だからです。この産業を立ち上げて自社の子会社でリーグ自体を保有する構造が確立されれば市場規模の大半の果実を得られる可能性があります。

自社でインターネットテレビ局を持っている利点はこういうスポーツのようなムーブメントを作れる特異な環境です。初めはYoutuberなどのインフルエンサーがムーブメントを作り、それを自社の放送チャンネルに回遊させ、入場料、PPV収益、広告料などスポーツリーグの莫大な収益を上げることが可能です。

日本におけるe-Sportsビジネスの果実、それはそのまま中国、韓国、東南アジアでの広告ビジネスへの参入に繋がります。莫大なマーケットの王者は誰か今から期待できます。既存のスポーツビジネスを理解した者が、この新たなスポーツを立ち上げることができるのです。

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橘大地

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