バスケットボールのプロ化「B.LEAGUE」がビジネスで成功するためには。

日本バスケットボール界の大きな転換点として、2016年9月に日本に新たなプロバスケットボールリーグである「B.LEAGUE」が誕生しました。そもそもバスケットボールは野球、サッカーに次ぐ、日本第3位の競技人口を誇りながら、プロスポーツのビジネスとしては野球、サッカーの足元にも及ばない状況なのは明白です。

プロバスケットリーグ「B.LEAGUE」誕生の経緯

その理由はいくつかありますが、大きくはプロリーグの統一がされていなかった点にあります。日本にはバスケットボールリーグが2つあり、「バスケットボール日本リーグ機構(JBL)」と「bjリーグ」が存在していました。

一方で、国際バスケットボール連盟(FIBA)からは1国にバスケットリーグは1リーグが望ましいとの要望が出されている状況だったのです。そして、ついにはFIBAは、JBAに対してFIBAの会員資格無期限停止の処分を発表し、国際試合への出場ができなくなる事態にまで発展してしまいました。

そこで、バスケットボールの日本協会改革プロジェクトチームが発足され、このプロジェクトチームのチェアマンには、Jリーグの元チェアマンとして大きな実績を残した川渕三郎氏が就任され、プロジェクトが始まっていったのです。

プロジェクト発足からも様々な紆余曲折がありましたが本稿では割愛し、2016年9月に日本に新たなプロバスケットボールリーグである「B.LEAGUE」が誕生したのです。同リーグは初年度の観客動員数として225万7395人を記録し、まずまず順調なスタートを切ったと評価してよいでしょう。開幕戦の視聴率はゴールデンタイムながら5.3%に止まるなどまだ課題はあります。

バスケットボールの商業的ポテンシャルはどの程度か

そもそもバスケットボールのポテンシャルとは、その競技人口の多さにあります。様々な発表データはありますが、一説には全世界的に見てバスケットボールはサッカーよりも競技人口が多いとも言われているのです。日本国内の小学校/中学校の部活動で見ても、サッカー、野球に次ぐ部活動員数を誇り、競技としての魅力が最大の売りです。

商業的に見ても、NBA No.1の資産価値をもつ「ニューヨーク・ニックス」(資産価値:約3500億円)はマディソン・スクエア・ガーデン(MSG)の放映権料だけでも年間約110億円をにも及んでいます。その他にも、チケット売上だけで年間約90億円ともなり、商業的にも成功を収めています。

資産価値の比較としても、MLBの「ニューヨークヤンキース」やサッカーのスペインリーガ「レアル・マドリード」が約3500億円と「ニューヨークニックス」の資産価値と同等程度となっている。世界のビッククラブと同様の資産価値を有しています。北米でも、NFL、MLBに次ぐリーグとしての総収益を誇り、バスケットボールの商業的ポテンシャルは計り知れません。

1試合平均の観客動員数を見ても、17,348人と体育館を中心に行われるバスケットボールといえど十分に収益性を確保できる集客力を有しているのです。

日本でのバスケットボールビジネスのKPIとは?

スポーツビジネスを語る上では欠かせないのが、まずは兎にも角にも「観客動員数」が最重要KPIです。例外は、K1や総合格闘技においてはエンターテイメントショーとしてテレビ視聴率こそが最重要KPIとなる場合はあるものの、継続性のある地域に根ざしたプロスポーツの場合には、観客動員数こそが全ての経営指標の改善に繋がります。

日本のB.LEAGUEの平均観客動員数は約2,500人程度です。田臥勇太選手以外のスタープレイヤーの存在の認知度がないこともそうですが、バスケットボールを現地に見に行くという視聴習慣が根付いていません。自分のSNS上でも友人がバスケットボールを見にいったという投稿は見かけません。

そしてそこには根強い施設の問題があります。プロ野球やJリーグのスタジアムは2万人から6万人程度収容できるキャパシティを有している施設を保有していますが、バスケットの場合には3000人程度の収容しかできない体育館が中心となるのです。段階的には、次には5000人規模のアリーナをどの程度各地域に建設できるかが日本のバスケットリーグの課題となります。

その際、オリンピックで議論される競技者のためのアリーナ建設とは真逆のアプローチが必須となるでしょう。プロスポーツにおいては競技者のため以上に、観客者のためにどうあるべきかという目線で建設することが必須です。

ようやくニュースメディアでバスケットボールリーグの結果を報じることが増加していますので、「一回見に行こうか。」と思った観客をリピーターにできるかどうかが決め手になります。選手が物販することや、試合前のアリーナ周辺でのイベント、お祭り感など、イベント運営に必要な総合的なエンターテイメント演出を球団スタッフがどの程度知見があるか、が決め手です。観客動員数は初期の頃は、根強いリピーターのサポーター層が友人を連れて行くことで連鎖的に広がって行きます(アイドルイベントでも同じですね)。

リーグ全体でスタープレイヤーを排出することも重要ですし、ナショナルチームでの活躍が日本のスポーツ界においては重要な要素となります。複合的な戦略をものにするために、まずは各球団が観客動員数確保に突き進んで欲しいです。

企業はスポーツ球団を保有することはエコノミクスとして健全か

私自身、ビジネスの事業責任者として活動していることから、獲得ユーザーあたりのユニットエコノミクスを慎重に見ています。獲得チャネルごとにユニットエコノミクスが健全かどうかで、マーケティング予算の投下費用をコントロールしていきます。どの業態であっても同じです。

それでは、「スポーツ球団保有」はエコノミクスとして健全でしょうか。

・ホームゲーム20試合での興行収入・広告費等の事業費の確保
・2000人以上収容のアリーナを地域内に保有
・法人は複数資本による株式会社設立
・bjリーグが掲げる理念に賛同

バスケットボールリーグへの新規参入は上記の通りで、比較的参入が用意であることから、私自身あくまで可能性として考えてことはあります。B.LEAGUEのチーム運営費はせいぜい3億円程度であり、J1の約30億円程度(球団によりばらつきあり)に比べれば企業によるリスク量は一定程度であり、広告宣伝費として割に合う可能性が高いからです。

とりわけ現時点では広告宣伝費という費用的な考え方であっても、今後リーグ全体が伸びていけば球団経営の独立採算で十分に企業活動にプラスの収益をうむ可能性は高いと考えます。リーグ全体の成長性の期待投資として予見性が重要ですが、ソフトバンクがB.LEAGUEの放映権料に120億円投資したこともあって、各チームにはリーグから分配金が支給され、その額をどの程度向上させられるかが目下の課題です。この制度はJリーグでも分配金制度が採用され、DAZNマネーにより上昇傾向にあります。ここがプロ野球経営との際たる違いといってもいいかもしれません。詳しくは、こちらの記事


現状のB1リーグの各チームの売上高はトップでも5億円程度で、利益は単独黒字がギリギリ達成できている状況です。単独で黒字確保がギリギリな状況な一方、B.LEAGUEではチーム名が基本的には地域名が表示され、企業名の表示がなされない方向性にあります(例外はあるのですが)。これはプロ野球でのオーナー企業による広告宣伝効果を得ることが難しい傾向にあるのは間違いありません。これは企業が参入する上で大きなハードルとなる点です。公式ルールはこちら

単独で黒字化いけるので最終エコノミクスは合うのですが、本業とのシナジーがないギリギリ黒字では上場企業としては参入メリットがありません。企業理念に沿った本業で大きな収益構造を得る必要がありますから、経営資源を異なるセグメントに投資する合理的理由がないと参入は難しく、本業の広告宣伝効果という大義名分があれば参入も容易になることは私自身大きく理解できます。

私自身の現在の結論ではなかなか参入は難しいですが、大企業が日本におけるスポーツ文化の健全な発展のために参入するような構造で、個人的にはさらに発展していって欲しいと心から考えております。各スポーツビジネスを研究してきてB.LEAGUE発展のための戦略にはいくつか私見がありますので、機会を見て関係者に提案していきたいと考えています。

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橘大地

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