『Before/After 民法改正』128番

この本は、新466条4項の催告をするためには債務者が履行遅滞に陥っていることが必要で(同項の「債務を履行しない」をそう解する)、債務者を履行遅滞に陥らせるためには譲渡人の行為が必要、との立場なんだね(257頁)。

でも、この解釈を採るためには、「譲渡当事者間の合意によって、悪意の譲受人が譲渡人に対して取立権限を付与することは妨げられないとの説明がされているが(中略)疑問である」(『民法(債権関係)改正法の概要』150頁)との疑問に答えないといけない。

仮に『Before/After 民法改正』のように解することができるとして、譲渡人が履行請求等を「自己の名において」行うこと(同書257頁)は、なぜ必要なんだろう。また、仮に必要だとして、「取立権者/代理人としての譲渡人」と名乗った場合、「自己の名において」請求したことになる/ならないのかな。

加えて、譲渡対象債権が不良債権の場合、取立権限を受けた譲渡人が履行請求等を行うことについては、弁護士法72条本文との関係で、気を付けておくべきことがあるように思う。

なお、上記について、『講義 債権法改正』214頁以下では、「債務者が債務を履行しない場合」とは、「事実として、履行期が来ているのに(そして履行を拒む権限もないのに)履行しないという状態(この意味で事実として債務を履行しない状態)」と解するのが適切だろう、とされているね。個人的には、この解釈のほうがしっくりくる。

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