Le yusée

6年前から美術鑑賞が趣味になり、5年前に仕事を辞めて美術館で働いています(注:キュレー…

Le yusée

6年前から美術鑑賞が趣味になり、5年前に仕事を辞めて美術館で働いています(注:キュレーターでも正規の職員でもありません) 2019年に滞在したパリのこと、美術に関する情報や日々のアレコレを投稿しています。

マガジン

  • 日々のアレコレ

  • 美術のアレコレ

    美術に関するアレコレを、思いつくまま書いています。ルーヴル美術館「日めくりカレンダー」の作品に関する情報も書いていくつもりです。

  • 画壇の明星

    古本屋さんで見つけた 1950年代の月刊誌『国際文化画報』。戦後成長期の日本から見た世界の文化と、特集記事 “画壇の明星” を中心に 当時の美術界を覗いてみました。

  • 美術展

    美術展に行った感想、気になった作品や作家について書いています。

  • パリ滞在記

    2021年9月から約3週間滞在したパリについて書いています。帰国後 興奮冷めやらぬうちに一気に投稿しました。

最近の記事

寂しい別れと、ワクワクな明日

全くの私ごとですが、4月いっぱいで美術館の仕事を辞めて、5月から「普通の」会社に勤めるべく就職活動をします。 「現実社会」に戻ることにしました。 ********** 2017年5月、ピーテル・ブリューゲル『バベルの塔』に出会い、突如 絵画鑑賞の面白さに気付かされました。いくつもの美術展に出かけ、何冊も美術本を読むことに夢中になるだけでなく、それまでの仕事を辞めて美術館で働き始めたのが2018年6月。 それまで全く美術と関係のない生活を送ってきた私の仕事は、正規の職員で

    • 破壊と修復。ベラスケスとぎっくり腰

      同じ職場の女性がぎっくり腰になったと聞いて、 と心から祈りました。 私もぎっくり腰の経験者として その痛みがよくわかるから、だけではありません。 毎朝 颯爽と出勤してくる彼女は、長時間ずっと同じ姿勢で全神経を美術品に集中する = 修復家です。 彼女は、美術館の収蔵庫にある作品の修復はもちろん、作品調査・報告、点検から埃払いまでを手がける一方で、依頼される大規模な修復、そして震災に遭った芸術作品を救うプロジェクトなど いろいろな活動の責任者でもあります。 芸術作品を心から愛

      • 通好み・二つの美術展

        3月に開幕を迎えた注目の美術展を二つ、ご紹介します。 といっても、開催されるのは日本ではなくパリ。私がフォローしている美術館のInstagramで紹介されていました。 ********** 1️⃣ ルーヴル美術館 <ファン・エイク 〜『宰相ロランの聖母』再発見>展 (2024年3月10日〜6月17日まで) ヤン・ファン・エイク(1390-1441年)といえば、透明の絵の具を塗り重ねていく油彩画(グレーズ技法)を完成させた 北方ルネサンスにおいて最も重要で偉大な画家。 “

        • コロンボ好き

          うちの旦那さんは『刑事コロンボ』が好きです。 「別に好きなわけじゃないよ」 と本人は言いますが、テレビの再放送があるたびに録画して見ています。これまで何回も見ているはずなのですが。。。 そしてつい最近も4Kで再放送されていました。 「細かいことは忘れてるんだよねー。」と楽しそうです。 一度見たらすぐに録画を消し、次回の再放送があるまで見直すことはありません。録画を削除した途端、ドラマ細部の記憶も消えてしまうようです。 旧シリーズ45話と新シリーズ24話、合わせて69話(

        寂しい別れと、ワクワクな明日

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          76本
        • パリ滞在記
          41本
        • Agenda 2020
          10本

        記事

          画壇の明星(21)②・ミケランジェロと修復

          古本屋さんで見つけた1951-1954年の月刊誌『国際文化画報』を少しずつ読んでいます。 前回、特集記事【ルーヴル博物館案内】についてご紹介した1953年12月号。 今回は【画壇の明星】について投稿します。 ********** 今月の【画壇の明星】は、ミケランジェロ・ブオナローティ作 システィーナ礼拝堂・天井画『天地創造』(1508-1512年)です。 この迫力ある画像は、800㎡にも及ぶ大規模な天井画のほんの一部分。 この記事に掲載されている人物を「実際にシスティー

          画壇の明星(21)②・ミケランジェロと修復

          「額縁」の威力と魅力

          久し振りに国立西洋美術館の常設展に行ってきました。 普段そこに展示されている所蔵作品が、来週火曜日(2024年3月12日)に開幕する現代美術展 <ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?> に展示されるらしく、モネ『睡蓮』、ゴッホ『ばら』やシニャック『サン=トロペの港』などがありません。その代わりに私がこれまで観たことがない “蔵出し作品” がいくつか飾られていました。 いつ行っても新たな発見がある 国立西洋美術館、私はやはり「この場所が大好きだなぁ」と感じ

          「額縁」の威力と魅力

          画壇の明星(21)・マンテーニャの世界

          古本屋さんで見つけた1951-1954年の月刊誌『国際文化画報』。その特集記事【ルーヴル博物館案内】や【画壇の明星】についてシリーズで投稿しています。 美術界の巨匠たちは 70年前の日本でどのように紹介されているのか、そして70年前、日本という国はどんな様子だったのか・・・。 今回は1953年12月号を読みました。 ********** まずは特集【ルーヴル博物館案内】から。 ルーヴル美術館の所蔵作品をピックアップして、70年前の雑誌編集者が紹介する特集も5回目、今回 二

          画壇の明星(21)・マンテーニャの世界

          『細部から読みとく』 絵画鑑賞

          古本屋さんで手に取った本。 そして引用しているフレーズも素敵です。 スージ・ホッジ著『細部から読みとく西洋美術』は、4ページ(見開き2ページ)に一つの美術品を取り上げ、 ・最初の見開きページ … 作品の全体図とその説明 ・次の見開きページ … 細部拡大図とその考察や分析 を掲載しています。 総数100作品・675点の拡大図、パラパラめくるだけでワクワクします。 これは。。。もう、手に入れるしかないでしょ! しかし。 古本屋さんで手にした本書は、少しヨレヨレになったページ

          『細部から読みとく』 絵画鑑賞

          画壇の明星(20)・作品タイトルと来歴

          古本屋さんで見つけた1951-1954年の月刊誌『国際文化画報』。 特集記事【画壇の明星】で毎月一人ずつピックアップされる世界の巨匠たちは、70年前の日本でどのように紹介されているのでしょうか。 【ルーヴル博物館 案内】という特集記事も始まっているので 楽しみが倍増しました。 今回は1953年11月号について投稿します。 ********** まず今月の注目記事は[秋の美術 1953年版]。 日本美術院展、二科展、行動展、青竜社展の作品が紹介されています。 1953年の

          画壇の明星(20)・作品タイトルと来歴

          黒澤文庫の食卓、『レオナルドの食卓』

          先月、久し振りに髙島屋S.C.の4階にある「cafe 黒澤文庫」に立ち寄りました。 あまり時間がなかったので「少しだけ」と思っていたのですが、店内に足を踏み入れたら「ずっとここにいたい!」モードが “ON”。たいしてお腹も空いていないのにハンバーグ カレードリア・セットを注文して、結局 長居してしまいました。 cafe黒澤文庫には店中に本があります。どこに移動しても本棚と椅子がある … 我が家もこんな風に模様替えしたいなぁ!といつも思うのですが、現実的ではないですかね。 こ

          黒澤文庫の食卓、『レオナルドの食卓』

          旦那さんと <キュビスム展>

          2023年10月に訪れた<キュビスム展>について前回投稿しました。 実はその2ヶ月後(2023年12月)に旦那さんが<キュビスム展>を観に行く!というので簡単な事前レクチャーを頼まれました。 それほど美術に興味がない旦那さん。美術展に無理やり誘って一緒に行っても「ゆっくり見てていいよ。わたしはあそこの椅子に座って待ってるから」と、やはり私とはペースが違います。結局 お互いに気を遣ってしまうので、最近はあまり一緒に美術館に出かけていません。 しかし2019年には私の知らないう

          旦那さんと <キュビスム展>

          わたしと <キュビスム展>

          2023年10月に<キュビスム展>(国立西洋美術館)を鑑賞。とても刺激を受けたので 「自分の言葉でしっかり記事にしたい!」 と意気込んで熟考を重ねておりました。 が、気がつけば2024年1月29日、なんと<東京展>は昨日で終わってしまいました。大変! 3月、京都市京セラ美術館に会場を移して開催されるということで <京都展>に間に合うように慌てて投稿しております。 今回はわたし独自の鑑賞法と、特にお気に入りのパートに絞って投稿したいと思います。 ********** 国立西

          わたしと <キュビスム展>

          Instagram と使える英語

          朝の通勤電車で見ているのは、フォローしている美術館の Instagram。 訪れたことのあるパリの美術館🇫🇷や、行ってみたい海外の美術館が多いので、楽しむのはもっぱら写真や映像だけです。発音することすらできないフランス語・イタリア語や、十分に理解できない英語の文章はほぼ流しています。 そんな中で英語表現に注目しているのが国立西洋美術館🇯🇵のInstagram。 画像の説明「日本語」とその “英語訳” がついているのです。 ********** 去年の10月。いつもの通り軽

          Instagram と使える英語

          2024年に。「いろは歌」で振り返る(2)

          一年間に投稿した[note記事]や、 訪問した<美術展> を中心に2023年を「いろは歌」で振り返っております。 前回「い・ろ・は・に・ほ・へ・と・ち・り・ぬ・る・を・わ・か・よ・た・れ・そ・つ・ね・な・ら・む・う」 と半分まで来ておりますので、今回は後半戦です。 ********** 「ゐ」 Instagram の投稿に刺激を受けて、いくつかの記事を書きました。 フォローしているのは、訪れたことのある美術館(ルーヴル、オルセー、オランジェリー、ピカソ、ロダン、ドラクロワ

          2024年に。「いろは歌」で振り返る(2)

          2024年に。「いろは歌」で振り返る

          「い」つの間にか2024年。 2023年は前年(2022年)を「いろは歌」で振り返る記事からスタートしました。 今年もまた「いろは歌」に頼るのは あまりにも芸がない!そして、お読みいただく方は退屈かも知れない!と考えました。 が しかし、満遍なく一年を振り返って、新たな気持ちで新年をスタートさせるツールとして「いろは歌」は最強なのであります。 ということで、今年もこの一年間に 投稿した[note記事]や 訪れた<美術展> を「いろは歌」に乗せて“サクッと”振り返りたいと思い

          2024年に。「いろは歌」で振り返る

          ベラスケスの肖像画

          先日 iPadを開いて調べものをしているときに、こんなニュースを見つけました。 2024年2月に、あのベラスケスの絵画がオークションにかけられる! 最初画面で見ているとき、予想落札価格の50億と1億の間に改行が入っていたため、勝手に 「あのベラスケスが5億⁈。安い!」と思ってしまいました(汗。 5億円であれば・・・。ほとんど無いに等しい確率ではありますが、年末ジャンボ宝くじで1等+前後賞が当たったら、 「私がオークションで競り落として、国立西洋美術館に寄贈します!!」 と勝

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