小生おじさん、5点ラジオに出会う

小生おじさん、全然脈絡のないブランドとガジェットとキャリア自慢しがち。あと表現が無駄に大げさで寒い言葉遊びをやりたがるし、言葉の運用を間違えていがち。という偏見を込めました


小生の朝は、カーテンから差し込むマルセイユの木漏れ日ではじまる。
アーリーリタイアで渡仏して以来の夜の相棒、使い慣れたテンピュール枕に別れを告げ、サンルームに出てカッシーナ・ウィスキーソファに身を沈めた。

ネスレマシンの電源をつけ、BOSEのスピーカーにiPhoneを差し込む。朝のひと時、podcastに耳を傾けながら珈琲を嗜み、海風を感じるのが至福なのである。焦れた秘書が電話をかけてくるまでは小生の時間だ。

昨日まで、この時刻はこんなに暑かったか?地球温暖化に思いを馳せつつ、本日の構成を練るのも一興。
バイリンガルニュース、ゆる言語学ラジオ、ラジオ日経。どれも今日の気だるい気分には強すぎるな。
ふと、派手な黄色のサムネイルに目を奪われた。我が愛車、メルセデスの4WDと同じ色。「ゲイと女の5点ラジオ」だと?なんというネーミングだ。運命を感じ、そっと再生アイコンに触れてみる。

ミュークルなんちゃら…バーキン…青春ポカリ…代官山…ディズニーショップ、そして妄想ジブリ。

気づけば小生は頬を涙で濡らし、右手の指は狂ったようにiPhone14 pro maxの画面をタップしていた。

まさに蒙を啓かれた気分。

わたしの心は、今まで乾ききっていたのだと気づいた。まさに、20代の頃プラント建造コンサルとして赴任していたあのゴビ砂漠のごとく。
ショウ・ウー・チャンとミスVAJAの気負わない言葉は、そんなわたしを癒すスコールのごとく沁み込んできた。
思えば、vajaとはエストニア語で「必要」の意味だ。まさにこの番組は、わたしの人生に必要なラジオショウだった。

5点の自分を愛していこう。それこそが人生に必要なことなのだ。気が向いたら、楽天カードでバーキンを買おう。

絡んだイヤホンくらいこんがらがった自意識のドアを開け放ち、眼下のプールに飛び込んだ。


この文章はフィクションです。実在の人物、団体、番組とはあまり関係ありません

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