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デザインってなんだ?

大阪メトロが総工費約600億円かけておこなうその個性的なデザインを発表したところ、それに対し多数の批判が集まり、2万人近い反対署名が数日間で集められた。

それを踏まえて、大阪メトロ側は12月27日付けで次のようなコメントを出している。

「地下空間の大規模改革」として12月20日(木曜日)に発表いたしました各駅のデザイン案につきましては、Osaka Metroにおいてコンセプトを定めてイメージ化したものです。これらのデザイン案を具体化していく過程では、お客さま・地域の皆様の意見もしっかりお聴きし、引き続き社外の専門家にも相談しながら、よりよい駅となるようさらにブラッシュアップしてまいります。Osaka Metroは皆さまとともに歩む企業として、これからも快適な地下空間を提供できるよう努めてまいります。

批判は、新奇なデザインに対して主に向けられている。もともとレトロシックな大阪モダンと言われる特徴的なデザインではあるが、古ぼけたデザインといえばその通りではある。その好き嫌いはそれぞれだと思う。

でも、デザインってそういう見た目だけのことだっただろうか?

『デザインあ』で紹介されるデザイン

NHKの子供向け番組である『デザインあ』ではいろいろなデザインが紹介される。

それは単に美しい形や美しい絵だけではなく、使う人の気持ちを考えたもの、人の行動特性をよく理解したもの、シンプルで一目でわかるピクトグラム。決して派手な見た目だけではない、「なぜ」こういうデザインになったんだろう、ということを徹底して考えさせる番組構成となっている。大人が一緒に見ても楽しめる(大人の方が面白がるような)そんな内容が人気を博している。

翻って大阪メトロの発表された資料を見る限り、コンセプト自体は社会生活のインフラを語っているけれど、その具体的なイメージはなく、見た目だけのデザインを並べただけの内容になっている。

少なくとも批判した人たちは、そういうデザインを求めていなかった。

たくさんのお金があって、たくさんデザインにお金が使えるのなら、より多くの人が快適に過ごせるような空間づくりに使ってほしい。

混み合わない階段、きれいで清潔なトイレ(←今とてもきれいで素晴らしいです)、身障者にやさしい案内、サイン、動線。いつもの生活のなかで、使うものだから、ずっと飽きない優しさにあふれたものがいい。

そのうえで、本当に大阪らしい、たくさんの人に喜んでもらえるような新しいデザインを考えてくれたら、とても嬉しい。そんな地下鉄があることを誇らしく思える。

見た目だけがデザインじゃない、と多くの人はもう気づいている。簡単には騙されない、私たちは。


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