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信用されない大人

先日、就職活動中の大学生と話していて、感じたこと。

大人はつくづく信用されていない。

出会う人事担当者の言うことは、表面的な会社のいいところだけで、本当に知りたいことは教えてくれない。ツラくて、しんどい話は隠す。取り繕ってごまかす。

もちろん、社員どうしの仲はいいですか?やりたいことがてきますか?と聞かれたら、悪いとかできないとか答える人はたぶんいない。でも、本当に聞きたいのはそんなことじゃないようにも思う。

彼らの本当に知りたいことはなんだろうか、それに寄り添うにはどうすればいいだろうか。

たくさんの会社の情報が、流れていく。その中から、自分のやりたいことを見つけなければならない、なんて無理だ。

人事としてのわたし達も、うちの会社のしごとが彼らの本当にやりたいこととは思ってない。本当にそれが一致してるなら嬉しいけど、大体はそんなことなんてない。

だから、一致している場所をなんとか探る。

志望動機なんて聞いても意味がないし、聞かない。それよりは、まずこちらのことを知ってもらいたい。ゆっくりと、世間話をしたい。就職活動で悩んでいること、困っていることを教えてほしい。やりたいことよりはやりたくないことを教えてほしい。

そうやって、ようやく同じ考えや価値観が共有できるかどうかが分かってくる。仕事の内容なんて、だいたい何でもいいと思う。新卒だったら、適性はこっちで考えるし、いくらでも能力は伸びていくはずだし。

私はそんなふうに話がしたいと言うと、どこでそんな話ができますか?と聞かれてしまった。

たしかに、無いかもしれない。あるけれど、探すのが難しい。
学生にとっては、それが本当に信用できる場所かわからない。怪しい勧誘かもしれない。個人情報を取られるだけかもしれない。大学の就職課はそういう危険に注意してくださいと、頻繁に呼びかける。その通り、実際危ないところもあるから。
かといって、会社を辞めてフリーになろう、という集まりのほうが危ない場合もある。会社にいることは、少なくとも社会的な信用を得られて安全でもあるから。

相手は何も知らない学生だ。それを騙そうと舐めてかかる悪い大人もいる。そういう人のいない、安全な場所は作れないだろうか。

ネットのコミュニティはやっぱり怪しいので、できればオフラインがいい。お酒を飲むとやっぱり怪しいので、健全にコーヒーやお茶をするくらいがいい。連絡先の交換もダメ。会うのはここだけ、みたいな安全性がほしい。安心して、何を思って働いているか、どうして働くのか、どうやって働くのか、が聞ける場所。

それくらい「安全な場所」を作らなければいけないほど、大人はたぶん信用されていない。でも、それもやっぱり寂しい話なので、そういう場所があったらいいな、作りたいな、と思う。それは、直接的に採用とは関係がなくても、きっと「働くこと」をもっと身近に感じてもらえる活動で、会社と人との関係性を捉え直す機会になる。とりあえず、それで十分だと思っている。


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