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静けさが贅沢なこと

静けさは、贅沢だ。人、モノ、コト、情報、常に目まぐるしく動く世の中で、ノイズばかりにさらされていると、それがとても贅沢なものになる。

水が流れる音、風の吹く音、木々が揺れて葉がこすれる音、カタツムリが葉っぱを食べる音、そんな小さな音を、感じられる場所がとても大切なものに思える。

なにもできなくて、ただ家にいるしかなかったころ、時間も、音も、光も、全部が早すぎて、大きすぎて、明るすぎて、とてもついていけなかった。すべてに敏感になって、少しの音や光にビクッとして、布団のなかに籠っていた。

少しずつ、自分の時間を動かし始めたときに必要だったのは、本だった。

本の中には、ゆっくりと時間の流れる静けさがあった。

なにもしないでいることにも耐えられず、でも流れの速い、騒がしい世の中についていけなかったとき、寄り添ってくれたのが本だった。
いろんなことを考え出すと止まらなくて、頭の中が雑然として騒音が鳴り響くように静かな平穏の邪魔をする。そんなときに本は、騒音のない別の部屋に連れて行ってくれた。

静けさが感じられる場所、は人によって違う。空間的な場所とも限らない。騒音のない別の部屋に連れて行ってくれる「なにか」があれば、どこにいても静けさを感じられる。

雨の日の部屋、コインランドリーの待ち時間、昼休みの公園、お祭りの後の帰り道。音は聞こえていても、心の中の静けさとつながる瞬間がある。

そんな静けさの体験はとても贅沢で大切なものだ。

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