ポメ部長の叱咤激励(仮題) 第3話 『トライアスロン』

「お!ホワイトデーのお菓子じゃん、チョコチップクッキーひとつもらいますね」
「ダンボール君、今は6月だよ」
「あ、そうか、じゃ、何デーですか。もしかしてポメラニアン部長のバースデーですか?」
「そのクッキーは取引先の人がお土産に持ってきてくれたやつだよ」
「そっか、デー関係ないでーすね」
「クッキーもいいけどさ、スポーツ事業部から頼まれてた、スポーツ市場拡大に関する方策の調査できてるの」
「ばっちりです。誰も知らない画期的な競技を見つけてきました」
「で、どんなスポーツなの(もぐもぐ)」
「あ、部長、それアーモンド入りですね」
「いや、クッキーのことはいいから」
「えっとですね、トライアスロンっていうスポーツなんですけど、これがびっくりするようなルールなんですよ」
「びっくりするようなって、走った後に泳ぐとか? なわけないか」
「え、部長、なんで知ってるんですか、正確には泳いだ後に走ります」
「いや、冗談で言っただけなんだけど。泳いだ後に走るってどういうこと?」
「もっと正確に言うとですね、泳いで、自転車に乗ってから、マラソン走ります」
「自転車までやるの??」
「そうなんですよ。水から上がってそのまま自転車に乗るらしいです」
「そりゃ無茶だろ、水泳も、自転車も、マラソンも、どれかいっこやれば満足できるでしょ」
「それを全部やっちゃうそうです」
「じゃ、プールで泳いで、その後自転車漕ぐわけ?」
「プールっていうか、海ですけどね」
「う、海? 海で泳いでその後、走るの?」
「らしいですよ」
「体ベトベトになるだろ。ていうか、濡れた体でそのまま漕ぎ出すわけ? 着替えは? 水着で乗るの? お尻痛くないの?」
「さあ、慣れてきたら平気なんじゃないですか」
「で、さらにマラソンやるんだろ? 何キロぐらい走るわけ?」
「いろんなクラスがあるみたいですけど、フルマラソンとおんなじ距離を走る大会もあるそうです」
「そんなん無理だって。死んじゃうよ。ほんとにちゃんと調べた? なんか間違えてない?」
「間違いないですよ、だってほらこれ。海外のサイトですけど」
「ん、んー、ん? ダンボール君、これちがうじゃん」
「え?」
「ここ読んでみ?」
「あ。ほんとだ」
「水泳と自転車とマラソン、別日にやるって書いてあるじゃん」
「あちゃー、ほんとですね」
「おかしいと思ったんだよ、そんな3種目も一気にやるスポーツあるわけ無いじゃん。選手もしんどいけど、コースの準備とかさ、スタッフの配置とか観客の誘導とかも、めちゃめちゃ大変だよ」
「せっかく誰も知らない競技を見つけられたと思ったんですけどね。水着もバイクもランニングシューズも売り込めたら、うはうはだなーって。」
「そんなうまい話、ないよ」
「ですよねー。でも、あえてまとめてやっちゃう、っていう新しいスポーツの企画として出してみるのもアリじゃないですか?」
「出してもいいけどさ、そんなスタミナの持ち主、いるとは思えないんだけど」
「んー、もう少し揉んでみます」

 続く。

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ポメ部長の叱咤激励(仮題)

登場人物  ・ポメラニアン部長  ・トマト君  ・こたつ君  ・ダンボール君  ・小皿くん
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