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タイプ:ワイルド

  「マサラタウンにサヨナラしてからどれだけの時間たっただろう」この歌い出しが流れる度に、涙腺がふわっと緩んでしまう。何度でも。

  1987年生まれのわたしは、ドンピシャでポケモン第一世代だ。1997年、アニメの放送が始まった年に、わたしは主人公のサトシと同じ10歳になった。「ポケモン言えるかな?」は大流行し、男女関係なく、教室中が皆夢中になった。ゲームボーイも勿論買ってもらったし、シール列伝も集めた。壊滅的にゲームのセンスがないわたしにとって、後にも先にも攻略したのは(兄に攻略本を借りて、だけれど)ポケットモンスター赤だけだろう。どうしてもアニメの第一話を残しておきたくて、レンタルショップでビデオを借りて、兄と一緒にその画面をハンディカメラで撮影したこともあった。兄と遊んだ中で一番楽しかった記憶だ。

  サトシが「マサラタウンにサヨナラ」してから二十二年が経つ。もちろんポケモンの世界はファンタジーで、サトシだって実在しないのはわかっている。わかっているのだけれど、それでもサトシだったらきっと今も変わらず真っ直ぐな気持ちで夢を追い続けているような気がしてしまうのだ。彼にはそう思わせてくれる何かがある。過ぎていく日々の中で、わたしが忘れてしまったものたち。実はわたしも日曜の夕方を楽しみにしている。

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