京都新聞杯コース論

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京都新聞杯(京都・芝・2200m)

コースデータ

・右回り/外回り使用
・スタートから1コーナーまで 約397m
・最終直線 403.7m
・高低差 4.3m
・最終直線坂 平坦

特徴

・スタート地点はスタンド前直線の途中
・スタートしてから1,2コーナー、向こう正面の途中まで平坦
・残り6Fあたりから3コーナー途中までの約400mで「淀の坂」と呼ばれる高低差4.3mの上り
・3コーナーの途中から4コーナー手前までで上った分を一気に下る
・4コーナーから直線まではほぼ平坦

このコースを使用するOP以上の競争

G1
エリザベス女王杯(3上・牝)

G2
京都記念(4上)
京都新聞杯(3歳)

コース考察

○長い距離らしく内枠有利

京都芝2200m・補正込み枠順別1着割合(2015年~2020年・1勝クラス以上・16頭以上)
京都芝2200m・補正込み枠順別馬券内割合(2015年~2020年・1勝クラス以上・16頭以上)

 「補正込み」とは、当該コースが最大18頭立てで開催される、即ち7・8枠の出走頭数が1~6枠に比べて多くなることを踏まえ、1~6枠の出走頭数とほぼ同じになるように一定の係数を掛けた後の数字であることを意味する。
 今回の場合、7枠に80%程度、8枠に75%の補正をかけている。
 また、レース条件の都合データの母数が少ないため、見かけ上データの偏りが極端になっている。

 母数が少ないとはいえ、16頭以上が出走した際に1枠から3枠までで馬券内の半分以上を、勝ち馬に至っては2/3ほどを占めているのははっきり言って異常。
 この傾向は2010年~に範囲を拡大しても殆ど変わらないため、これはフラットな状態であればコースそのものに強い内有利な性質があると捉えて間違いない。

 内枠勢が極端な結果になっている反動でそれ以外の枠の成績に関しては誤差のようになっているが、16頭以上の多頭数において勝ち馬を出せていない分を加味すると、中枠の方が外枠よりもより厳しいといえそう。
 小頭数であれば当然その限りではないとは思われるが、多頭数になるとどうしても揉まれる展開になりやすい中枠は立ち回りが難しくなってしまいそうではある。

 元のデータが少ないため、コース区分(A~Cコース)別成績は省略。

○前が極端につかまりやすい

京都芝2200m・全頭脚質分布(2015年~2020年・1勝クラス以上・16頭以上)
京都芝2200m・馬券内脚質分布(2015年~2020年・1勝クラス以上・16頭以上)
京都芝2200m・馬券内脚質分布円グラフ(2015年~2020年・1勝クラス以上・16頭以上)

 このコースは枠だけでなく、脚質にも大きな偏りが見られる。
 中京2200mに近いか。

 基本的に京都外回りを1周する条件というものが逃げ馬にとっては苦しい舞台で、ここで逃げて好走できるようであれば相当の実力馬。
 2015年から2020年までの範囲では、エリザベス女王杯を3年連続2着のクロコスミアやダービー馬ロジャーバローズなどがこのコースで逃げて連対している。
 クロコスミアは3年全て違う鞍上(和田竜騎手→岩田康騎手→藤岡佑騎手)に導かれて結果を残しており、ロジャーバローズも

 ただそれ以上に特徴的なのが、差しの台頭に対して後方からの競馬ではまるで勝負になっていないところ。
 4コーナー通過順を見ると、10番手以下の時点で既に勝ち馬がおらず、直線が長い割に直線一気が全く成立しないことが伺える。
 溜めて上がりを使う競馬が得意な馬に向きやすいコースなのは間違いないが、溜めるのに位置取りを後ろに置かなければいけない馬には全く勝機のないコースであると言える。


過去の京都新聞杯ラップ推移

2013 12.2-10.4-12.3-12.0-12.3-12.3-12.6-12.3-12.1-11.8-12.0 59.2-60.8
2014 12.2-10.3-11.6-11.6-12.0-12.5-12.5-12.1-12.8-11.6-11.8 57.7-60.8
2015 12.3-10.7-12.2-12.1-12.1-12.6-12.5-11.9-11.4-11.9-11.6 59.4-59.3
2016 12.4-11.1-12.6-12.3-12.4-12.3-12.8-12.2-11.8-10.8-11.9 60.8-59.5
2017 12.7-11.1-12.8-12.4-13.1-13.1-12.7-12.6-11.6-11.5-11.6 62.1-60.0
2018 12.5-10.5-11.7-11.7-12.1-13.2-12.6-12.1-11.3-11.4-11.9 58.5-59.3
2019 12.6-10.5-12.3-12.2-12.4-12.4-12.4-11.8-11.7-11.5-12.1 60.0-59.5
2020 12.4-10.3-11.8-11.9-11.9-12.5-12.7-12.0-12.5-11.7-12.0 58.3-60.9

 序・中盤の流れは根本的なスピードに違いこそあれ、コーナーを含まれている関係なのか年によってそこまで極端な違いはない。
 ペースの強弱に関しては中距離以上のレースらしく、その時々によって変動する。

 5F-7F区間が「淀の坂」になり、当然その区間ではペースは落ち、そこからの下りでペースは必然と上がる。
 そのため、ハード面でラップの干渉があるとすればこのアップダウンがある約2.5Fとなり、その影響を受けて上がりは3.5Fでの勝負になりやすい。

 この条件、或いはもっと広範に「淀の坂」を上り下りするコース全般に言えるが、この坂で本来起こりうるペースアップ・ペースダウンに逆らっている時は注目。
 京都新聞杯の場合、18年のレースがそれに該当している。

 18年のレースは、馬場の影響もあったかもしれないが序盤から忙しなく進み、前半5Fが58.5のハイペース。5F-6F区間で大きくペースを落としたが、まだ上りが残っている6F-7F区間から再加速を始めており、結果他の年とややずれたラップ推移になっている。
 この時逃げたメイショウテッコン(5着)は次走の白百合Sを1着、次々走のラジオNIKKEI賞ではフィエールマンを下して1着となる実力。また京都新聞杯を勝った2番手追走のステイフーリッシュは、中長距離レースで息の長い活躍をした。

主観

 非常に癖の強いコース。
 多頭数で開催されること自体が少ないコースではあるため、小頭数コース由来の特性の方が反映されることは往々にしてありそうだが、ある程度頭数が揃った場合にはレース質に強く干渉してくる可能性が高いため注意が必要。

 京都新聞杯というレースを考える際には、比較的頭数が揃いやすいレースでかつメンバー間のレベルがばらけやすいという性質から、最低限の能力による足切りが必要かつ有効となる場合が多い。
 

2023年 京都新聞杯(京都芝2200m)各馬考察コメント

全頭考察コメントはこちらです。

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