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校庭の桜の木の下には死体が埋められている
僕はそれを目の当たりにした
真夜中にかすかに聞こえたスコップの音
ここは廃校になって随分と経っていた
校舎は不気味な色をしていて
窓ガラスが割れて吹きさらしになっていた
僕は部屋から見えるその小さな人影を
布団に隠れながら注意深く観察していた
なぜあんな目立つところに埋めるんだろうと
次の日そこだけ土の色が変わっているのを
確認しに行ってふと思った
僕が大人になり故郷を離れてからしばらくして
学校の取り壊しが始まったと聞いた
僕は死体が出てくるんじゃないかとそわそわしていたが
校舎の解体は何もなく終わった
久しぶりに故郷に帰ると
あの桜の木は満開に咲いていた
僕は勝手に人の死体だと決めつけていたけど
きっと犬か何かだったんだろう
裏山のおばあさんを
あの日以来見かけなくなったけど
きっとおばあさんは何処かに消えただけで
ここには埋められてないはずだ
僕はなんだか後味が悪くなって
家に帰った
そんな話
1円でもありがたいお気持ち_( ´ ω `_)