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ミュージカル「ダディロングレッグズ」韓国 観劇レポ

ミュージカル「ダディロングレッグズ」@韓国大学路ドリームアートセンターホール1

2023年12月25日マチネ

  • ジルーシャ・アボット:チャン・ミンジェ

  • ジャーヴィス・ペンドルトン:キム・ギョンス

クリスマスの昼に、大学路の小劇場にあしながおじさんことダディロングレッグズを見てきた。もはや推しといってもいいだろう、ギョンスさんが出るので。

実はこのミュージカルは配信で見て、素敵な楽曲の数々ではあるものの、苦手だと思ってしまった。というのも、あしながおじさんがジャーヴィス坊ちゃんなのは、小説では最後の最後に明らかとなるが、ミュージカルではそれがわかっていて、結局のところ2人の間には裕福な「持つ者」と貧しい「与えられる者」という立場の違いがあって、しかも前者が男性で後者が女性で、年齢的な違いもあって(15歳くらいかな?)その二人が最後に結ばれるというラストがどうにも苦手だった。お分かりいただけるだろうか、、好きな方ごめんなさい。

でも母に勧められて読んだ原作は、電子書籍を電車で読みながら吹き出してしまったり涙しそうになったり、とても面白かった。原作を読んだら、ジルーシャがジャーヴィスに惹かれる気持ちも、最後彼が彼女が唯一心の支えにしていたあしながおじさんだと分かって、嬉しい気持ちも分かった気がしたので、せっかくのギョンスさんが出るということで見に行ったのだ。公演の1週間ほど前に決意したけど、ちょうどいい感じの席も戻ってきたのだ。ラッキー。

そして、とてつもなくよかった。まず演出が楽しかった。床に散らばったさまざまなトランクをあれやこれや移動させて、孤児院からジルーシャの大学の部屋からニューヨークの街頭までを表現する。舞台の奥にはシャーヴィス坊ちゃんの部屋があって、坊ちゃんはここでジルーシャの手紙を読んで笑ったり泣いたりする。シンプルだけど面白かった。具合が悪いジルーシャにあしながおじさんとしてシャーヴィスが花を贈るシーンも、いてもたってもいられなくなって電話をがちゃん!と切るとジルーシャにぽんと花が届くという演出が素敵だった。

この日のジルーシャは最年少のチャン・ミンジェさん。私のキャサリン・パーことユ・ジュヘちゃんで見たい気持ちはあったけど、ミンジェさんのジルーシャは等身大でとても素敵だった。今年、彼女をデスノートのミサミサでも一度見ているけど、歌はフラットがちょっと気になるのだけど、はつらつとした演技と笑顔がかわいい女優さん。

ギョンスさんはというと、あんなにカッコいいのに、この作品では基本猫背で内股で、変わり者として一族でも浮いてしまっている存在、というのに説得力がある出で立ちであった。足が長くて三つ揃えが似合って相変わらずかっこいいけどね。

結局ジャーヴィスは最初の方の手紙で「愛を贈る」と言われてから、もうジルーシャに恋したんだね。愛されたことがなかったから。ギョンスさんの演技はそれが明らかだった。

ジルーシャの手紙に一喜一憂するコミカルな演技もかわいい。あしながおじさんとしてはどうしても返事をかけずに、秘書といってタイプライターで手紙を打つのだけど、キャスターつきの椅子をゴロゴロ転がしてタイプライターに向かったり、髪を振り乱してタイプしてたり、あげく椅子でむかうのもおっくうになって膝立ちでタイプしたり、面白かった。それでいてジルーシャの前ではカッコつけてるの。カッコつけがちょっとズレてるけどw

楽曲の数々もとても美しい。私はジルーシャが初めてジャーヴィスの案内でニューヨークを巡るシーンのこの歌が好きだな。

ギョンスさんはソロ曲以外は終始ジルーシャの歌を引き立てるような歌い方でそれも素敵だった。

言葉が素敵な作品だから、韓国語が分かれば更に楽しいと思う。私は原作でああこれはここの手紙のシーンだなというのが、あのセリフのところだなと分かって充分だったけれども。

印象的だったシーンをいくつか。

  • 農場でノートのうえにいたアシナガグモ(ダディロングレッグズ)を逃がしてあげるシーン、小説でも印象的だったけど舞台ではとても美しかった。

  • ぜったいに、卒業式に来てほしい、とあしながおじさんに手紙を書くジルーシャ。ジミー・マクブライド(シャーヴィスの天敵w)やシャーヴィスにもらった花束でなく、おじさんから贈られた花束を胸に行進して(ここらへん原作から。韓国語のセリフにあるかは知らない)台の上から必死におじさんを探すけど、彼は来ない。ここらへん、原作である書簡よりぐっと胸にくる演出で、思わず泣いてしまった。実際は、隣で見守っているのだけどね。

  • ジルーシャが作家としてお金が入って、あしながおじさんにお金を返して、また私のような女の子を支えてほしい、というシーン。ギョンスシャーヴィス「ジルーシャ・アボットが、作家になって…」ここでギョンスさん、大決壊、大号泣ww 彼女からもらった小切手を換金せずに手紙とあわせて本棚の一番上に大切に貼るシーン、もらい泣きした。

  • そのあとのプロポーズシーンはとてもやさしくて、ひざまずくギョンスさんにただただ沸く。

  • その後、断ってしまった、だって私がジョン・グリア孤児院の子だと知られたら?ここでミンジェさんも、見てる我々もみんな涙。

  • 最後、あしながおじさんとして対面するところは、原作で読んだ時は、僕があしながおじさんって気づかなかったの?かわいいジルーシャ、みたいなことが書いてあったから、シャーヴィス側は余裕だったのかな?と思ったら、ギョンスさんは、目もまともに見られず、「僕が、、、僕があしながおじさんなんだ、、」という感じで、すごく内股wな告白だった。「あなたが…あしながおじさんの秘書!!!!」というコントも健在w 観客は泣き笑いです。

  • その後ジルーシャに押し切られてw 原作にはないシーンに突入するが、ここらへんも美しくて泣けるシーンになっていて、ギョンスさんは終始涙声で歌うのがいっぱいいっぱいだったしww ああジルーシャ本当によかったね、と、、、こちらも涙。

こんな感じの涙、涙の公演だったので、終わった後に拍手とともにわぁー!というようなため息のような歓声がおき、その後の撮影可のスペシャルカテコでは、せっかく撮影可なのに、泣きすぎでギョンスさんの化粧がハゲハゲでちょっと素にちかい状態になってしまっておりましたww かわいい!
この二人は現地オタクにも、泣き虫カップルと言われていたね。

この日は、多分クリスマスであしながおじさんのタイトルにつられてやってきた大学路プロオタクでないおばさまたちの集団も多数いたりして、よく言われる素人の観劇マナーは分からなかったけど(私はいい席とれて近くなかったからね)カテコで雪が降った時に歓声が起きたりして、ふだんの大学路とはちょっと違う感じがして、それもよかったよ、と私は思った。

クリスマスの素敵な贈り物のような作品を見ることができて、あたたかい気持ちで劇場をあとにしました。


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