フェルミ推定は(できたら)楽しいクイズ
皆さまこんばんは、Biz Craftです。
今回は未来思考力を養うフェルミ推定についてご紹介したいと思います。
AI隆盛時代においては、今まで見えなかった過去データがこれからどんどん数値化されていくことでしょう。
そのような環境の中では、未来数値を先取りすることはますます必要とされる能力だと思います。
もはやフェルミ推定はコンサルだけでなくビジネスにおいても必須のスキルだと思い今回ご紹介させていただきます。
1.フェルミ推定とは?
まずは定義からご説明します。
フェルミ推定とは、実際に調査することが難しいような需要や市場規模を、いくつかの手がかりをもとにしながら最低限の知識で論理的に概算することです。
この方法は1938年にノーベル物理学賞を受賞したエンリコ・フェルミにちなんで名付けられました。
フェルミ推定のやり方は、通常以下の4つのステップに分けられます。
①問題の要点を掴む
何の数字を元に仮説を立てていくかを明確にする
②公式を作る
要点の数字同士の関係を表す式を考える
③公式に当てはめる数字を作る
要点の数字を推測するために、既知のデータや常識を利用する
④計算する
公式に数字を代入して答えを求める
なお、フェルミ推定はコンサルティングファームやベンチャー企業などの選考で課されることがあります。
これは問題解決能力や論理的思考力、思考の柔軟性などを測るためです。
フェルミ推定は正確な答えを出すことよりも、どのように考えるかが重要です。
2.実際にやってみる
例えば代表的な問題に「日本にコンビニの数は幾つあるか?」という問題を考えてみましょう。
下記に私が行った解法アプローチをご紹介いたします。
①まず日本の面積を切り口にする
日本全国のコンビニの数は、日本の面積÷コンビニの密集面積で求めることができるとします。
日本の面積は380,000k㎡メートル、そのうちの1/4を平野部とします(すなわち95,000㎢)
②コンビニの地域別の密集面積を求める
・都市部は2㎞おきに1店舗、つまり4k㎡の中に1店舗あると仮定します。
・山間部は4㎞おきに1店舗、つまり16k㎡の中に1店舗あると仮定します。
③それぞれの地域の店舗数算出
・都市部は95,000k㎡÷4k㎡=23,750店舗
・山間部は(380,000-95,000)k㎡÷16k㎡=17,812店舗
④両者を足し合わせる
23,750+17,812=41,562店舗
3.実測値と照合してみる
早速ですが実測値と照合してみます。
1年前のデータですが、日本全国のコンビニ店舗数は2023年1月時点で56,759店舗のようです。
15,000店舗ほど少なく見積もってしまいましたが、前提条件により推測値が大きく変わってしまうのがフェルミ推定の魅力です。
なぜなら何が原因で違ったのか振り返る反省材料になるからです。
なおここで再度強調したいのは、その解法に至った論理的思考力にあります。
・前提:何を前提条件としているか?
・根拠:どんなロジックでその数値を算出したのか?
・結果照合:事実と違った原因の特定
・修正:前提条件及びロジックの見直し
この4プロセスが大事になってくるのです。
これはなかなか大変ですし、なにより面倒くさいですよね。
確かにわざわざこんな苦労をしなくても、AIに聞けばすぐに近似値を教えてくれるでしょう。
ですがこの地道な過程を省いてはならないのです。
なぜならAIデータは全て過去のものから引っ張り出しているからです。
この先行きの見えない不透明な時代に、あらかじめ正確なデータなど見つけることは不可能です。
しかもある時代の前提条件は時代とともに大きく変わります。
たとえ事実と違っていても、制約条件の中でベターと思われるものを仮定し、トライ&エラーをする。
そして未来数値を創造することがこれからの時代に求められる姿勢なのだと思います。
まとめ
というわけで、ビジネスに携わる方はフェルミ推定力は身に付けておいて損はないスキルであると思います。
中には「AIの出した数値のほうが正確だし、あまり意味が無くない?」と考える方もいらっしゃるかもしれません。
しかしAIに頼り過ぎてもいけないわけです。
何故なら、人はどうしてその回答をしたのかわからなければ納得しないものだからです。
なので先にAIに頼るのではなく、まずは自分の頭で考えてみてからAIの回答と照らし合わせてみる。
これがAIとのベストな付き合い方なのではないかと思います。
あまり難しく考えずに、皆さんも試しにクイズやゲーム感覚で取り組んでみてはいかがでしょうか?
日常生活で自然とこのように考えるようになったら楽しいと思いますし、なによりビジネス思考力を養うことにもつながります。
☟フェルミ推定に興味がある方は以下の書籍を参考にするとよいでしょう。
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