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子供の病気の技術を大人に活かす#2売れる音楽を作る3

新しい音楽療法の形として「脳を癒す音」を主体とした音楽を聴いてみるということをはじめてから3年が経過しました。いろいろな音楽があるなかで条件がだんだんと定まってきたのですが、完全に当てはまる曲というのは難しい。

一つは「歌詞と音」に秘密があり、もう一つは「メロディなどの構造」に秘密があります。


まずはおさらい。

①フレーズの最後の音が母音の「あ(a)」「え(e)」「お(o)」で終わっている曲はよく聞く➡良い音
②フレーズの最後の音が母音の「い(i)」+休符で終わっている曲は嫌がる、歌の途中でも「い」と「休符」が入っていると嫌がる➡悪い音
③「きっと」「ずっと」「もっと」「ちょっと」という促音も好き➡良い音
④同じ歌詞や同じフレーズの繰り返しも好き➡良い音
⑤フレーズの最後の音が母音の「い(i)」で終わっても「い」と「に」の場合は問題がないことが多い(き、し、ち、ひ、み、り、ゐはダメ)➡悪い音の回避
⑥フレーズの最後の音が母音の「い(i)」で終わっても次のフレーズの最初の音が「い(i)」で始まるなら問題がないことが多い。う段も同じだが、い段はい段、う段はう段の場合だけよくて、い段とう段が絡んだ場合はダメ。➡悪い音の回避
⑦母音が「あい(ai)」「いあい(iai)の単語が入ると良い➡良い音
⑧「aiai」と繰り返すものはもっと強い効果がある➡良い音
⑨aiを伸ばす音はさらに強い効果がある➡良い音
⑩aaaのように連続する母音は強い効果がある➡良い音
⑪「ポジティブな意味の単語」の量と「ネガティブな意味の単語」の量が1:1だとネガティブな言葉の威力の方が大きいので「明るい歌詞」と「暗い歌詞」があるなら明るい歌詞の分量を多くしないといけない
⑫「希望の意味の歌詞」で歌を終了させる
⑬暗い意味の歌詞の後には希望の意味の歌詞で否定する
⑭サビの中にある悪い音は被害が大きい
⑮音の数が増えてくると無音ができた瞬間にその場所が悪い無音になる
⑯前奏はないか、サビ同然のメロディがないとダメ
⑰「聞く」という行為に集中できるように音の層が厚い曲が良い


今回のお題はmillennium paradeの「U」です。竜とそばかすの姫というアニメの主題歌です。

Music and Lyrics: 常田大希
Vocal: Belle (中村佳穂)
Timpani, Drum line snares, Marimba, Gran cassa and Cymbals: 石若駿
Horn arrange, Trumpet, A.Sax and Flute: MELRAW
Piano and Synthesizer: 江崎文武
Trombone: 川原聖仁
Horn: 濱地宗
Beat Programming and all other Instruments: 常田大希
Recording and Mixing: 佐々木優
Mastering: Randy Merrill(英語版) (Sterling Sound)

では早速、歌詞を見てみましょう。

同じフレーズの繰り返しが多いです。歌詞のバリエーションを増やした場合「iu」が入る可能性が上がるので、1つ出来上がったフレーズを繰り返す構造にしています。これは麻痺と同じパターン。

これは「ヘビロテ要素はあるけれど、聞きべりは意外と早い」というデメリットがあります。

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この歌の凄いところは「い」と「に」は回避されるという条件と母音の「ai」はOKという2つの条件を使って「母音のい」を使いながらも鬱音を回避しています。純粋に鬱音が出来上がるタイミングを1回に抑えている。

さらにYOASOBIでフレーズの頭に母音の「iu」が来るときに「ああ~」で回避したものをUではすべて「さあ!」で回避している。「ああ~」ばっかりじゃワンパターン過ぎて困ると思っていたんですよ!

次は、加点も見てみましょう。母音の「い」の修正箇所が、これでもかというほどに加点と回避のテクで埋め尽くされています。特に「ララライ」や「おまじない」はやってくれた!という印象でしたが、「ない」「たい」「世界」などのフレーズはもう定番ですよね。YOASOBIの歌でもガンガン出てきます。一般的には「韻を踏んでいる」ととらえられるのでしょうが、この音で揃えることには意味があります。でも使える単語がそれほどないから今後は頭をひねらないと大変。

そして母音のaeoであっても次のフレーズとつないでいって、「無音の鬱音を作らない」ことに成功していて、特に暗い内容の歌詞の時は限界まで追っていってる。語尾の音を連続させたりして、aeoでも加点を増やしています。

そして「きっと」「ずっと」「もっと」「ちょっと」などを多用するYOASOBIと比べると促音が歌詞上では一見少なそうに見えますが、普通の単語の発音の仕方で「さあ」を「っさあ」にしたり、「から」を「からっ」にしたりして工夫が見られます。「ララライ」ですら「ララライッ」ですからね。

この中で「へその緒がパチンと…」からの4行は映画のストーリーとして印象付けたい内容なのであえてじっくりと聞かせようとしてメリハリをつけているのがいいですね。早口で人によっては聞き取りにくいと思われるような内容であっても映画音楽なので伝えるべき部分はじっくりと伝わるような作りにしてあります。

歌詞に関する完全な鬱音は3つしかないというのはかなりの好成績です。

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でもこの歌の歌詞のかっこいいと思う場所は一番最後。

「時は誰も待ってくれないの」という1フレーズは中盤に出てきた「君を知らない、何ひとつみのがさないように」につながっています。「時は誰も待ってはくれないの」だけを見ると根暗な印象の文字列に見えますが、暗に「君を知りたい」とか「君を信じてみたいの」を内包しています。

文学的な要素ではこの1文は「相当に強い強い希望」を表していますが、音楽療法的な歌としてみた時にどうかといったん迷いました。何度も聞いてみて確認したところ、十分機能しているように思えます。


ただし。

この曲構造上はヘビロテ要素満載で歌詞も計算ずくの完璧な加点設計ですが私の子供は「前奏を怖がって聞かない」という結果に終わりました。確かに小さい子供にはちょっと怖い歌です。

映画自体が「主人公のお母さんが死んで苦しみながらそれを克服する話」なので、うちの子供には早すぎる。多分見たら泣いちゃいます。

この理論は歌詞がついている部分はカバーできますが、歌詞のない部分に関しては完全にノーマーク。

このことから私はメロディそのものに関する法則を見つけなければならないと、痛感しました。


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