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夜間低血糖への対策

脳性麻痺児は糖を大量に消費する

私の子供が脳性麻痺だとわかった時、お姑さんに「リンゴジュースを飲ませて、1日3リットルよ!そういう子供が元気になった時は皆リンゴジュースを飲んでいたの!死んじゃった子は飲んでなかったのよ!」と言われました。

当然そんな非常識なことはしませんでした。でも毎晩のように無呼吸発作を何度も起こし、発達遅滞でずっと育たず原因不明の発作で何度も救急車を呼び、へとへとになっていた私はほかに方法がなかったので数年後にそれを受け入れました。

そんな量飲ませたら糖尿になってしまうよと小児科医に心配されたのですが、その方法がなぜか正解だったのです。

おそらく、脳性麻痺の子供は通常の人間の何倍も糖を必要とするのだと思います。特に低緊張の子どもは筋肉が育っていません。筋肉の中には糖をたくさん含んでいるので「糖が足りないから筋肉がつかない」とも考えることができます。そしてなぜ筋肉に使う糖が足りないのかというと、「一番大事な脳に足りていないから」と言えるでしょう。

何をしても具合が悪くて、最後の最後で頼ったのが大量のリンゴジュース。もしあの時リンゴジュースを飲ませていなかったら、私の子供はもっと悪い状況が続いていたと思います。それこそ最初に新生児科の先生に予言された通り「一生寝たきりで首が座るのがやっと」な状態だったのかも。

現在はリンゴジュースは1か月に1回紙パック入りのものをあげるくらいです。ほとんど飲ませていません。その理由はりんごがアロマターゼを誘導してしまうから。長い間低緊張だったのはリンゴジュースを飲ませていたせいかもしれないけれど、飲ませていなかったら低血糖でもっと過酷な状況だったはずです。

途中からそれに気づいて自家製経口補水液に変更したところ、尿の回数が減り、浮腫みが取れて筋肉がしっかりとしてきました。老廃物が外にきちんと出ているという印象を多くの人が持ちました。


自家製経口補水液の作り方

・水:250cc
・ブドウ糖:5g
・塩:ひとつまみ

これを哺乳瓶に入れて混ぜるだけ。とっても簡単です。これをいくつか作って置いておき、程よく溶けたらそれを飲ませます。

日中は様子を見ながら水か自家製経口補水液を飲ませますが、夜中は自家製経口補水液を1時間ごとに少量ずつ飲ませます。

寝ているときに必ず低血糖を起こすので、自家製経口補水液を飲ませてやると反り返りや無呼吸発作を起こさなくなりました。夜間の糖の消費量が普通の人の必要量とは比べ物にならないくらい多いのだと思います。

寝ている間も口元に哺乳瓶を持っていくとごくごく飲みます。食べ物を口元に持って行っても完全に寝ているにも関わらず何でも食べます。薬ですら飲めますし歯磨きもできます。完全に寝ているのに。かなり前にTVでご長寿アイドルの金さん銀さんの娘さんが「2日寝て2日起きる。寝ている間も食べ物を寝たまま食べさせたら食べる。」と言っているのを聞いて、そんなことがあるわけがないと思っていたのですが人間は寝ている間も飲み食いできます。

本当は一晩中点滴をしてやれれば完璧なのでしょうが、自宅でそれはできないので仕方なくアラームをかけて1~2時間ごとに自家製経口補水液を飲ませてやると体調が良くなりました。その作業は過酷で親の睡眠時間を削ります。体力的にもしんどいのですが、夜中に死にかけて救急車を呼ぶよりはマシです。シッターさんと交代で夜中のブドウ糖の補給を頑張っていると徐々に筋肉がついてきました。

でもできればこの作業を減らしたい…。
と、考えて私はある工夫をしました。


脳性麻痺の子供が夜中に莫大な糖質を必要とする理由はなぜなのか?!

根本的な理由がわかるほど私は賢くありません。周囲の医者に聞いたとしても誰も答えてはくれません。

ただわかることは、それにはアロマターゼが関わっているということだけです。


寝ている間に低血糖が起きると、

①歯ぎしり
②反り返り
③顔のむくみ
④頻尿
⑤軽い無呼吸
⑥嘔吐
⑦けいれん
⑧呼吸停止
⑨チアノーゼ

という発作の症状が出ます。

病院に運び込まれると血液検査をするのですが異常は見つかりません。アミノ酸分析をすると毎回異なる数値が出て、なおさら「この数値だけが高いのか説明がつかない、全くわからない」と言われます。脳性麻痺の子供の発作のいくつかは医師にとって難解で「意味不明の発作」となります。血中の銅が異常値を示すこともあれば、アスパラギン酸だけが高い時もありました。ロイシンだけが高いことも。

こういった発作を起こす前には前兆があります。

・おでこのでっぱり
・舌のシアル酸の脱落
・低緊張が強くよだれが増える
・低緊張が強く関節の痛みを訴える
・頻繁にコケる
・手を痛がる
・浮腫み
・頭痛を訴える
・粘り気のある下痢便、下痢が続く
・甘い香りの尿
・言葉が支離滅裂になる
・怒りっぽくなる
・体温調節が苦手になり、汗のかき方がおかしくなる
・脱水をおこしがち


特に寝るときにこのような土下座ポーズになるとその30分後くらいに発作を起こしてしまいます。見た目上大きな発作を起こしていなくても、起きたときにぼーっとしたり支離滅裂だったりするのでおそらく小さな発作を起こして十分ダメージが生まれているのだと思います。

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そしてそれを回避する方法もいくつかあります。

まず舌の状況を確認しながら、
・アロマターゼ阻害薬をコンスタントに使う
・シアル酸サプリメントを適度に与える
・温胆湯を与える
・植物性エストロゲンを除去する
・クエン酸を含む食品を除去する
などです。

これらを行うと夜間の低血糖は起きません。てきめんに効果があります

アロマターゼが多い時は体の中では次のようなことが起きています。

・エストラジオールが増えすぎて浮腫みが出ている
・脳の水分量が多くなりすぎて髄液が増え脳室を圧迫
・おでこが変形するほど脳内の水分が多い
・脳のあちこちで炎症が起きる
・頭痛が起きる
・ストレスになる
・コルチゾールが増えるせいで低緊張に
・涎や関節の痛みをひき起こす
・シアル酸が保護のために集まるせいで舌や内臓に必要な量が枯渇
・シアル酸が部分的に多くなりすぎてシアリダーゼが分泌される
・シアリダーゼによって舌のシアル酸が脱落
・脳内では脱髄が起きている
・てんかん発作が起きる
・呼吸が止まる
・体温が下がり始める
・血糖を上げるために糖鎖を分解してアスパラギン酸とオリゴ糖に分解
・血糖値は上がるが脳へのダメージが大きいのでその後回復に時間がかかる



発作を起こしたときはブドウ糖の点滴で大幅に回復したことがあり、それ以来発作を起こした時点で救急車を呼ぶ前にブドウ糖を与えるようにしました。病院に着くころには回復するようになったので、それ以来発作が起きても救急車を呼ぶことはなくなりました。

むしろ今の私ならそのタイミングでプロテオグリカンとシアル酸のサプリメントを与えます。

さらに、
・夜間の自家製経口補水液を与える頻度を増やす
・できるだけ日焼けをさせてビタミンDやテストステロンを増やす
・ACTHを増やすためにクリルオイルを飲ませる
と、いったことに気を配りながら夜寝る前の食事の量が減らないようにしてやるだけで発作のリスクは減らせます。


現在の食事方法

私の子供の食事回数は普通の人よりも多いです。通常6~7回です。特に夕方から寝るまでの間に3回は食べます。子供なので1回に食べられる量が多くありません。小分けにしながら食べさせないと必要なカロリーを摂取できません。脳性麻痺の子供は夜間に血糖値が下がるのでそれに耐えられるだけの糖質を補給する必要があります。


起床
朝食:目玉焼き4個、シーチキン1缶、ごはん茶碗1杯、のり、鰹節、梅干し
おやつ:棒付き飴2個
昼食:シーチキン1缶、ごはん軽く茶碗1/2杯
おやつ:シーチキン1缶、ブドウ糖
夕食:お刺身3人前、ごはん軽く茶碗1杯、ふりかけ、鰹節、焼き海苔
夜食:焼いたお肉、もしくは煮魚、もしくは目玉焼き2個
就寝前のご飯:シーチキン1缶、ごはん軽く茶碗1/2杯、ブドウ糖1個
就寝

そしてこの間に自家製経口補水液を本人が必要とする量与えます。さらにクリルオイルなどで脂質を足し、卵や肉魚でタンパク質をしっかりとらせます。シーチキンの消費量は異常ですが食べれば食べるほど元気になっていく実感があります。目玉焼きは4個のうち2個か3個は黄身を残します。

問題はここにいかにして糖を足していくかですが、現在は限りなく単糖類を与えるようにしています。

普段あまり動かない脳性麻痺の子供に2500キロカロリーくらいを毎日与えているのだから多いと思う人もいると思います。これが1000キロカロリーくらいになると発作のリスクが上がります。低緊張が強くなって具合が悪くなります。コルチゾールは2時間に1回分泌されると言われているのでこのような頻度で食事をとることは理にかなっています。

子供は水が欲しい時は「水頂戴」と言い、経口補水液を欲しい時は「ジュース頂戴」と言って指定してきます。その言葉通りに与えているときは異常はありませんでした。できるだけ自分の体の状態を子供が周囲に言葉で伝えられるように普段から躾けています。寒い、熱い、痛い、かゆい、おなかがすいた、さみしい、構ってほしい、何でもいいので自分のことを言葉で伝えられないと皆は脳性麻痺の子供も自分と同じだと誤解します。他人との差を認識していなければ後で全員が苦労をします。違いに気づくためにもできるだけ本人に教えて欲しいのです。


アンドロゲン補充時の食事量

アンドロゲン補充をする前の日の夕方から寝るまでの間にどれだけたくさんのカロリーを摂取できたかでテストステロンを安全に使えるかどうかが決まります。インシュリンが分泌されたときに耐えられる糖を確保しているかどうかが勝負所なので投薬期は特に夕方以降の炭水化物の量を増やします。

この流れがうまくいっているときは夜間や朝方の発作は起こりません。重要なのは「莫大な糖を与え続ける」ということです。なぜダメージを負った脳が糖を多く必要とするのかはわかりませんが、多く必要とするときほどアロマターゼが多くなっているのでその対策をすれば多少はリスクを抑えられます。

アロマターゼが減ればテストステロン量が安定するのでおねしょの回数も減っておむつ替えに起きる労力も減ります。アロマシンが効いてうまくいっていれば経口補水液を補給せずとも朝までぐっすりおしっこも1度もせずに寝てくれます。ただアロマターゼ阻害薬の必要量は毎日変わっていて、目に見えないのでその状況を作るのはとても難しいです。

これは親のがんばりどころです。

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