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ポン・ジュノ作品『寄生虫』とカンヌ

カンヌで最高賞を受賞した本作、日本では来年初に公開されるとのこと。私は先月、一足早く韓国で観てきました。

こりゃ快作です。

二回観ましたが、一つ一つのシーンの情報集約率が高いので、二回目の方がむしろ堪能できたかも。

ネタバレ厳禁の作品なので、あまり詳しいことは言えませんが…あれですね。ポン・ジュノ/レオン・カラックス/ミシェル・ゴンドリーが監督し、香川照之や蒼井優も出演したオムニバス映画『TOKYO!』(2008)を観た人であれば、「あっ!これは!」と思うはずです。何か繋がっています。

本作は一応家族劇です。家族全員失業状態という、あるド貧困家庭の長男が、あるきっかけで、ある富裕層家族の娘の家庭教師になるところから話が始まります。正直言うと、家族劇としては平凡かもしれません。ただ、この作品は、脚本・メタファー・空間設計が緻密に接続されており、家族関係はそれらを補強するために使われているという印象。

あと、家も重要な「プレイヤー」ですね。家族劇で長編を撮りたいと長年思っている私としては、本作は良い研究対象でした。日本で公開されたら、あと3回は観ると思います。

ちなみに、日本で家族劇というと、小津安二郎や成瀬巳喜男監督、近年では是枝裕和監督がいます。小津安二郎は世界の映画史においても、家族劇の「古典的名作ポジション」を確立しており、是枝作品の評価も少なからずそこから派生していると個人的には思っています。

かたや、ポン・ジュノの場合は、そのような、国際的にも通用するような韓国映画史の文脈に頼れない。それに、以前からカンヌの常連だった是枝監督に比べ、カンヌ参加歴も浅かったので、パルムドールを受賞したのは少し意外でもありました。

案外、ネトフリ絡みでの「政治的判断」も絡んでいたのかなと。審査委員長がイリャニトゥというのが絶妙でした。

とはいえ、本作は文句なしの快作です。ぜひご覧あれ!


#ポンジュノ #映画レビュー #家族劇 #寄生虫 #カンヌ




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