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2020年ボカロ10選


※トップ画像は、CleanTearsさんLast Forever(絵:さなかさん)からスクリーンショットをお借りしました。問題があればご指摘ください。


前回の2019年ボカロ10選から1年以上が過ぎました。

もう2021年1月も終わろうとしていますが、ようやく2020年ボカロ10選が出来たので記しておきます。遅くなった……今回選んだのは、以下の10曲。


2020年ボカロ10選(lefthorse)

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2019年度よりは少しサムネが華やかになってます。ボカロリスナーアドベントカレンダー2020で書いた推し曲と被る部分が多いのですが、頑張って新しく感想書いていきましょう。

では、以下どうぞ。


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1.スリーピングドリーマー / 音街ウナ(CHOUXさん)

2020/12/11

CHOUX(しゅー)さん、音街ウナSugar(しゅがぴ)のキラキラポップでは断トツで推せる作者さんです。「ボカコレ2020冬」をきっかけに約1年ぶりに投稿されました。またボカロ曲を作ってくださったことに感謝あるのみ。きらめく星光を放つメロディに、Konohoshiさんのウナちゃん絵がぴったり。夢を忘れてしまっても大人になったら思い出してね、と真っ直ぐな歌詞が眩しい……音街ウナ4周年コンテスト入賞曲

以前の作品「星屑フリーウェイ」「ハートビートオービット」も、ウナちゃんやキラキラポップ好きなら必聴です!


2.咲かせて☆恋の花/ f l o w e r(ワカバさん)

花ちゃんは女の子です。男の娘ではありません。
「グロウル」は、VOCALOID4に実装されているガナリ声を出すためのパラメーターです。(投稿者コメントより引用、強調は筆者)

2020/7/16

v_flowerロックを得意とするボーイッシュなイメージの女声VOCALOID。発売6周年祭を迎えて、ワカバさん家の花ちゃんにもデビューの時がやってきました……って、これは! アイドルポップソングですね。フリフリドレスを着せられて赤面する花ちゃんの困惑と吹っ切りを歌詞にしているのが、イメージソングマスター・ワカバさんらしい。これがギャップ萌えだよ。(正気か・・・?)とPVで花ちゃんからツッコミが入ってるのはご愛敬w

ミクさんのイメージソング好きなら「#Null#」「マスタリー」は外せませんね。サムネ釣りとお洒落EDMで伸びた「Convenient Singer」も、エチ耐性ある方ならオススメ。もう30万再生間近なのか……


3.稲葉曇『ラグトレイン』Vo. 歌愛ユキ(稲葉曇さん)

2020/7/16

今のボカロシーンでユキマスターと言えば稲葉曇(いなばくもり)さん。歌愛ユキちゃんは小学生という設定ながら大人びた曲にも合う哀愁含みのハスキーボイスで、その魅力を存分に引き出しています。ユキオリジナル曲、ニコ動での再生数TOP20の過半数を稲葉さんが占めているのにも納得。小気味よいリズムに乗せユキちゃんが跳ねるPV、ぬくぬくにぎりめしさんのセンスも只者ではない。ラグトレイン=各駅停車って意味なんですね。

稲葉曇さんのリズムが気に入ったら、2020年の鳴花ヒメ「カゼマチグサ」や過去のユキ曲から「浮遊月光街」「ループスピナ」などもどうぞ。


4.窓辺のモノローグ / higma feat. 初音ミク #ボカコレ (higmaさん)

2020/12/11

好きなPさんが皆に知られるのは嬉しいもの。higmaさんの躍進がこれでした。「夜とステップ」でブレイク、振り返ってみれば2020年は6曲を発表。最新作「窓辺のモノローグ」を10選にしましたが、他の作品も選びたかったなあ……

大切な人を想いながら夜を過ごす歌。3分辺りから不穏に歪む変調リフレインを挟んで元のメロに戻り、裏入りでラスサビを始める構成に惹かれます。なお原曲はVsingerであるyosumiさんへの提供曲で、紹介作はミクカバーになるのですが、VOCALOID界隈の通例で原曲作者によるボカロカバーならばボカロオリジナルと表記されています。

higmaさんのメロが気に入ったら2020年曲の「夜とステップ」「嘘と羊」の他、私が2019年10選に入れた「夜にまた」、paiさん名義時代の「Dream light」も聴いてみてほしいな。


5.夜間飛行 / ゲキヤク(藍色にしもんさん)

2020/5/3

藍色にしもんさんが紡ぐ、幻想的情緒に満ちた作品が好きです。「夜間飛行」では、宵闇に光る美しいメロディに浄化されていく心持ち……

2014年に歌い手からkokoneマスターとしてボカロデビュー。2017年以降にはUTAUマスターの比重が増していき、私が知ったのもその頃から。UTAU調声が映える作者さんです。kokone曲も好きですけどね! 個人的には、「ホオズキの灯」「さくらの記憶」が素敵で、後者は名古屋リスナー会でも紹介しました。ぜひともお聴きあれ。


6.# 霑ス諞カ / 荳サ髻ウ繧オ繝ゥ繧オ(nwnwさん)

2020/10/19

知る人ぞ知るUTAUユーザー、nwnw(にわにわ)さん。youtubeでは箱庭詭道と名乗られていますね。哀愁を綴るピアノバラードを得意とし150曲以上を投稿されています。再生数が伸びにくいのが惜しい……もっと聴かれてほしいなあ。使用音源は戯歌ラカンなどUTAU獣人、UTAU三人娘の唄音ウタ(デフォ子)・重音テト・桃音モモなど。初音ミク・結月ゆかり・GUMIのボカロ曲も少数ながらありますよ。

タイトル文字化けですが、紹介曲は「追憶 / 主音サラサ」と読めるようです。主音サラサは、シベリアンハスキーの獣人UTAU。歌詞もすべて文字化けという凝りようながら、調声が良いので聴き取りは難しくないでしょう。印象を裏切る爽やかな響きに浸ってください。

感謝を歌う「essential」や、対となる双曲「lavandula angustifolia」「lavandula stoechas」が私のお気に入り。気に入った方はぜひ巡回を。


7.馬と鹿に謝って/flower(Δさん)

2020/10/9

v_flower&FukaseマスターのΔ(でるた)さん。2019年に8曲、2020年に3曲発表。曲数が少なくはありますが2020年の「君は悪くない」「青色が怖くなったんだ」はMVも含めて心の深層を抉ってくる出色の作品です。

いずれ甲乙つけがたいのですが「馬と鹿に謝って」が個人的には頭一つ抜けて好き。不思議なメロディ構成で、ジャンル類型が思いつかない。分かる方には教えてほしい……ダンサブルでEDMやファンクっぽさを取り入れた箇所もあるようにも取れるし。

歌詞を見ていくと自閉的なニヒリズムらしく、認識の毒を自覚し囚われた誰かの独白がずっと続きます。その哲学を絶妙なバランスで仕上げているのが憎い限り。最後の「フラッタばっか綺麗な世界だろう」「フラッタ」とは旗がはためくような、薄っぺらいものが風に曝されて震えている様を表していて。つまり"人生の認識はフラッタだ"と言ってるわけ。「この歌詞も全部全部戯言だ」とエクスキューズを挟んではいますが(この自己言及も、個人的なツボで加点要素)。

他の陰翳に満ちた曲もぜひ聴いてほしい作者さんです。2019年10選に択んだ「黎明、」もオススメですよ(宣伝


8.正体不明 feat. 初音ミク(さまぐらさん)

2020/7/4

Summer Gratz(さまぐら)さんは、2020年だと「アンレプリカ」「二月の生活」のような爽やかロックチューンも推せますが、本作のようなバラードもも素晴らしい出来です。穏やかな空気の中で揺蕩うメロディに、歌詞。

「『愛』を手にした/そうだ そこで僕は人になった」

「涙の流し方も覚えた」

「君の前では確かに/人間みたいに/どきどきしてるよ」

PVも相まって、これはもう「初音ミク」じゃないですか……でも解釈を狭める気にはなれないのでイメージソングタグは付けられないな。ほんと、実際に歌詞を堪能しながら聴いてほしいとしか言うことがないんですが……初音ミク哲学勢リスナーにはぜひとも履修してほしい。

「まるで花火が弾けるみたいに/僕らは生まれ落ちて」

「翼の跡を忘れるくらいに/君を抱きしめて」

「あの空の記憶がどくどくと」

「この心の名前を何と呼べばいいだろう」

ああ、もうこれ以上は勿体ないので引用は止めておきますが……さまぐらさんの歌詞がエモすぎます……ぜひとも浸ってほしい名曲でした。


9.ガラスの傷 / 志茉理寿 feat.GUMI(志茉理寿さん)

2020/1/3

新たな推せるP、志茉理寿(しまりす)(前名義:chippy)さん。情感に訴えるバラードに弱い系リスナーゆえドンピシャでした。出会ったキッカケは、ニコTOP経由の「幻想小旅行」。GUMIの調声が文句つけようもない見事さで強く印象に残り、巡回に行きましたね。どの曲も素晴らしいですが、朗々と空間の広がりを感じさせる「ガラスの傷」を選んでみました。円熟を感じさせる「水平線を歩いて」、素敵ミクノポップ「シグレカスケード」も大好き。

直接の影響を受けたわけじゃないでしょうけど、ボカロバラードの系譜としてkeenoさんやnarryさん、そして傘村トータさんの曲想に通じて光るものがあるなあ、と……あくまで個人的な思いですけどね。


10.【初音ミク】Last Forever【オリジナル曲】(CleanTearsさん)

ずっとずっと 探してゆく永久に 奏でる二人の旋律

2020/12/4

やはりCleanTearsさんに帰ってきてしまう私の10選。信頼できる音響の奔流に瞼を閉じて全身を浸せる贅沢と言ったら。メロディだけを浴びたら、歌詞に注意を向けてもう一周。ああ、癒される……透明に調和するCTさんのメロとミクさん。タイトル通り、永遠に聴いていたい。紗幕を纏ったようなミクさんもまさしく光の天使……(はっ(正気に戻る

2020年のCTさんはもう一曲の「jellyfish」もお洒落ハウスで良いですよ。他にもオススメしたい曲だらけでねぇ……ラピス名曲「夢見る夜」に、ザ・ミクノポップと呼べる「Love it!」、爽やかな夏トランス「Eidetic image」、トロピカルハウスの傑作「Horizon」、ナナドラ衣装ミクさんのチルアウト「旅の終わり」を並べておきましょう。

波長が合う方はCTさんの巡回ぜひぜひお願いします!


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意気込んだほどボカロを聴けなかった2020年を反省して、2021年は気楽に構えながらボカロと向き合っていくつもり。

2020年には新型コロナが襲来したため仕事に影響して心身ともに摩耗した面も、選曲に少なからず響いているでしょうね。2019年10選が重量級のラインナップだったのに対し、2020年10選が癒しバラード系に傾いたのも、その経緯と無縁ではないでしょう。

さて、今年はどうなるでしょうね……?



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