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ずっと詩(うた)を 音を綴って - Redial


◇livetune feat. 初音ミク「Redial」Music Video
https://www.youtube.com/watch?v=243vPl8HdVk


2013年3月にlivetuneがリリースした初のベストアルバム「Re:Dial」に収録されたタイトルチューン。3DCGアニメは村上隆監督、振付は前田健氏(2016年に急逝)が担当しています。電脳世界を飛び回る初音ミクのCGを観ながら、kz節の華やかで繊細なエレクトロポップを堪能できる逸品。「Tell Your World」の1600万再生に次ぐ770万再生と、ニコ動からyoutubeに活動を移したlivetune代表作の一つです。

◇Re:Dial - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/Re:Dial

◇これはいい初音! livetune×村上隆のコラボPV「Redial」がステキ
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1303/22/news088.html


空を飛び回る初音ミクのMVは色々あるでしょうが、ほぼ同時期のryo(supercell)氏の「積乱雲グラフィティ」を思い出しました。あちらは明るい昼間で、こちらは夜空という違いはありますが。

◇ryo(supercell) feat. 初音ミク 『積乱雲グラフィティ』
https://www.youtube.com/watch?v=mpgvlJF9Qzg


横道に逸れましたが、Redialに話を戻して。

展開としてはC(サビ)→A→B→C(サビ)→A→B→C(サビ)→B→C(サビ)かな。最も明るいC(サビ)でスタートし、落ち着いてやや沈んだフレーズのAから徐々に明るく前を向くB、そしてC(サビ)で一気に上げる。これを何度も反復する王道です。

メロディの色調だけでなく、歌詞も同様で、停滞していた過去(A)から今の自分の立ち位置を見返す現在(B)、それらを踏まえての未来(C)への切望を歌うつくり。

当然、3DCGのMVもこれに合わせて構成されています。1番では、真っ暗な機材部屋(A)に登場するミクさん(B)、サビ(C)でダンス。2番では、瓦礫の街(A)から夕陽の景色(B)、サビ(C)で夜空を飛ぶミクさん。オーラスでは、海を泳ぐミクさん(B)→輝く球体に手を伸ばすミクさんとサビのダンス(C)に戻る、という構成。

特に2番サビの、

ずっと詩(うた)を音を綴るよ たとえ声を失っても
始まりから続いてるサステインに乗せて
君の為に 僕らの為に 浮かぶ涙拭い去って
遠くに霞んだはずの昨日が この胸震わせるから

というフレーズに乗せて、ミクさんが夜空を翔けていく解放感が素晴らしく、これはぜひ視聴してくださいというしかありません。

kzさんが仙台出身ということもあり、2番で出てくる瓦礫の街は震災後の東北を連想させるとのコメントもありました。一定の説得力がある意見とはいえ、曲全体のイメージから言っても、より普遍的で誰にもありえる過去の苦しさや後悔を象徴させている風景と思いたい所です。

初心に抱いた感情は、日々の中で失われていくように見えても、実は深い所に残り隠れていて。その在り様をサステイン――余韻のような響きとして捉え、想起し直して蘇らせるのを、リダイヤル(Redial)に喩えています。

最初に描いてた 空色のフォトグラフ
思い出して 久しぶりにダイアルに触れるよ

楽しい事ばかりではないのは承知で、なおも前へ進む気概を後押すミクさん。
創作者への優しい応援歌として受け取りました。

答えの無い迷路が 僕や君を 笑ってても
今を超えて 奏でられる 物語が導くから
ずっと詩(うた)を音を綴って 遠く刻み続けている
まだ傷は増えてくけど、その先見たいから
明日の君に 明日の僕らに
届くようにかき鳴らすの
まだ見ぬ誰かが創る調べが この胸震わせるから

livetuneがアップした動画としてニコ動では見られないものの、この作品もまた素晴らしいVOCALOIDイメージソング。オススメです。


※トップ画像は、「Redial」Music Videoからお借りしました。問題があればご指摘ください。

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