雫花火02

夏をすずしく過ごせる曲10選+α


※トップ画像は、pixivからミルサさん「雫花火」をお借りしました。問題があればご指摘ください。


前回の記事からだいぶ間が空いてしまいました。

今回、マイリスコンピさんの企画で、

夏をすずしく過ごせる曲10選:マイリスコンピ


に参加しましたので、選曲したボカロ作品等を紹介していきます。

サムネイルリストはこちら。


1.【初音ミク】 ORCA(オルカ) 【ロールシャッハ風PV・オリジナル】(小林オニキスさん)

長い夏が 終わりを告げる
セミの声も 消えてく
君はオルカ やがては遥か
遠い日になるんだろうね

2008年8月10日投稿。「サイハテ」「さよならアストロノーツ」で知られる小林オニキスさんの作品。オルカ (Orcinus orca) はシャチの学名ですが、水族館にオニキスさん自ら向かったものの良い素材が得られなかったため、PVには泣く泣くバンドウイルカを代わりに使用したとか。

水面に舞う飛沫のきらめきを表すかのようなPV、浮遊感ありながら切ないメロディが、去り行く「思春期の夏」を見事に捉えています。聴いていると、波に揺られながらどこか遠くへ運ばれていく趣きで、そうか、これが郷愁というものなんだ、とめまいを覚えるのです。


2.【オリジナル曲】雫花火【Primatic Labbit】(曲:aquascapeさん、歌:ほっちさん)

淡い恋に泳ぎ疲れ
振り返れば甘い香り
君の右手繋げなくて
ひとり“ふたり”夢みた

2010年7月10日投稿。作曲・編曲:aquascapeさん、作詞:瑞野小葉さん、歌唱:ほっちさんのコラボ作品です。夏の切なさを詰め込んだ美しいバラードで、「ひとり“ふたり”夢みた」など過ぎ去った恋を思い返す歌詞の端々が琴線に触れましたね……初音ミクver.では、トップ画像にも掲げたミルサさんの美麗なイラスト(ぜひ全画面拡大して見てほしい……)を用いたPVが似合っていて素敵だった思い出があります。

上記で紹介したほっちさん歌唱ver.は、初音ミクver.と同時投稿されていましたが、Primatic Labbitは2011年4月に活動終了、その影響なのか初音ミクver.は投稿者削除されてしまいました。その後aquascapeさん達はユニット「ever out symphonia」(Eos)として再出発し、涼やかで美しいPVは無くなったものの、2013年5月に初音ミクver.の雫花火が再投稿されています。

↑ まだ870再生台とかありえない……

夏が来て大人になるなら
それも受け止められるように
君の頬に伝うその雫を
わたしぬぐってあげたいから
夜空あふれる雫花火
今もこころが苦しくなる
それでもいい 愛する切なさも
どうかおしえて 雫花火


3.【オリジナル曲】雪原【初音ミク】(悠然さん)

凍り付いたこころ解けていく
一人だけど寂しくはないよ 
優しい温もりの中 眠る 
忘れないよ

2010年8月15日投稿。作者の悠然さんはトランス中心にEDM系の作曲が得意で、最近ではDJとしても各地で活躍しておられます。今回取り上げたこちらの初投稿作は、冬曲なのになぜか夏真っ盛りの8月投稿なので、テーマにも沿うのではと紹介に入れてみました。

「雪原」は疾走感あふれる楽曲ですが、ドラムンベース・トランス・ユーロの要素が複合しています。中盤から加速を重ねるメロディは、まさに雪原を滑走するようで心地よく、清涼感を残して駆けていく名曲です。


4.【初音ミク】群青の猫と始まりの夏【オリジナル】(まももPさん)

僕ら過ごした夏があったよ。
変わらずに続いて行くのだと。
陽炎のような。
遠い夏空、追いかけ、笑い。
あの日交わしたその約束を、
僕ら探し歩くんだ。

2011年6月30日投稿。まももPさんの、ピアノバラード。美しいピアノの調べに、ミクさんの空に溶けるような声。夏風が耳をくすぐっていく感触すら覚えるような名曲。静かにサビに入っていくのに、ぐぅっと気持ちが動かされる……ほんと、まももPさんはバラードの名手です。どの作品も素晴らしい。文句なく巡回推奨です。

後に、2013年6月、nayutaさん歌唱でNNI作品としても投稿されています。興味がある方はアレンジを聴き比べてみてください。


5.【雪歌ユフ】流れ -flusso-【オリジナル曲】(曲:ふぅちゃんさん、詞:らぃちゃんさん)

突然の雨 激しくうつ 
いつも どおり すぐに あがる空 綺麗な 虹 
恵みの川 泳ぐ蛙
見送る 赤い 夕陽 沈んでく 明日も また晴れるね

2011年8月9日投稿。「m.u.」を代表作とする、ふぅちゃん・らぃちゃんコンビの作品。ききいるUTAで、水が豊かな田舎の夏模様を活写しています。背後から木琴などの打楽器が鳴るさまが水面を跳ねる飛沫のように響き、ファンタジックで繊細なメロディを支えています。ユフさんのウィスパーボイスも、涼やかな印象を強めていますね。

絵師のhozumyさんも加えた、ユニット「CUBYPOP」のミニアルバム「ciclo dell'acqua」収録曲。


6.【初音ミク】Acoustic Summer【オリジナル】(Wonderlandicaさん)

未知の向こう 煌めく逃げ水 
急いでた理由がふと役目を終える 
アコースティックサマー 高い空に巨大な雲の船
何故だろう ただいまを言いたくなる

2012年8月6日投稿。作者のWonderlandicaさんは、トロニカ・ビエント系を中心に作曲されているようです。紹介したこちらは、物憂げで気怠い夏の午後を思わせる、穏やかな空気の動きを捉えたようなミクビエント。usiさんの絵で、ミクさんが着ている衣装はアース ミュージック&エコロジーとのコラボ商品ですとか。

なお、私はWonderlandicaさんをもともと知っていたわけではなく、「トロニカ・ビエント+夏」で検索して見つけました。マイリスコンピ企画には、こうして新たな作者さんと出会えるような、嬉しい発見が毎回あります。


7.【蒼姫ラピス】ラムネビーダマ【オリジナル】(ももももさん)

シュワシュワ弾ける
ラムネのような恋は思い出
胸を締め付ける
夏めく心のビーダマを
海へ投げ捨てて

2013年8月27日投稿。爽やかに緩急を利かせたギターロックに、甘酸っぱく切ない歌詞を乗せた、ももももさんの作品。蒼姫ラピス代表曲の一つと言っても過言ではありません。解説するのも野暮ですが、炭酸の泡は儚く消える夏の恋もよう、ラムネに沈んだビー玉は恋心そのものの喩え。

ももももさんも、寡作ではありますが巡回推奨の作者さんですよ。


8.【初音ミク】Covenant / Bernis(Bernisさん)

夢か現か遠浅の海辺 
微睡みの中で君の手をとった 
夜は孤独の波にさらわれて
溺れるように眠りに沈む

2014年12月12日投稿。Bernisさんのミクバラード。この曲も何度か紹介してきた気がします。浜辺に打ち寄せる波の音と、飛び交うカモメの鳴き声から始まる今作は、ありきたりな夏の恋を歌った一作かと思いきや……

星の世界を旅する君を 
わたしの時間は待ってはくれない

壮大なスケールへと拡大していくのです。

宇宙へと旅立った「君」を、悠久の海辺で待つ「わたし」は、ウラシマ効果がもたらす時間のずれにより、「君」よりも遥かに永い時間を体験することになります。それだけ永い年月を耐えられる「わたし」は、人間というよりアンドロイド・AIに近い存在なのでしょう。

また会える日までわたしはここで  
ずっとずっと君を待ち焦がれるの 
約束の日までこの惑星で 
ずっとずっと君を待ち続けよう

どこか愁いを帯びた眼のミクさんは、「君」を、つまり聴き手であるあなたを、「約束の日まで」待ち続けているのです。

タイトルの「covenant」は、契約・誓約という意味。

これぞBernis節、宇宙派の真骨頂と言えるでしょう。


9.初音ミクと雪歌ユフによる『夏草が消えてゆく』【オリジナル曲】(ImaginaryDanceさん)

あの日の 夏草が消えてゆく 夢のよう 
君は色づいた 景色の中 歩く 
もしも 空色に染めて あげられるなら
せめて 君が消えてしまわない ように 祈るだけ

2017年8月31日投稿。ImaginaryDanceさんの2作目、初音ミク2017誕生祭作品。初投稿の「初雪イマジナリウム」から1年以上を経ての、ミクさん10周年を祝う力作です。投稿日時も、2017/08/31 03:09とこだわりを見せてますね。星空が瞬くようなきらめくシンセサウンドを、ゆっくりと紡いでいくテクノ・トロニカ。そこに初音ミク・雪歌ユフのユニット「初雪」がささやく声を溶けこませた、天上の妙なる調べ。夏の夜の奥深く、その果てまで届きそう、などと聴覚が拡張されていく錯覚すら覚えます。

ImaginaryDanceさんは、まだ4作品のみと寡作ですが、いずれも劣らぬ名作揃い。EDM好きなら巡回必須です。

ImaginaryDanceさんの最新作は、初音ミク「マジカルミライ2019」楽曲コンテスト 準グランプリ作品。2019年7月1日投稿。


10.【初音ミク】Horizon【オリジナル曲】(Clean Tearsさん)

描いた水平線の まだ途中だけど 空は近いはず 
まだ見たことのない 僕の世界を この手で開いて
僕らは風を掴んで 帆をなびかせて 先へと進もう
知らないことばかりの 僕の世界を この手で開いて

2018年7月28日投稿。EDMの名手、Clean Tearsさんは、2007年9月デビューの古参Pさん。今では60曲以上になるボカロ作品を投稿されているベテランで、間違いなくボカロのEDMシーンを牽引してきた立役者の一人。得意はミクトランスですが、引出しは数多く、様々なジャンルで発表されています。

この曲も何度か紹介してきました。ミクさんの声が心地よい、爽やかなトロピカルハウス。麦藁帽子に白ワンピースのミクさんサムネと素晴らしく調和しています。夏の陽光と海風がこちらまで伝わってきそうな音作りにうっとり。CTさんのアルバム『Breeze』には、アルバムオンリーのHorizon (Breeze Remix) (feat. 初音ミク)も収録されており、そちらもオススメですよ!


さて、夏を涼しく過ごすための10曲を紹介してきました。

ORCA、Covenant、Horizonあたりは、パっと思いついて絶対入れようと思ったんですが、その他は結構悩みましたね。結局、三連休を使い切ってしまいました。他の方の #夏をすずしく過ごせる曲10選 も見て回りたいものです。

あえて冬曲を入れたり、くらげ曲で固めたり、ホラー系で統一したりと、いろいろ工夫もされているようです。また、マイリスコンピさんからは #夏をアツく過ごせる曲10選 という別のタグもあり、まだまだ夏に考える10選は尽きません。いろいろ発想を飛ばしていきましょう!




<オマケの+α>

ハマじさんに指摘されたので。

ろくろPさんによる、雪歌ユフの暴走シリーズを貼っておきますね。

各動画の長さは2分程度なので、お暇な方はぜひw

曲は、samfreeさんの「Euthanasia」です。

謎の数字の意味が分からない人は、下記リンク先へどうぞ。


【MMD】241543903-雪歌ユフの暴走

【MMD】241543903-雪歌ユフの飛翔

【MMD】241543903-雪歌ユフの安息

【MMD】241543903-雪歌ユフの復活


さらにオマケで、冷蔵庫に頭を突っ込むIAさんも置いときます。

【IA】Euthanasia【カバー】(カバー:ぱらぱらミクPさん)


それではまたお会いする日まで。

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