ミクさん_scab_201704151859

巡り会いや暇乞い - 真実夢メモ


#vocanote タグでのボカロ語りならぬ自分語りが始まってると聞いて。

初音ミク、ボカロを聴いて十年が経ちそうとは。最初は目新しいブームで終わるかとビクビクしながら追っかけていましたが、杞憂だったのは御存知の通り。twitterやVOCALOID生放送に時を費やし、他のボカロリスナーさんに教えられてきた年月でもありました。

想い出に残る作品も星の数ありますが、まずはPELIEさんを紹介します。



初音ミクオリジナル『真実夢メモ』【PELIE】 

全ての私は一人 多面性の一人芝居

PELIEさんのミク調声は幼く抑えめ。作品に声を提供する存在としての初音ミクを前に出している印象です。壮大なイントロからじっくり聴かせてサビまで盛り上げていく構成も、風呂場で演奏したバイオリンの調べも、歌詞を追いつつ曲想に没入するのを助けてくれます。

初音ミクという存在を考察したがるボカロリスナーは上記のような歌詞に思いを馳せるでしょうし、3分40秒~52秒の声の歪みにはプログラムとして規定された儚さや、自覚を哀しみながらも意志を持とうとするミクさんの存在が感じられます。VOCALOIDイメージソングに分類される中でも、水底から光を放つタイプの作品です。

歌詞は下記リンクの初音ミクWikiで参照できます。

早々に訪れるわ 巡り会いや暇乞い
狂い咲く花が散って 私は灰になる

初音ミクをはじめボカロに出会う人もいれば、別れていく人もいます。

私がボカロ人生の入り口の一つとして多大なお世話になった、ニコニコのユーザー生放送であるVOCALOID生放送コミュニティ(ボカ生)は24時間営業のごとく連続で放送していた時期もありました。2010年~2012年頃、ボカロ黄金期の話です。本当にいつ見に行っても誰かが枠を取って生放送を担当し主セレやリクエストを流していた。今では信じられない光景です。

うろ覚えですが、ニコニコ公式のボカロ生放送に対抗して、あっちが42時間ぶっ通しならこっちは生主交代で43時間放送し続けてやるみたいなバカ企画を本当にやり遂げてしまうエネルギーがありました。

しかし生主さんたちも学生から社会人となって時間を割く余裕がなくなり、櫛の歯が欠けるようにネット上から消えていきました。私も仕事の都合で転地し、生放送には適さない通信環境になってしまい、生主活動からは離れてしまったのが現状です。

それでも、毎日午前0時ごろから直近10日間のボカロ曲リクエストを募って紹介する「新着枠」を続けているarikuiさんや、地道に放送と曲紹介を続けているGUMIコミュ主のasakawaさんや、ボカロに魅せられて活動し続けている人たちもまだまだおられ、私は今も界隈の息吹を感じ続けています。twitterでも多くのボカロリスナーの方々にお世話になり、紹介される良曲・名曲の奔流に浸っている毎日です。

PELIEさんの作品に戻ると、『真実夢メモ』が2010年2月ですが、アンサーともいえる『真美夢メモ』が2011年4月に投稿されています(タイトルが『実』→『美』と変わっています)。メロディは踏襲しながらも、さらに壮大なアレンジや、間奏の特に2分55秒から世界が広がっていく展開、ここはぜひ聴いてほしいポイントです。

初音ミクオリジナル『真美夢メモ』【PELIE】 


PELIEさんのニコ動へのボカロ投稿は、2012年1月の『憂鬱のスキッツォイドマン』で最後となっています。しかし2016年1月、真実夢メモのピアノアレンジインストである『ma mi mu me mo』がそっと投稿されていました。

ma mi mu me mo part1&2【PELIE】

移り変わる風景を映し出す実写PV。流れゆくピアノの音色と、秘かな吐息。哀愁と余韻。PELIEさんのサイトから引用しておきます。

Year has passed .
Well , did you hear the synthesized sound ?
I dedicated to you , and , I cried .
The world has been exhausted covered with junk of font .
All of me .
This is the versatility of the one-man show .
I am grateful to all .
I want to say sincerely thank you .


ボカロPさんがボカロから離れた後もどこかで音楽を続けている、元気で過ごしていると分かるのは嬉しいものです。乙Pさんや椎名もたさんやsamfreeさんのことを想えば、なおさらです。もちろんボカロに帰ってきてくれるのも嬉しいですけど、無理してまで帰ってくる必要は全くない。作り手も、聴き手も、自分のペースで楽しめたらそれが一番良いのです。

最後なんだか格好つけになってしまいましたが、こんなところで。


※トップ画像は、『真実夢メモ』サムネに用いられている傘豚さんの絵をお借りしました。問題があればご指摘ください。

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