エミリアのフィギュア、結局どれがいいのか

先日Re:ゼロから始める異世界生活のエミリアの1/8スケールフィギュアが満を持してアルファオメガから発売したものの「デコマスから劣化した」「顔に違和感」と評され、アルファオメガブランドの高い期待値に対して評価は今ひとつな感じになった。

エミリアの所謂デフォルト服のフィギュアはこれまでコトブキヤ版、グッドスマイルカンパニー(以下GSC)版と出た。コトブキヤ版は最初に出たのが数年前だが先日再販が告知され、現在は受注可能。GSC版は出たのがアルファオメガ版発売前という事もありあまりネット上では反応が見られなかった。アルファオメガ版はデコマス段階で決定版になると目されていたものの、蓋を開ければ冒頭の通り。結果的にGSC版が一番良かったといった声も見るが実際のところはどうなんだろうということでうっかり3種とも買ってしまった自分が思いつきで比較レビューをしてみる。

基本的方針として非稼動スケールフィギュアのみが対象、稼動フィギュアや一番くじ・ゲーセンプライズといった大量生産用のクオリティのものはレビュー対象に想定していない。後今回は3種のみ挙げるが実際には後何種か出てる。レムがおかしいだけでこんだけフィギュア出てるなら十分人気ヒロインだよねこの子。

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3メーカー3様でスケールはGSC版のみ1/7スケール、他は1/8スケールとなっている。まぁでもどれもかわいいよね。

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全体については立ちのポーズに近いアルファオメガ版、ちょっと屈んだポーズになっているGSC版、座っているポーズのコトブキヤ版とどれもポーズが違うので好みのポーズで選ぶのもアリだろう。

1/7スケールフィギュアは躍動感のあるポーズを取らせた方がスケールのダイナミックさを活かせるし、1/8スケールは動きの少ないポーズに情報をまとめやすい(後取る場所も少ない)と双方の良さがある。

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アルファオメガ版の一番の違和感と言われた顔の造形について。上図の赤線を見ると分かりやすいのだが、アルファオメガ版はほぼ額のラインに沿って前髪が造形されているのに対し、GSC版は大きく前髪を膨らませたような造形、コトブキヤ版は両者の中間といった造形になっている。コトブキヤ版だけ左右反転してるのは撮影するとき向きを揃えるのを忘れた。

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原作イラストのイメージにかなり寄せているアルファオメガ版は顔を正面に捉えるとやや目の離れ方が気になる角度依存が強いフィギュアになっている。丁度斜め前くらいがベスト角度になるような目の配置。しかしこの角度にすると前髪の厚みが無いことで全体的にのっぺりとした印象を持つ原因になっている。しかも透明感を演出するためのクリア地が仇となる形で更に厚みが減って見えてしまう。この顔造形の手落ちがアルファオメガ版の評価を「悪くないんだけどうーん」といった感じにさせた最大の要因と言ってもいい。

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ただ、クリア地の髪は照明の影響が大きい。上図のように照明を当てると光が通りやすいクリア地は全体の厚みが増えて見える。角度+照明の条件が限定されはするものの結構化けるタイプだとは思う。それでももう少し厚みが欲しかったというのも本音ではあるが。

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クリア地の髪の毛の光を当てた時の効果は逆光だとわかりやすい。この透明感の演出はクリア地ならではのもの。

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服の塗装面についてもアルファオメガ版は随所を青に寄せた紫にする事で色彩を演出しているのに対し、他2社のものは紫の濃薄のみで表現している。スカートから胸部にかけての造形自体は大きな差は無い。

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袖布の鳥の模様については各社でかなり違いがありGSC版は脚部を省略し羽も末端が3枚とデザインが簡略化されている。これはアニメ版の設定画のバージョンで商品上は小説短編集の表紙が基とあるので原作画で再現されてないとならないハズだが、実際の物はポーズが小説表紙でアレンジがアニメ版(顔の造形もアニメ版に近い)というブレンド種である。コトブキヤ版は原作画のパターンを採用しているが、布の紫と白の部分の境目にある縫い目や随所のディティール等が一番正確なのはアルファオメガ版。

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更には腰部の布。アニメ版においても原作画においてもこの部分の正しい色設定は「白地に紫のライン」であり、GSC版の紫地に紫ラインは誤り。演出上のアレンジと考えられなくもないが、そもそもこの部分が見える角度自体が限定されている。

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袖布が特に顕著だが単に白地一色なわけではなく皺造形の他に紫のシャドーを吹くことで起伏を上手く演出している。これはアルファオメガ版、GSC版、コトブキヤ版のどれも行っているがその精度が一番高いのはアルファオメガ版。

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GSC版に限った欠点として最初に挙げた前髪の起伏を大きくした造形により、目の部分の陰影が非常に目立ちやすい。サンプル写真などは照明でこういった陰影をできないように調整をするのでわかりにくいが、実物を見ると出てくる事だったりする。天井光のみで飾るような場合は光源が上のみになるので右のように目の陰影がかなり目立つようになる。

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照明による調整を含めて見ると総合で一番顔造形がかわいいと言えるのはGSC版。アルファオメガ版は全身細部の出来については最も元画や設定画に忠実だが顔については照明や角度等の要素が大きい。コトブキヤ版は良くも悪くも無難なのとポーズの関係上非常に小さく見える。

価格で言えばアルファオメガ版>GSC版>コトブキヤ版といったところ。但しGSC版に関しては若干プレ値化の兆しがある。

個人的には顔の出来を加味してもトータルではアルファオメガ版に軍配が上がる。特にGSC版の鳥模様の簡略化は1/7スケールということもあって並べると目立つ。顔の出来についてはGSC版が一番。コスパならコトブキヤ版といったところ。

最後に一点、スカートのデフォルトキャストオフはアルファオメガ版のみ不可という人によっては最重要にもどうでもいい情報にもなる事を告げて今回は〆。