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#543 「岡地事件」東京地裁(再々掲)

2021年8月4日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第543号で取り上げた労働判例を紹介します。


■ 【岡地(以下、O社)事件・東京地裁判決】(2020年1月15日)

▽ <主な争点>
商品先物取引の歩合登録外務員との契約が「労働契約」に当たるかなど

1.事件の概要は?

本件は、商品先物取引等を業とするO社の外務員であったXが同社に対し、雇用契約または不当利得に基づき、外務員であった期間中に積み立てた身元保証金188万9433円およびこれに対する遅延損害金の支払を求めたもの。

2.前提事実および事件の経過は?

<O社およびXについて>

★ O社は、商品等の国内、国外における先物取引等を目的とする会社である。

★ Xは、平成17年4月、O社との間で「登録外務員雇用契約書」と題する書面をもって契約(以下「本件契約」という)を締結し、23年3月31日まで商品先物取引法所定の「外務員」として勤務した者である。

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<O社の就業規則の定め、Xの勤務状況、身元保証金等について>

★ O社の就業規則1条1項は「この就業規則は、従業員のうち、正社員の就業に関する基本的事項を定めることを目的とする」と規定するなど、同社の就業規則、給与規程および退職金規程は社員外務員には適用されるが、登録外務員には適用されないことを前提とした規定となっていた。

★ XはO社の担当者から売上を上げるべきである旨の発言を受けることはあったが、個別具体的な営業方法について指示を受けることは少なく、営業活動の大部分はXの裁量に基づき行われていた。

★ 本件契約上、登録外務員が取り扱った委託者に関し未収入金が発生し、それが完済されない場合には、当該外務員が委託者に代わって残額を弁済しなければならないものとされていた。また、登録外務員は身元保証金として毎月の報酬の支給総額のうち10%を積み立てることとされており、これを上記未収入金に充当することとされていた。

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