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#151 「コンピュータ印刷事件」東京地裁(再掲)

2006年9月6日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第151号で取り上げた労働判例を紹介します。


■ 参考条文

★ 労働基準法 第24条(賃金の支払)

賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。ただし、法令若しくは労働協約に別段の定めがある場合又は厚生労働省令で定める賃金について確実な支払の方法で厚生労働省令で定めるものによる場合においては、通貨以外のもので支払い、また、法令に別段の定めがある場合又は当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる。

 (略)

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■ 【コンピュータ印刷(以下、C社)事件・東京地裁判決】(2002年9月30日)

▽ <主な争点>
社宅使用料自己負担額の一方的な増額

1.事件の概要は?

本件は、C社の従業員であるXが同社に対し、社宅使用料のX負担分として月額1万7000円を上回る金額を毎月の給与から控除することは違法であるとして、1ヵ月当たり1万7000円を超えた社宅使用料負担債務は存在しないことの確認と、債務不履行に基づく損害賠償請求金として月額1万3500円の割合による平成13年4月以降の超過差額分相当の損害金およびこれに対する遅延損害金の支払いを求めたもの。

2.前提事実および事件の経過は?

<C社およびX等について>

★ C社は製版、印刷等を目的とする会社である。

★ Xは中華人民共和国国籍を有する1966年生まれの男性であり、平成9年12月頃からC社においてアルバイトとして勤務を開始し、翌10年4月から正社員(一般職)として勤務することとなり、入社後は営業一部で業務に従事している。

▼ C社はXおよびその妻を居住させる目的で、10年3月、T社から「家賃7万円、期間2年」の約定で、Uマンション302号室(以下「本件居宅」という)を貸借し(以下「本件賃貸借契約」という)、Xおよびその妻は同室に入居した。

★ 本件賃貸借契約は、本件口頭弁論終結日である14年9月9日までに2度更新されている。

★ Xは入社時まではC社の借上社宅規程(以下「社宅規程」という)を見たことはなく、入社後にその存在を知ったが、記載内容までは知らなかった。

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<C社によるXの「家賃」名目控除の取扱いの変遷>

▼ C社は10年4月から12年3月までは、Xの給与から本件居宅の「家賃」名目で毎月1万6000円を控除するとともに、本件居宅の賃料との差額分(毎月5万4000円)を自ら負担し、合計月額7万円をT社に支払っていた。

▼ C社は12年4月から、Xは社宅規程の適用対象ではないとして、本人に個別説明をしないまま、Xの給与から本件居宅の「家賃」名目で3万500円を控除し始めた(以下「本件控除額変更」という)。

▼ これに対し、Xが抗議したところ、C社は13年4月、給与支払いの際に、12年4月から13年3月分の控除分のうち、毎月あたり1万3500円、合計16万2000円を返還した。

▼ Xは自らに社宅規程の適用があるという前提で、社宅規程のとおりにすること(12年4月以降に月額を1万7000円に変更すること)は了承するが、それ以上の増額は拒むことをC社に回答した。しかし、C社は13年4月以降、Xの給与から本件居宅の「家賃」名目で毎月3万500円を控除している。

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<社宅規程について>

★ C社の社宅規程には、以下のような定めがある。

従業員が本社、支店、営業所に転勤し、会社が認めた場合は、他人の保有する家屋を会社が借家し、社宅として居住させる。

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