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【音楽ジャンル】中南米の現行Post-Punk/Darkwave/Sovietwave

日本からだと中南米にNew Wave/Post-Punkがどれだけ人気があるのかイメージが湧きにくいのですが、The CureやDepeche Modeは2000年代以降も人気が衰えずスタジアム級の会場で南米ツアーを組み、ベラルーシのMolchat Domaも各地のライブでかなり熱い反応を貰っていました。
日本国内に取り扱うショップも少なくメタル、ハードコアパンク、ダンスミュージックに比べると積極的に探らないと情報が入って来ないのですが、欧米のトレンドに対応したスマートな音から、それぞれの土地の香りが滲んだ音まで色々紹介しています。
バンド系だとヨーロッパの同ジャンルの人より演奏レベルが高い印象があります。


メキシコ

Prismatic Shapes - De Sigilos y Decretos

Darkwaveのトレンドに乗ってるというよりNew Waveオタク感があるのが良い。
特にこの曲は色々JAPANぽい。故に日本のNWの系譜のバンドぽさもある。
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Neue Strassen - Trinchera

Minimal Synth/protoEBM系の二人組。
軽くてテンポが早めの曲が特徴。
トレンドとはあまり関係なく好きなとこをやってる感じがいいです。
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Werner Karloff - Information

上記のNeue Strassenのシンセとボーカル担当の人はソロでも音源出しまくっていてドイツのレーベルYoung And ColdからLPも出しています。
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Frío y Vacío - La noche desafía

ギターとボーカルを担当する中心メンバーのAngel Kauffはソロ名義でStockhaussenで活動していて、さらにジョージア人の女性ボーカリストとIsotropíaというデュオで活動するメキシコのDarkwave界を代表する才人。
Frío y Vacíoで活動していた時期は短いけどこれぞゴスといった音でかっこいいですね。
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Telephone Exchange - Machine Learning

2018年の活動初期のリリースの曲で11分と長尺。US/UKのIndie Rockのトレンドも踏まえつつどの曲もシャープでクオリティが高い。
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La Texana - Siempre me cuesta regresar

本人は出てないけどドラマ調のMV。メキシコの郊外の風景が良いですね。
2022年に初のアルバムサイズの音源を出してたけどその時点で19才。才能がある人です。Bedroom Post-Punk/Indie Rockといった趣きであまり暗く沈まず切なさがある曲調。
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Monotonous Cities - Monotonous City

たぶんバンドじゃなくてソロプロジェクト。一番新しい曲で2019年のリリースなので2023年現在は、どれくらいの活動をしてるかわからないけどシャキッと冷たいPost-Punk/Coldwaveで良いです。
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Rey Rata - Malditos Poseídos

見た目のクドさで言えば今回の記事で一番のDarkwave系のデュオ。音は程よくペラペラしててそれが良い個性になってます。初リリースは2022年だけど結構ハイペースに曲を出している。
プレイリストを見るとSoviet Wave系のバンドを沢山入れてるけど、そっちの音とAlien Sex Fiendみたいなエレクトロなゴスの要素が合わさってるって感じですね。
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Leonora Post Punk - El Man Más Feliz (Lyric Video)

思い切った名前のDark Post-Punk系の人達。
2020年に出したEternosがバズっていきなり有名になる。
このYouTubeの曲は次のアルバムのリードトラックかな?徐々に曲調の幅が出てきてますね。
こちらはLIVE動画
直球でゴスな見た目が良いです。
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Sonidos Rotos En Primavera - Sonidos Rotos En Primavera

shoegazer要素のあるPost-Punk。たぶん3人くらいのバンド編成なのかな。
初音源は2022年末。まだ活動歴は浅いけど曲はコンスタントに出していて、その中でもこの曲が透明感があり一番良いと思います。あとはもう少し歌をしっかり唄ってくれたらありがたい。
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Equinoxious - Lóbulo Interior (live)

メキシコシティーを代表するシンセオタク
2018年のアルバムはドイツのMinimal Synth系の総本山KernkrachのサブレーベルのHertz-Schrittmacherから出していて、以降のアルバムは大手ゴス系レーベルのYoung And Coldから出してる。
あと女性ボーカルのシンセポップのGris Futuroなど色々やってるみたいです。
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CAPITALS - Satelite (By José Yulian)

Post-Punk/Coldwave系のデュオ。隙間と陰りのある音。
SpotifyのプレイリストにThe Sound,Pink Turns Blue,The Chameleonsなどを入れてますね。
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Umbral - La Herida

Death Rock/Dark Punkバンドの2020年の音源。
パンキッシュな疾走感のある音。
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MORNARD - VITUPERAR (KILLING YOU)

今のDarkwaveというよりはGothic Punkなバンド。音源は配信のみで聴ける。
Spotify  Apple Music

Dance Skeleton - POSSESSIONS

こちらもDark Punk系のバンドでHorror Punkというキーワードも使ってるだけあってパンク色強め。
熱気が伝わるようなスタジオ演奏動画。
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Cruz de Navajas - Live at The Echoplex

2016年〜19年まで活動していたGothic Punkバンドのライブ動画。LPは日本でもパンク/ハードコア系のショップで紹介されていた。
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Thou Art Death - Umami

旨味?
オルタナ系のバンド。ジャキっとしたギターにNo Wave/Post-Punk感もあり。
今のところ配信のみで聴ける。
Spotify

コロンビア

Píldora Letal - Presagio

このライブ動画は演奏メンバーがいますが基本的には一人でやってると思う。
使ってるイメージはモロにゴス(もしくはホラーテイスト)ですが曲調はテンポ速めで軽妙な感じが特徴。
ちゃんとMVを作る人なので公式YouTubeチャンネルも観てみてください。
YouTube  Bandcamp

Secretismo - Violento, violento

メランコリックなメロディが特徴の女性ミュージシャンのソロ名義でSOMBRASSADKÓのメンバーでもある。
これらの音源を出したTres incendios recordsの主宰の一人でもあるそうです。
ちなみにソビエトロックのレジェンドКиноの曲のスペイン語カバーも出しています。

OKVLTA - Nocturna

四人編成のDeathrock/Dark Punkバンド。
ステージの立ち姿もカッコいいのですが画質の良いライブ動画が無いな。
Bandcamp  Instagram

Memorabilia - Una Casa No Es un Hogar

疾走感のあるDark Post-Punk系のバンド。
ロシアのPost-Punkからの影響も感じるけどこちらの方が演奏が滑らか。
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Tan Lejos - Nada en las ruinas tiene nombre

三人編成のDeathrock/Dark Punkバンド。
その中でもパンク寄りのノイジーな音。
OKVLTAと同じくコロンビアのDark Punk系のレーベルDiscos Marañaからカセットをリリース。このレーベルはリリースペースは早くはないけど良いバンド/アーティストが多い。
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BRUMA - Condenadxs

このバンドもDiscos Marañaからカセットを出したばかりのDark Punk系のバンド。キーボードも使っててNew Wave的な色もある。
盛り上がってるお客も映ってるライブ動画って良いですね。
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グアテマラ

Guerra Fría - Donde Solíamos Bailar

Sovietwave系の影響が濃いけど演奏のレベルが高くギターが上手いのが効いてる。
ハイハットを細かく刻むテンポの速い曲が多いけど、ミッドテンポの曲もなかなか良いです。
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コスタリカ

Mavroskeleto - Harm

ダークなMinimal Synth系の人で2020年作のこの曲が切ない曲調でなかなか良かったです。
最近の音源だと、もうちょっとオカルト的なムードに寄せている。
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Angustia Espiritual - Dagas

Death Rock/Dark Punk系のバンドの2022年の音源から。
影響を受けたバンドにX-Mal Deutschland, Christian Death, Paralisis Permanente, The Crampsを挙げている。
バンドのInstagramから。Tシャツのチョイスがオシャレ。
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ペルー

Varsovia - Pertenecemos a la muerte

人気のあるMinimal Synth系バンドの2014年のアルバムから。
ペルーの首都リマのレーベルBuh RecordsからLPで再発されている。
2022年にはこのレーベルからセカンドアルバムを出していてこちらもクオリティが高い。
このレーベルは実験音楽系のリリースでも有名。

Mundaka - Desaparecer

この記事はゴス要素のあるバンドが多いのですが、こちらのバンドは違ってポストパンクからネオアコに向かった方面の清涼感があります。
よく見るとMorrissey 2012という曲名の短いとインスト曲があるけどThe Smithsと関係あるかはわからない。
CUREのロバート・スミスがTwitterのフォロワーに首都リマの地元のバンドの事を訊いたツイートで沢山名前が挙がっていて知りました。
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ボリビア

Retrovisor - Personas invisibles

ボリビアにだってゴスはいる。
音的にはEBM一歩手前の硬めのNew Wave Disco/Darkwaveといった感じです。
裸でウロウロしてる南米秘境感のある初期のMVは観れなくなっちゃったな。
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プエルトリコ

Lust Era - Baila Conmigo

米国のフロリダを拠点にしていますが主要メンバーのデヴィッド・アラヤは出身はプエルトリコらしいです。
ビートはしっかりしてますがロマンティックな曲調で人気があります。
Bandcampで大量の音源のリリースをしています。 
Bandcamp

アルゼンチン

HARVASSIAN - SOLO

最近のDarkwaveと80年代型のゴシックパンク的な曲調を行き来する音楽性が特徴。
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Mueran Humanos | Hospital Lullabies (Full Movie)  

動画は2019年の3枚目のアルバム丸ごとメンバー自らイメージ映像をつけたもの。
現在はベルリンを拠点にしていますが元々はアルゼンチンのブエノスアイレスの人達。
Post-PunkとNoise IndustrialとMinimal Synthの中間地帯みたい音でいいですね。
最初のアルバムは老舗ノイズ系レーベルのOld Europa Cafeから。
一番好きな曲は2ndアルバム収録の長尺でクラウトロック感のあるEl Circuloという曲です。
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Las Eras - Subte

この自宅スタジオの動画好きです。
シンセ成分高めのDarkwaveの三人組。2019年の初音源の頃から芸風が固まってて、人気もある人達だと思います。
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Sakatumba - Chica Gotika

ロマンティックな色のあるAlternative Rockバンド。
ニューウェイヴからオルタナやブリットポップの時代に入っていく手前の時代の感じがありますね。
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チリ

Dalias - Sombras

Dark Post-Punkバンド
トレンドのDarkwave風ではなくて曲によってはデスロック的だったりちゃんとゴシックパンクをやろうとしてる感じが伝わる。
この動画はMisfitsのカバー。
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Diavol Strâin - Éter

2015年から活動するDarkwave/Gothic Rock二人組。
2021年でセルフリリースしたCDアルバムはゴス系大手レーベルのYoung And ColdからLPで再発売されている。
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Ángel de la Guarda - Crimen

シンセ成分多めのColdwave系の二人組。
Bandcamp


Vodoo rage -  FATED

Darkwave/Witch House系のデュオ。
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Arachnida - Convicted Endlessly

音はDarkwaveというかゴス系のEBM。
日本のマリスミゼルとかVELVET EDENぽい。見た目だけじゃなくて曲調も。
昔、新宿にあったゴス/インダストリアルコーナーもあるGOLDという輸入CD屋さんを思い出しました。
アルバムタイトルのThird World Gothという言葉はUK/EU/US以外にもゴスはいるんだぞという主張が感じられて良いですね。
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RADIO SINIESTRA - El Cuerpo está Dormido

メンバー全員女性のDark Punk/Punk/Post-Punkバンド。
ささくれた音がいいですね。
このスタジオ?ライブ映像も好きです。
Bandcamp(label)


ブラジル

Pink Opake - Ilha Urbana

Anvil FXという活動歴の長いNew Wave系バンドのメンバー二人の別名義。ざっくりジャンル分けするとSynthwave系になるけど引き合いに出してる名前がMercenarias, Kitchen and Plastic Spoons, November Növelet, Peine Perdue, Malaria! とダークなPost-Punkや灰汁の強いシンセが特長的なバンドばかり。
↑のこの曲は80年代のブラジルで活動していたパンクバンドのMuzakのカバー
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Rasha - Máquinas

この曲は2022年の1stアルバムから。
メロディに透明感もある女性ボーカルのSynth Pop/Darkwave
2020年の初音源の頃は今より少しDarkwaveの定型に沿った曲調でしたが、曲調も広がって良い感じです。
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Pontagulha - Tarde Demais

影響を受けたバンドにDepeche Modeなど80年代のNew Waveの中でもメロディの美しさに定評のある人達の名前が多く並んでいますが、このバンドは、全体的なクオリティも高くて切ないメロディを作るのが上手いですね。
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1983 - Escrevia Silêncios

ドラムはリズムマシーンのPost-Punkバンド。この曲が特に良いですね。
Asylum PartyのTシャツで俺らのルーツはここやでと表現。
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Jovens Ateus - quien eres

直接影響があるかどうかは分からないけどSoviet wave的な音作りのバンド。
たぶん配信のみで聴ける。
Spotify

Innenstadtfront - Terra em transe

リズムマシーンを使ったPunk/Dark Punk
ベルリンが拠点ですがメンバーの一人はブラジルのサンパウロ出身らしいです。
コロンビアのレーベルDiscos Marañaからカセットでもリリース。
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RAKTA - FALHA COMUM

2019年のアルバムからのMV
呪術的なムードの曲調が特徴のバンドで初音源は2013年。最初は女性四人のバンドでギターが抜けてからはメンバーチェンジがありつつも基本的にはギターレスでベース、シンセ、生ドラムの編成。来日ツアーも行っています。
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MADRUGADA - DEMO

初音源。カセットの両面とも20分近い即興セッション(たぶん)
KrautRockのタグがついてるけどFaustやCanだけじゃなくてダブ系やThis HeatのようなアバンギャルドなPost-Punkの様でもあり。
今後も気になります。
Bandcamp

CRÍME - Martyr

ドラムマシーンを使ったPost-Punkバンド。直接影響あるかは分からないけどSovietwave系の音にも近い。
この曲はアップテンポですが、リードラックのLOOSE KNOTのゴスな暗さのある曲も良いです。こっちの曲のMVはウラジーミル・コブリン監督映画のHOMO PARADOXUMからのシーンを使ってます。
Bandcamp


オマケに今回の投稿に載せた中南米のバンドが沢山収録されてるオムニバスアルバムも。
Latinoamérica Suburbia
2020年。コロンビアのMorfina Recordsから。

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