見出し画像

『マスクの漏れ率』についてあらためて。

どうもこんにちは。
マスクオタクです。

前回の記事で『マスクの漏れ率が高い』という論文を取り上げました。記事が長くなってしまったので省略した部分がありましたが、今回はそのあたりを書いておこうと思います。短めに。

なお、本記事の引用画像は前回同様の論文、すべて以下リンクから 2024.03.21 時点のものです。


◆世間一般の漏れ率は高い

研究では対象となった2種のマスクとは別で、参加者54人の持参したマスクでの漏れ率も測定されました。結果(中央値)は100%でした。マスクの内訳は以下です。

結果の詳細について再掲します。一番左が対応するデータ。

KF94,KN95が特別たいしたもんではないことは過去記事で書いてきましたが、興研のハイラック350(N95)でも指導無しでは良い結果にならなかったようです。判別はできないですが良くても漏れ率26%くらいという結果。

こういう研究に参加するくらいの人なら着け方が目茶苦茶雑とかではなかったと思うので、やはり世間一般の漏れ率は高いと言えるでしょう。

ちなみに、私の実験結果では漏れ率が50%くらいでもマスクは呼吸に伴い目に見えて収縮しますが、収縮が確認出来る人はホント稀です。私の周りではゼロ。市中でたまに見るくらい。


◆マスクを丁寧に着けるということ

漏れの改善にはノーズフィッターで鼻脇をしっかり塞ぐのが重要で、サージカルマスクで漏れ率中央値50%くらいになっていました。ただ、それが可能なのは以下の条件込みです。

  1. 強いノーズフィッター

  2. 息のしやすいフィルター

  3. 適度な着圧の耳紐

  4. 着用者のスキル

研究では良いマスクが使われていたと思われ、特に吸気抵抗の数値(85L/min の条件で 53Pa)を見て 『すげえじゃん、コレ何?』となったのですが、そのマスクの正体は謎。改善後の漏れ率で20%未満が数人いますので、マジで正体が気になるんですけどね。

やはり使われたマスクが特別という感じは否めない。一般的なマスクで『丁寧に着ければ漏れ率が大きく改善する』が期待できるかというと怪しい。ノーズフィッターも耳紐も多くの製品がソフトすぎます。


◆良いマスクがわからない問題

今回の論文著者は以下のような記事(漏れ率の平均は86.3%)をコロナ初期に書いており、マスクの漏れ率について注意喚起していますが世間一般には浸透してないですね。しかし、業界関係者がそれを知らないわけがないです。

もちろんマスクのパッケージには『※マスクは感染(侵入)を完全に防ぐものではありません。』とか書いていますが、その理由のトップが高い漏れ率であることを明示するべきでしょう。

コロナ後に不織布マスクの規格として新たにJISが定められましたが、重要である『漏れ率』に関する指標は無し。3パターンくらいのマネキン着用時平均なり、なんならメーカーの自社測定でも良いんですが、定量的な目安は絶対に必要だと思うんですけどね。また、『吸気抵抗』は数値として公開するべきでしょう。(それらをしている製品もありますが、極一部)


◆おわりに

マスクを使うかどうかは別としても『マスクの漏れ率が高い』という認識はもっと広まって欲しいところ。そのうえで具体的な製品の良し悪しや漏れ率低減の工夫について個々人でアップデートされれば良いんですけどね。

なお、低い漏れ率で着けると蒸れたり不快感は増すので、それも込みでマスクについて議論されるべきでしょう。ツイッターことXでは『N95が不快なのは慣れの問題』と言ってる人を見ましたが、経験上、良いやつ使っても夏はキツイですよ。冬は一日耐えられますが。

私は定量的フィットテストの経験が無いので偉そうなことは言えないですが、快適なマスク着用で自らを守れていると考えている人は漏れ率に注意したほうが良いと思います。

マスクはTPOで有効活用したいものですね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?