マスク断面の顕微鏡画像から『マスクの隙間5μm』について考える。
どうもこんにちは。
マスクオタクです。
マスクのイメージとして図と共に『隙間5μm』などと示されたものをよく見ます。こんなの。
個人的には『ザルじゃないんだから平面的にイメージするのは違うのでは?』と思っており、もっと良い参考資料が欲しかったのですがそれっぽいのを見つけたので今回ご紹介します。(トップ画像のがそれ。下で再度引用しています。)
まあ『もう2024年だぞ。今更かよ』って感じはありますけどね。
◆Masks Under the Microscope
NIST(アメリカ国立標準技術研究所)のサイトから一部引用します。なお、リンク先には様々な繊維の拡大画像が載っていますので興味のある方は以下からどうぞ。
◆所感
引用部に書かれているとおり紫色は画像編集での色付けかと思いますので注意。また、黒い部分は光が届いていないだけで繊維で詰まっているでしょう。
紫色の部分がマスクフィルターであるメルトブローン層。上下の白い部分は保護するスパンボンド層だと思います。両方とも定義としては不織布です。(『メルトブローン』『スパンボンド』共に製法を意味しますが、それに伴い性質が異なりますので対応するフィルターそのものを示す意味でも使われます。)
画像はN95マスクとされていますが、N95だから特別ということもなく安物とか粗悪品ではない限り不織布マスクなら大体このようなものだと考えて良いでしょう。
ただし、メルトブローンなら何でも同じってわけでもなくて物により優劣(違い)はあります。繊維の細さ、とか、エレクトレットの強さとか。一般的に濾過性能が高く圧力損失が低い(息がしやすい)ものが良いフィルターということになるでしょう。
なお、メルトブローンより上位のマスクフィルターはエレクトロスピニングでのナノファイバーフィルターという認識です。興味のある方は調べてみてください。
◇◇◇
冒頭で載せた図では二次元の格子(隙間5μm)っぽい想像をしてしまいますが実際は画像のような感じ。隙間は場所により5μmを超えていたりもっと狭かったりランダムでしょう。
まあ実際二次元で捉えた場合の隙間は結構大きそうですね。ただ、フィルターの厚みで言えば画像のものは500μm(0.5mm)くらい。仮にウイルス単体で考えた場合サイズは0.1μm程度ですが、その5000倍の距離を通過しないとフィルター層を抜けません。(ただし、厚みは製品により異なりますし画像のものは切断することで広がっている可能性があります。)
で、通過する際に以下のような影響を受けます。簡単に素通りとはいかない気がするんですが、いかがでしょうかね。
◆おわりに
冒頭に挙げたような図は他にも数種類目にしましたが、それと共にウイルスは小さいからマスクは無意味だという主張を見てきました。早い段階で引用した画像や資料のようなものが出回っていればマスクの印象は違っていたと思うんですけどね。(それともあんま変わんないですかね…。)
マスクの濾過性能は様々な規格で定められています。たとえばPFE99であればウイルスと同等の0.1μmの粒子を99%以上濾過します。いまどきのメジャーなマスクならほとんどがPFE99だと思います。
ヒトが使ってその通りの性能になるのかは気になるところですが、DS2,N95が産業利用されてきた実績を踏まえて規格の性能と大きくは異ならないだろうと推測しています。安い不織布マスクだとエレクトレットが弱い(効果が早く低下する)とかはありそうですけどね。わかりませんが。
なお、これまでの記事で散々書いてきたとおり期待値は漏れ率により変わることに注意が必要です。自らの感染リスクを減らしたい方は良いマスクを選んで極力漏れを無くしましょう。
マスクはTPOで有効活用したいものですね。
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