(八)「雪降るもよし雨降るもよし」の前句付けをする

似たような句に「雨降らば降れ、風吹かば吹け」と言うのがある。この句を含んだ歌がある。一休禅師の狂歌に
  有漏(うろじ)路より 無漏(むろじ)路へ帰る 一休み
    雨降らば降れ 風吹かば吹け

というのがある。この狂歌は有名でしばしば引用される。その大意を次に述べる。
  「人は煩悩を持って生まれ、その生涯はこの世からあの世に行くまでの短  い旅路の如くであり、私は今、その旅の途上で一休みしている。
  雨も好きなだけ降りつけよ、風も好きなだけ吹きつけよ。雨も風も一瞬の出来事に過ぎない。」

つまり、この句では、「雨風が如何に大きくとも一瞬であり、大した事はない」という意味である。しかし、一般的には「後はどうにでもなれ」というニュアンスを含んでいる。

標題の句はそうではなく、雪が降ったら降ったでそれもまた良し、雨が降ったら降ったでそれもまた良しという、どちらの場合が起こってもそれはそれで歓迎するのである。雨雪(雨風ではない)を歓迎する言葉である。どのような時が、その様になるのであろう。当方は次のような句を作った。
  床飾り 庭木眺めつ 膝枕 
    雪降るもよし 雨降るもよし

  湯豆腐に熱燗二合向かい酒 
    雪降るもよし 雨降るもよし

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