人気俳優・羽山麻水と若手俳優・白崎由岐。BLカップルを演じる俳優同士はリアルでも恋愛関係に。夏野寛子原作の人気BLコミックが実写ドラマ化。羽山を演じる駒木根葵汰はBL作品初挑戦となる。「新たなことに飛び込もう」と意気を見せる駒木根と初共演となる新原泰佑はクランクインの前から息が合っているのだとか。繊細に紡がれる作品に向けての想いを聞いた。

■リアルに描かれる撮影現場。視聴者はドラマ撮影を疑似体験!?

——今回の物語の設定としてドラマの撮影現場で起こる恋というものですが、実際に原作や脚本を読まれたうえで一番面白いと思った部分や惹かれたところを教えてください。
 
駒木根　俳優同士の恋愛というか、世界線が俳優というのはすごく新しいなと思って。僕もまだまだ若手で、芸能界をすべて知っているわけではないですが、売れてくるといろんなことが大変になってきたりとか、外に出づらくなったり、恋愛をするときにもいろんなことを考えなければいけないという普通の生活よりは生き辛い世界だと思っていて、そういうところで共感できる部分がきっとあると思いましたし、シンプルにきれいな恋愛だなと思いました。
 
新原　僕はもともとマンガやアニメがすごく好きで、今回も原作を楽しく読ませていただきました。撮影現場って役者の我々が普段から経験しているものなのですが、スタッフさんの配置とか“あるある”が詰まり過ぎていて、「そうそう、ここにいるよね！」みたいなものがすごく詰まっていて。たとえば助監督さんの位置や、撮影中にメイクを直すタイミングとか、リアルな描写が面白いなと思うのと、それをドラマでやるときに撮る人たちは（演じる）我々も含めてその世界の人たちなので、余計に“あるある”が詰まるような気がしています。ドラマを見てくださる方々は、撮影現場の裏側を、その世界に入ったかのように楽しんでいただけるんじゃないかなって思っています。

■演じる役に共感する部分は芝居への想いとその裏にある感情

——ご自身の演じる役と「似ている」と思ったところを教えてください。
 
新原　白崎は不器用ながらもまっすぐで、お芝居に対しての熱がすごくある人だと思うんです。とても印象に残っているセリフは「俺にはこの仕事しかない」というところです。僕自身もやっぱり作品１つ１つに賭ける熱量をものすごく大事にしていて、自分が演じることによってこの作品をさらに楽しんで欲しいという想いを持ってお芝居をしているので、この一本に賭ける想いの強さは白崎に共感できる部分です。
 
駒木根　この世界に入るきっかけが（羽山と同じく）僕もスカウトだったので、そういったところでは共通点があるかなと思います。ありがたいことにこの世界に入ってから本当にたくさんお仕事をさせていただいていて。今はちょっとずつわかってきましたが（当時は）芸能界という世界のこともわからないですし、ドラマの撮影の仕組みもわからないなかで必死にもがいていた部分はやっぱりあって。だけどそれを誰かに言えないんですよね。身近な人とか友だちとかにって。この仕事ってすごく特別だから、誰かに話しても共感してもらえるわけではないので、自分の心に留める想いはたくさんあって。そういったものを羽山もたくさん抱えていると思うので、近しいものを感じるのかなとも思いました。
 
——今回のお互いの演じるキャラクターの「こういうところいいなぁ」と思う部分を教えてください。
 
新原　羽山のようなカリスマ性、持ちたいです。それに、あの美しさ！容姿端麗な美という言葉を具現化したような存在なんて憧れます。それに羽山ってちょっとミステリアスじゃないですか。僕はおしゃべりなところがあるので口数少ないミステリアスな人に憧れちゃいます。
 
駒木根　白崎のような、ちゃんと自分の芯を持っている人間というのは個人的にも憧れを持っています。みんなが言いづらいようなことも、ズバッと信念をもって、筋を通して言えるところはすごく魅力的だなと思います。

■新たなことに飛び込むきっかけとなったのは……

——新原さんの方からも原作ありの作品をやれるのが嬉しかった、というお話がありましたが、改めて本作品へのご出演が決まったときの感想やお気持ちをお聞かせください。
 
駒木根　なによりも俳優の物語というところにすごく惹かれたことと、すごく個人的なのですが年明けにラジオに同じ事務所のパシンペロンはやぶささんがゲストで来てくださって、2024年を占ってもらったんですが、「2024年、駒木根くんはあまりいい年じゃない」と言われまして。（打破するには）「新しい世界に飛び込むこと」が必要だと言われたことがずっと胸のどこかにあって、BLという新しいジャンルに飛び込むことも一つ、俳優人生に於いても、一人の人間としても、自分が体験したことのない世界に飛び込んでみることはとても楽しいことじゃないかと「ぜひよろしくお願いします」と話をしました。もしかしたらパシンペロンさんの一言がなかったら、今、僕はここにいなかったかもしれませんし、そういう意味ではいろんな縁が繋がって、前のめりになってこの世界に飛び込むことができました。
 
新原　今まで「先輩、断じて恋では！」、「永遠の昨日」など、BL作品には出演させていただいていたのですが、そこでは恋愛をする役ではなかったんですね。「先輩、断じて恋では！」では超さとり世代の井口という役で、「永遠の昨日」では委員長という黒ぶち眼鏡のまじめな子で、個性あふれる役ではありましたが恋をすることはなかったので、ついに恋愛をさせていただける。すごく緊張していますしプレッシャーもありますが、そういう点に於いては僕も新しい世界に飛び込むような気持ちではあるので、駒木根さんと一緒に新しい世界へ手を繋いで飛び込めればなと思っています。

■原作が持つ人間味ある物語を自分たちだからこそ出せる熱で届けたい

——本作での、ご自身の役でこういうお芝居を目指したい、というものを教えてください。
 
駒木根　共通認識として、あくまで僕たちが演じるということで。どうしてもマンガでしか表現できないことはあると思うので、そういったところをしっかり共感できる、僕らしか演じられないような解釈にして表現しよう、と話をしています。新原くんが言っていたように、羽山はすごくカリスマ性がある人間だと思うのですが、生身でなければ引き出しきれないような部分までしっかりと表情や繊細なお芝居で出せたらいいなと思っています。
 
新原　マンガの世界を実写化するということで、マンガでしか描けない部分以外にもドラマとして現実味を帯びさせた表現も加わっています。原作ファンの皆さまにもそこも楽しんでいただけるような作品を目指したいなと思っています。そんな中ですごく嬉しかったことがありました。今回、原作にはないシーンもあるのですが、そこでは原作にない白崎のセリフも出てくるんですね。その脚本の打合せのときに夏野先生が「白崎はこういうセリフを言うのではないだろうか」と直々にセリフを書いてくださったらしくて、そういったところもふんだんにあるんです。原作の夏野先生と共にみなさんで作り上げることができていることがすごく嬉しかったです。ぜひドラマを楽しみにしていてもらいたいです。

【リーズンルッカ’s EYE】駒木根葵汰×新原泰佑を深く知るためのQ&A

Ｑ.春になると思い出す景色

A. 「この仕事では、季節ごとに様々な場所に行く機会が多いのですが、春といえばやっぱり桜の景色のなかでの撮影なんかも多くなるんです。自然な豊かな場所に行くのが特に好きなのですが、桜の景色は一年でもこの時期しか見られないですし、東京ではない場所で本当に息が止まるような綺麗な桜の景色を見たことを、思い出します。またそういった景色に出会いたいです」（駒木根）
「僕も駒木根さんも花粉症なのですが、春といえば花粉が舞い上がる景色というのを思い出してしまいます。特に花粉症って雨上がりが辛いんです。雨が上がったあとの、ちょっと暖かくなってきたときって、一度地面に落ちた花粉が風で舞うんですよね。だからそのときに降っている花粉と一緒になって舞うことになる。２倍になっているんですよ！花粉量が！それが本当にしんどいです」（新原）

Ｑ.注目しているエンタメを教えてください。

A. 「僕は最近、友人に勧められてあだち充さんの作品を読み始めたのですが、『H2』と『クロスゲーム』を読了しました。本当にまっすぐな青春群像劇で胸が熱くなります。そろそろ本丸、『タッチ』を読み始めたいなと思っているところです。高校生の青春群像劇って、熱いシーンもあったりしますし、そのストーリーに刺激をもらったりキュンキュンしたりもしますから、この春はぜひあだち充作品を読みたいです」（駒木根）
「僕はアニメが大好きなのですが、春といえば、また新たなクールのアニメが始まるんですよね。これまで見てきた冬アニメが終幕して、また新たな“これだ！”というアニメと出会いたいなと思っています。だいたい新たなクールが始まる前に全部のアニメの情報をチェックするのですが、今回も僕好みの、異世界モノで主人公が最強なアニメに出会えたらいいなって思っています。新たなアニメの開拓を楽しみにしています」（新原）

＜編集後記＞

駒木根さんのラジオにゲストで会ったパシンペロンはやぶささんに興味津々な新原さん。「今度、僕にも紹介してください！」とお願いすると「うんうん」とにこにこで返事をする駒木根さん。おしゃべり好きな新原さんが引っ張ってくれている、と言う駒木根さんでしたが、クールな羽山と不器用な白崎とはまた違う、お兄さんと慕う弟のようなあたたかな空気がとても微笑ましかったです。

＜駒木根葵汰マネージャー談＞

このドラマは葵汰をインスタでスカウトして芸能界に入れたのがあり、色々重なるところが多く、台本読んでいてもワクワクし、ドラマを見るのが楽しみしかありません。ドラマってこうやって作るんだ！など普段は見れない裏側も見れますので是非ご覧いただきたく思っています。

＜撮影の様子はこちら！＞

取材・文／えびはらなち
写真／まくらあさみ
 
▼駒木根ヘアメイク・スタイリストクレジット
ヘアメイク／ 吉村健
スタイリスト／千葉良（AVGVST）

▼新原ヘアメイク・スタイリストクレジット
ヘアメイク／岩村尚人 (SPIELEN)
スタイリスト／秋山貴紀