7章【3】 騙す、洗脳する、依存させることにある寂しさ

 騙す人は寂しい。

 他人を欺き、自分の思い通りに動かすことで、自分自身の価値を確かめている。これは特別なことではない。誰かに何かを伝えるときには、常にその危険性と隣り合わせである。伝える人が伝える相手に対して、「自分の言っていることを信じ、自分のことを認めて欲しい」と思ったときに、その状況は現れる。

 また、伝えられる人が「信じさせて欲しい、こうすれば大丈夫だと言って欲しい」と思ったときにも、その状況は現れる。

 互いに自分の寂しさや依存を増幅させ合ってしまう。しかし、伝える側、伝えられる側、どちらの立場にあっても、信じ過ぎることは相手のためではなく自分の考えの甘さゆえのものである。信じ過ぎることは依存だ。相手なしに生きられなくなったとき、人は依存して、信じ過ぎる。

『あなたは、なぜ、つながれないのか:ラポールと身体知』より)


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